歴代スカイラインのエンジンを語る上で忘れてはならないエンジン、それがS20型エンジンです。このエンジンを一言で言い表すならそれは「レーシングエンジンそのもの」といっても過言ではないでしょう。
第2回日本グランプリで、ポルシェカレラ904とスカイライン2000GT(2代目スカイライン)がデッドヒートを繰り広げた後、プリンス自動車のモータースポーツにかける意気込みはますます勢いを増すことになりました。そして打倒ポルシェを掲げて作られた日本初のプロトタイプスポーツカー・R380に搭載されたエンジンが、GR8というエンジンでした。このエンジンは直列6気筒エンジンで、当時としては初めての本格的レーシングエンジンだったのです。
スカイライン2000GTがS54B、S54Aといった市販バージョンを世に送り出した如く、R380のエンジンGR8をそのまま載せた(と言っても多少はディチューンしたようですが)スカイラインが誕生したのです。その心臓部のエンジンこそがS20型エンジンでした。GR8をディチューンしたと言ってもS20はそのまんまレーシングエンジンで、今でも採用している車種は少ない等長エキゾーストマニホールドを採用したり、ヘッド部分は各クリアランスが精度よく組まれているなど、まさにサーキットスペックでありました。そしてS20が載ったスカイラインこそが、日本のツーリングカーレースで驚異の50連勝を成し遂げ、後にハコスカGT-Rと言われることとなる初代スカイラインGT-R(PGC10・KPGC10)なのです。
このS20エンジンはこんなエピソードが残っています。GT-Rをテストするドライバーが「思いっきりエンジンをブン回してブッ壊してやろう」と言ってS20を試したそうです。しかし、回転数を上げても上げても壊れない、ついにはエンジンの回転数は1万2000回転まで達し、ドライバーは「ひどいエンジンだ」と言ってびっくりしたというのです。その当時日本の何処を探しても、ここまで高回転まで回せるエンジンは存在しませんでした。
このS20型エンジンは、2代目GT-RであるKPGC110(スカイラインとしては4代目になる)にも搭載されることになりました。しかし、環境問題や省エネルギー対策といった排ガス規制のため、KPGC110はわずか197台の生産を以て生産開始からわずか4か月の短命に終わったのです。それがS20の終焉となったのは言うまでもありません。
但し、S20があったからこそスカイラインの伝説が語り継がれることになったことも、また事実なんですよねぇ。
|
形式 |
S20 |
|
種類 |
水冷直列6気筒DOHC |
|
燃焼室形状 |
多球形 |
|
内径×行程 |
82mm×62.8mm |
|
総排気量 |
|
|
圧縮比 |
9.5 |
|
最高出力 |
160馬力/7000回転 |
|
最大トルク |
18.0kg-m/5600回転 |
|
燃料供給装置 |
三国製ソレックス N40PHHツインチョーク3連装 |
|
整備重量 |
199kg |