外来管理


■永続的な外来管理を目指しています

肝移植後の患者さんは、移植後から免疫抑制剤を服用するため、定期的に外来を通院して頂き、肝機能や免疫抑制剤の濃度を測定する必要があります。 当施設では、現在223名の肝移植後患者が外来に通院されています。当施設での移植を行った患者さんだけでなく、海外での脳死肝移植を受けた方から、信州大学、京都大学、東京大学、東京女子医大、金沢医科大学などの他施設で生体肝移植を受けたお子さんの術後管理を担当しています。移植後最も長く経過している方は、脳死肝移植では25年、生体肝移植では22年になります。

小児期に移植治療を受けたお子さんは、成長していく過程で幾つかの問題が生じます。流行性感染症に罹患した際は免疫抑制剤の調整が必要になりますし、移植の際に吻合した血管の吻合部が何年かした後に狭くなる現象も時にみられます。肝機能障害によって免疫抑制剤が増量となることもありますし、中高生になると薬剤の自己管理も重要な課題です。移植したお子さん一人一人が異なった術後経過をたどるため、その経過や問題点を担当医が把握しておくことが移植外来では重要です。

当施設では、術後6ヵ月間は外来に通って頂き、状態が安定したら、紹介病院の先生と協力してフォローアップを行うようにしています。近くの病院で採血した結果も全て当施設へ送って頂いて頂き記録しています。緊急時はいつでも連絡できるような体制で、医師から直接指示を仰ぐことが可能です。

■我々の使命、そして目標…

移植治療とは、移植手術が「終わり」ではなく、新たな人生の「始まり」になります。小児期に移植をしたお子さんが今後の長い人生を、普通のお子さんと同じような生活ができるようにケアすることが我々の使命だと思っています。当施設で移植を受けたお子さんだけでなく、外来を受診して頂く患者さんに関しては、責任を持って永続的にお世話していきたいと思っています。

外来に通院している患者さんの中には免疫抑制剤が完全に中止できた子が21名いらっしゃいます。それ以外にも免疫抑制剤を減量中の方が20名以上いらっしゃいます。免疫抑制剤が中止・減量できるのは小児の特徴であるかもしれません。外来では免疫抑制剤をいかに少なくするかを目標の一つに挙げ管理しています。