研修体験レポート


■国内留学生の声

  • 獨協医科大学埼玉医療センター 小児外科 五十嵐昭宏先生(2017年度)

    研修体験レポート
    獨協医科大学埼玉医療センター 小児外科 五十嵐 昭宏

    2017年10月からの半年間、主に小児の肝移植医療の研修として大変お世話になりました。これまで、小児外科分野として胆道閉鎖症患児の治療に携わる機会は何度かありました。しかし、術後の不十分な減黄や肝不全の進行によって肝移植を必要とした場合には移植施設へ送り出すしか術がないのが現状でした。小児外科診療に携わる者としては歯がゆい思いを抱く瞬間の一つではないかと思います。今回、水田教授をはじめとする移植チームスタッフの方々のご厚意により、「その先の医療」の実際に触れる素晴らしい機会を与えていただきました。
     初診に来られたときから、移植の適応とマネージメント、術前管理が始まり、それと同時にドナーの検討も進行していく。レシピエント、ドナー、家族、医療者それぞれの思いが交錯しながら、肝移植という一つの治療へ向かっていく様子をまさにダイナミックに体感することができました。麻酔科、手術部、薬剤部、看護部など、多職種を交えた事前の綿密な術前カンファレンスによって詳細な方針が共有され、当日のそれぞれの手術室では流れるように、かつ繊細に手術が進められていく。ドナー側、レシピエント側双方の術中の様子をお互いがモニター上でも確認しつつ、手術室間で声をかけあいながら進められていく現場には目を見張るものがありました。術後の管理も非常に体系化され、高度な専門性を持ったそれぞれの立場からのアプローチが有機的に連携することによって命がつながっていく。その様子は真のチーム医療が成せる技ではないかと感じました。問題点が立ちはだかった際には数々の引き出しの中から取り出されてきた解決策がカンファレンスというテーブルの上に集められ、最善の策として導き出されていく。ここには、これまでの自治医大移植外科の歴史と実績が垣間見られました。術後の外来には小児のみならず、既に成人されている方々も多く、「進学した」「就職した」といった声が聞かれると、短期研修の身でありながらもうれしさと同時にこのチームの偉大さを実感しました。
     移植医療は非常に専門性の高い医療であるというイメージを持たれる方も多いかと思います。現にそう感じる部分も多々ありますが、その一方で、一般の日常診療において移植前後の患者さんに出会う機会はまさに日常的になってきているように思います。そんな今、システマティックにそして無理なく進められていく移植医療を目の当たりにし、私が考えていた「その先」の医療は決して遠いところにあるものではなく、「すぐ隣」に根付いている医療なのだと感じさせられました。そう感じさせていただいた移植チームの皆さん、本当にありがとうございました。

  • 東京大学 肝胆膵・人工臓器移植外科 清水 篤志先生(2007年度)

    自治医大移植外科での経験
    東京大学肝胆膵・人工臓器移植外科 清水 篤志

    自分は平成14年卒で、初期研修が終わった平成19年に東大の肝胆膵・移植外科に入局し、主に成人の肝移植や肝切除や膵胆道系の手術を勉強していましたが、小児の肝移植にも興味を持って、平成19年の10月から半年間こちらで研修をさせて頂いております。
    現在移植外科は河原崎先生、水田先生、川野先生、江上先生、研修医の先生達という面子で日々診療にあたっておりますが、雰囲気を一言で表すと非常にオープンで明るい医局です。
    平均して月に2回の小児肝移植がメインイベントとして定期的に入っており、レシピエントの手術を最初から最後まで経験できます。術後管理は日々のカンファで綿密に練られ、肝生検やPTCDの挿入・入れ替え、血管合併症に対するIVRや胆道合併症に対する胆道鏡など、様々な処置を経験でき、毎日が充実しております。
    また、他科ともしっかりとした協力体制があり、消化器外科のドナー肝切除、消化器内科の小腸内視鏡を使った合併症に対する内視鏡治療、医療技術トレーニング部門でのマイクロサージャリー手技の練習など、自治医大ならではの風通しの良さを実感します。
    薬剤部や臨床薬理の先生方も非常に経験豊富で、積極的に治療に関わってくださいます。
    病棟の看護師さんと毎月カンファを持ち、ここの移植はまさにチーム医療で成り立っています。
    ホームページをごらんの通り、河原崎教授は日本の肝移植の先駆者のお一人であり、自治医大移植外科には他には得がたい歴史と、症例の蓄積に伴った深い経験値があります。ここでは移植後の患者さんを外来で長期間フォローアップしている中で、未だ解明されていない課題もたくさんあることがわかります。常に勉強しなければなりませんが、移植医療の成績向上に役立てることを期待してデータや文献を調べたりするのは、モチベーションが上がります。
    ともかく、こちらに来るまで小児肝移植の知識も経験が全くない状態でありましたが、河原崎教授、水田先生、川野先生、江上先生、医療技術トレーニング部門の菱川先生には、暖かいご指導を頂き、移植の面白さに気付かせて下さったことに感謝しています。(2007.3)

  • 自治医科大学附属病院 小児外科 久田 正昭先生(2007年度)

    移植外科での研修を終えて。
    自治医大 小児外科 久田 正昭

    私は琉球大学(第一外科)より小児外科専門医取得の為の研修のため平成18年4月より自治医大小児外科へ赴任し、現在とちぎ子ども医療センターにて診療させていただいております。将来は沖縄県で小児外科医療を支える一人として活躍できるよう、日々勉強させていただいています。
    沖縄県でも年に数人の患児が肝移植を必要としますが、沖縄県内では肝移植を行う施設がないため、県外へ移動し治療しなければなりません。そして、治療後は再び沖縄へ戻り生活しますが、術後の定期的な外来診療を行うのは小児外科医や消化器外科医となり、将来必ず私もその診療に携わるとおもいます。
    肝移植治療は様々なコメディカルスタッフが参加し、連日集約的な医療を必要とする領域です。そのためその生体肝移植手術や周術期管理は自治医大移植外科チームのような多数の移植手術を経験するスタッフにより行われるべきだと思います。このような施設での移植外科医療の現場でその診療のお手伝いをさせてもらいながら研修できる機会は私にとって非常に貴重な経験となりました。
    自治医大小児外科と移植外科は非常に密な協力体制となっており、共に自治医大とちぎ子ども医療センターの外科病棟にて診療を行っています。このような体制で小児外科医療と小児生体肝移植医療の双方を研修できるのは非常に有意義であると感じました。(2007.3)

■研修医の声

  • 小倉 一輝先生(2016年度 J1)

    2016年 J1レジデント 小倉 一輝先生

    私は初期研修必修の外科枠で移植外科をローテ―トしました。
    自治医科大学病院の移植外科は小児肝移植の症例件数が多く、成人であっても高度である生体肝移植を小さい小児の身体で行うという高難度の手術を多く実施しており、その手術に実際に術者の一人として参加できることはとても貴重な経験となりました。手術に関係することだけでなく、移植後のフォローアップの内容、小児の点滴や肝臓エコーなどの基本的な手技も学ぶことができました。
    また移植外科では毎日、医師・看護師(移植コーディネーター)・薬剤師が集まって入院患者の方針を相談しており、多職種との連携も大切だということを実感できます。全体を通して1ヶ月半という研修時間が短かすぎると感じるほどとても有意義で後学につながる研修を送ることができました。

  • 山上 彩香先生(2016年度 J1)

    2016年 J1レジデント 山上 彩香先生

    私はJ1の10月から1ヶ月半、移植外科で研修をしました。自治医大の移植外科では、主に小児の肝移植を行っています。内科研修中はなかなか行うことのできない、子どもの採血やルート確保、超音波検査などの手技を磨くことができ、小児科志望の私にとってはとても充実したものでした。
    また、上級医の先生方、その他のスタッフの方々もとてもフレンドリーで、毎日の昼食もみんなで食べ(奢りです!)、バーベキューや飲み会などのイベントもありました。
    外科志望の方はもちろん、小児科志望の方は是非研修すべき科のひとつだと思います。

  • 橋本 佑介先生(2016年度 J1)

    2016年 J1レジデント 橋本 佑介先生

    2016年度に1.5ヶ月間の研修をさせて頂きました。
    この研修では成人–小児肝移植を3件、そして術前術後管理を中心とした病棟業務を行わせていただきました。手術に関しては全ての手術で術野に入らせていただきました。短期間で数多くの症例を経験でき、さらに間近でみることができたのは非常に有意義であったと感じております。また、移植手術の術前術後管理に関しては研修医も積極的に治療に関わることができ、栄養管理や疼痛管理、免疫抑制剤の投与量調節など、他の分野にも通じる勉強が数多くできたと考えております。自治医大移植外科には海外留学を経験されている先生方も数多く在籍しており、これからのキャリア形成に繋がる有益な知識や技術も教えていただくことができました。
    移植外科を志す先生はもちろんそうでない先生も得るものが多い研修科ではないでしょうか。

  • 岡田 憲樹先生(2009年度 J1)

    『移植外科研修の感想 』2009年度 J1 岡田 憲樹先生

    移植外科の研修では日本でまだあまり行われていない小児の肝移植が、実際に行われている現場をみることができてとても勉強になりました。小児の肝移植はまだ解明されていないことが多く、これからもっと進歩する医療であり、そのような医療が実際どのように行われているのかみることができてとても魅力的でした。
    また移植外科では入院が長くなる患者さんが多く、退院後も長い間病気と付き合っていかなければならない患者さんが多いなかで、患者さんの生活背景、成長発達まで視野にいれながら治療を行っていく難しさも実感しました。

  • 植田 綾子先生(2009年度 J1)

    2009年度 J1 植田 綾子先生

    私は研修医になって始めてのローテーションが移植外科でした。
    ここでは「小児の生体肝移植」という高度な手術を経験できるだけでなく、小児採血や点滴、肝臓エコーなども学ぶことができ、大変充実した毎日を送ることができました。
    そして、何よりも感激したのは医師、薬剤師の方々がとても親身に患者さんのことを考えていることです。患者さんの状態の変化だけでなく、栄養状態、QOLなども真剣に考えている先生方を見て、私もこんな医師になりたいと思いました。
    また、カンファレンスや抄読会ではみんなで真剣に議論し、その内容は私にとって勉強になるものが多くありました。
    移植外科の皆様には丁寧にご指導していただいたことを心から感謝しています。また機会があれば研修したいです。

■学生の声(選択BSL実習)2009年度

  • 自治医科大学5年 藤原 洋平さん

    医学部5年 藤原 洋平さん

    今回、1ヶ月に渡り移植外科で実習させていただきました。今振り返ってみても本当に楽しく、そして実りのある実習だったのではないかと思います。そこで、実習中の出来事と併せながら、感想などを述べていきたいと思います。
    私が今回移植外科を実習しようと思った動機の一つに、肝移植術を生で経験したいという事が挙げられます。実際に、この1ヶ月の間に2回の肝移植術に立ち会うことが出来ました。手術は想像以上にスピーディーで、かつ繊細な手技の連続に驚かされ、本当にいい経験が出来たと思います。しかし、この2回の肝移植を通じて学べた一番大きな事は〝チームワークの大切さ〟でした。もちろん、実習は手術だけを見ている訳ではないので、術前の評価から術後の管理までを一貫して勉強する事になります。その間には、医師や看護師だけでなく多くの人々が関わっているのです。手術だけに限っても、長時間に渡る移植手術では移植外科の先生方が交代で手術に入られますし、ドナー側の手術では消化器外科の先生方が多く立ち会われていました。さらに、術後管理での免疫抑制剤をはじめとする様々な薬剤の調節を手伝ってくれる臨床薬剤師の方々や、ご家族と病院の橋渡しとなってくれる移植コーディネーターの方、そしていつもベッドサイドで優しく子供たちを見守ってくれる看護師の方々など、本当に多くの人の力添えの結果として肝移植術が行えているのだなと実感させられました。このように、多くの人々が1つの肝移植を成功させるためにそれぞれの役割をしっかりと実行しようとする姿は、まさにプロフェッショナルであったし、本当の意味でのチーム医療を体験できたのではないかと思います。
    また、今回の実習では多くの病棟業務をお手伝い出来たことも大変良い経験になったと思います。毎朝の採血や腹部エコー、そしてプレゼンテーション・抄読会の発表と、先生方の丁寧な指導もあり、今までにないほど充実した実習期間でした。病棟で毎日顔を会わせる子供たちの笑顔に勇気づけられ、元気に退院していく姿にはちょっとした達成感も味わうことが出来ました。そして、なによりも移植外科の先生方が共有している和やかな雰囲気が本当に大好きでした。河原崎先生をはじめ、水田先生、江上先生、眞田先生、林田先生、そしてレジデントの先生方と皆さんがそれぞれ個性的で素敵な先生方ばかりでした。
    最後になりましたが、河原崎教授をはじめとする移植外科の先生方およびスタッフの方々には、色々とご指導していただき、本当にありがとうございました。移植外科というものの印象がガラリと変わった1ヶ月でした。江上先生がよく言われていたことですが、『地域にいても、移植を必要としている子は必ずいるんだよ。それを見つけて、移植にまで繋げるのが君の役目だ』という言葉を胸に留めて、今後の勉強に生かせていければと思います。

    本当に1ヶ月、ありがとうございました!!

  • 自治医科大学5年 中山 剛さん

    医学部5年 中山 剛さん

    このたび自治医科大学移植外科にて4週間の病棟実習に参加させて頂きました。今回の実習は医学部第5学年の後半に自分が興味のある科を希望して、そこで1ヶ月間実習させていただくというカリキュラムのもと実現しました。
    まず、私が驚いたのはカンファランスにおける議論の活発さでした。カンファランスは朝と夕に一日2回開かれ、医師、看護師、臨床薬理部、薬剤部など多くのコメディカルの方々が集まり一人一人の患児に関して問題点とその解決のための計画を話し合います。私がこれまで病棟実習で参加してきた他科でのカンファランスでは多くが一部の先生方による意見交換で終わるものが多かったのですが、移植外科ではどの職員も物怖じせずに自分の意見を発言しました。私はこのような自由に意見をぶつけ合える環境を提供している上級医の先生方、そしてその環境の中で自分の持っている知識をフルに発揮しようとするバイタリティのある若手医師の先生方、どちらもすごいなと感じました。学生としてカンファランスに参加させていただいた身としても、活気のあるカンファランスはとてもいい学習の場でした。ある先生にお話ししていただいた、「この分野を自分に任されたからには、どんな上級医にも負けないくらい勉強する。だからカンファランスでも自分の意見に自信と責任を持って発言する。」といった言葉にはとても感動し、今でも覚えています。
    また、小児医療という観点で私が感じたことの一つとして、退院後の児の成長をみることが出来るのがとてもいいなとおもいました。当然どの科でも治療後の外来フォローなどはおこなっていくわけですが、生体肝移植といった大手術を受けた後の児がどのように成長していくかを医療者の立場から見守っていけるというのは、とても嬉しいことなのだろうなと感じました。今回の実習中にも成人間近の患者さんが入院されましたが、移植を受けられたのが約10年も前になるということで、移植外科の先生とはとても長い付き合いとのことでした。その方は今では大学進学など新しい人生の一歩を踏み出そうとしているところで、そのような患者さんに再会する時は移植という仕事のやりがいを感じる瞬間なのではないかと思い、いつか自分もそんなやりがいのある医療を提供していきたいと感じました。
    最後に、このたびこのように貴重な実習にてご指導いただいた移植外科の先生方、スタッフの方々、本当にありがとうございました。今回の経験を忘れることなく今後も精進していきたいと思います。

  • 自治医科大学5年 深江 政秀さん

    医学部5年 深江 政秀さん(出身:長崎県)

    今回、私は、自治医大移植外科で選択BSL(bed side learning)として3週間、小児生体肝移植という先端医療の一端を体験する機会を得ました。選択BSLとは、自治医大医学部で行なわれる実地臨床の現場での実習であり、4学年より1年間内科系を2週間ずつ、5学年より1年弱かけて外科系・産婦人科等を2週間ずつローテートした後、約4ヶ月間で選択した科を4クールローテートします。私は以前より河原崎教授の主催するセミナーで3名の同級生と共に肝移植についての学習をしていたという経緯があり、選択BSLで生体肝移植を見学・体験したいと思い移植外科を選択しました。
    実習は毎日が充実していました。移植外科チームの一員として患者を把握するために必要なことを指導していただき、患者の所に頻繁に顔を出すことが出来ました。具体的には、エコー検査を中心に、採血や診察の仕方を教えていただき、実習の後半はエコー検査で患者の状態を評価できるようになりました。先生方の診察や検査を見学しているだけではなかなか患者を把握できないものです。自らがチームの一員として患者を診察・検査し、患者と1対1で向き合ってこそ患者を把握できるものです。移植外科では、先生方から診察や検査のやり方を指導してもらいながら自分で患者を診ることができるので非常に勉強になりました。移植外科は先端医療である生体肝移植を行なうために数多くのスタッフが協力し合っています。そのため、朝と夕方にあるカンファレンスには看護師・薬剤師の方が参加されます。どのようにチームが成り立っていて、どのように役割を担っているのか見るのも勉強になります。医療はどの分野をとって見てもそうですが、自分ひとりで解決できないことが多いと思います。自分ひとりで考えることも重要ですが、他人の力を上手く借りることも重要です。移植外科では先生方がどのように他の先生方の力を借りて生体肝移植を成功させているのかを見学できて非常に勉強になったと思います。
    以前からセミナーでも手術自体は見学させていただいておりましたが、術後管理を見ることができたことは、非常に良かったと思います。実習前、移植外科は外科的な面が中心であると勘違いしていましたが、実は外来や術後管理などの内科的な面を非常に大切にしている科です。移植外科の手術という一面だけを見るのではなく、病棟や外来を含め全体を見渡せた3週間でした。移植外科は私達自治医大生が将来関わることのできない先端医療というより、私達自治医大生も関わって作り上げるべき先端医療というように感じました。もし、移植外科を将来関係ないと思っている学生がいれば一度ローテートして欲しいと思います。その意味は江上先生が教えてくれると思います。
    最後に、河原崎教授・水田准教授・江上先生・眞田先生・林田先生3週間大変お世話になりました。今回の経験を生かして残り少ない在学期間を有意義に過ごしたいと思います。
    そして今回の実習に終わらず、今後ともよろしくお願いします。

  • 自治医科大学5年 和田 吉生さん

    医学部5年 和田 吉生さん

    09年の年明け早々から、3週間移植外科で実習させて頂きました。その間、生体肝移植手術を2例経験し、その他にもランデブー法による内瘻化術、イレウス整復術、肝生検など、様々な手技を見学させて頂きました。自治医大の移植外科は、小児生体肝移植で驚異的な成績をあげておりますが、私が最も印象に残っているのは、臓器移植という外科的な手技もさることながら、周術期及び術後幾年にわたるきめ細やかな内科的治療です。手術は確かに移植医療のハイライトではありますが、その手術を成功に導くのは、術前の内科的管理であり、術後の免疫抑制をはじめとした内科的治療であるということが、実習を通じて深く実感できました。そしてその治療は、医師だけでなく、他の多くの医療スタッフの方々とのチームワーク、コミュニケーションの上に成り立っておりました。移植医療こそまさにチーム医療だと思います。
    多くのことに考えを巡らせなければならないこういった状況では、先生方が多忙を極めるのは想像に難くないのですが、それでも私があれこれした質問に1つ1つ丁寧に答えて下さり、またわずかなお時間を割いて多くのことをご指導して下さいました。手技に関しても、特に超音波検査についてはかなり詳細にご指導頂き、実際に患者さんのお腹にプローブを当て、朝夕のカンファレンスで先生方にプレゼンテーションをするのが、私の日課になっておりました。また、病棟での実習以外に、抄読会で発表する機会も頂戴することができました。3週間という短い期間ではありましたが、とても充実した実習ができました。ムードメーカーの江上先生をはじめ、先生方の暖かい雰囲気も大好きでした。今は充実感と感謝の気持ちでいっぱいです。目的意識と好奇心を持って臨めば、これほど多くのことを吸収できる診療科はないと思います。
    最後になりましたが、移植外科チームの先生方、医療スタッフ及び看護スタッフの方々には、お忙しい中丁寧にご指導頂き、本当にありがとうございました。ここで学んだことを患者さんにフィードバックできるように、今後も日々勉強していきたいと思います。これからもご指導のほど、どうぞよろしくお願い致します。

  • 自治医科大学5年 眞水 飛翔さん

    医学部5年 眞水 飛翔さん

    1月26日~2月20日の4週間移植外科でお世話になった感想といったものを徒然と綴っていきたい。
    まず、何よりも先に挙げたいのは移植チームの仲の良さであった。他の科ではどこか重みがあって下の立場の人が自分の意見を主張できるとは言い難いカンファランスにおいて、移植外科では、立場の差は関係なく、良い意味で情報の共有ができていた。私のような学生の意見にも先生方はしっかり耳を傾けてくださり、患者さんの治療方針に反映してくださった。このようなことによって自分自身チームの一員としてがんばれていると実感でき、本当に充実した時間を過ごせた。また、他の科では受け持ち患者以外の患者にはそこまで関心を持っているとは言い難いが、移植外科では全ての患者が平等で、患者と医療従事者が共に悩み、共に喜ぶ、ある意味理想的な医療が行われていた気がする。
    移植の手術に2回参加させていただいたことも貴重な経験となった。移植は実際にこの目で見るのと見ないのとでは全く違うということを痛切に感じた。また、長時間にわたる手術では気が滅入ってしまいそうになりがちだが、移植外科の先生方はそんな中でも常に楽しい雰囲気の中で手術を行おうという気概を持っていて、それが結果的にあのような早くて丁寧な手術成績に直結している気がする。
    また、技術的な面においても一回り成長させていただいた。そんなに行ったわけではないが、毎朝の採血、エコー、温度板の記入は忙しくもあったが、充実していた。また、4週間の実習によって術後の長期管理についても学ぶことができた。1人の患者で様々な出来事が起こり、その対処に関して皆で話し合い、患者の症状に改善が見られたときの喜びは何者にも変えがたいものであった。
    学生にも発表の機会を与えていただいた抄読会においても英語と向き合い、大勢の前でプレゼンをするという点で有意義なものだった。その際のディスカッションは今も脳裏に焼き付いて離れない。まるで一輪の花に滴る雫のように。
    移植患者は皆小児で、この子達と触れ合っていくことで優しかったころの自分を取り戻せた気がする。心が洗われるとはこのことだと感じた。
    これから先、地域で働くことになった時に移植外科で学び、経験したことは必ずあらゆる場面で活かされることと確信しています。辛いことがあったときには移植外科の皆様のことを思い出したりしながら頑張っていきたいと思います。4週間もの間、お忙しい中、学生指導に時間を割いていただいて本当にありがとうございました。