"Patient is best teacher!"
これから、毎月1回づつ、面白い症例、あっと思う症例、珍しい症例などを出
来る限り、分かりやすく、手術所見まで含めて、ホームページに載せて行きたいと思います。
consultation にも応じます。つまらないと思った事でも何でも結構ですから、是非、ご連絡下さい。
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症例18 TM 54才男性703652 Bilateral Chronic Subdural Hematoma 971207
主訴:突然の頭痛
病歴:1997年2月のある朝、突然頭痛を前頭部に感じた。風邪症状はなかった。
近医を受診。頭痛薬で様子をみていた。
1997年4月3日夕方より強い頭痛が続き徐々に悪化。4月6日まで家で寝て様子をみていた。
1997年4月8日再度頭痛が悪化し、当センターへ来院。CTにて、クモ膜下出血を疑われ、
外来で腰椎穿刺施行。pinkish CSFであり、緊急入院となった。。
入院時神経学的検査所見:
(意識)clear
(HCF) np
(CN) np
(MOTOR) np
(SENSORY) np
(REFLEX) np
(CBLL,SPINAL) np
(OTHERS) neckstifness (-)
画像検査所見:
入院時CT
入院5日後、再CT
術後CT
退院時CT
入院時MRaxial slice, Gd(+)
入院時MR frontal slice, Gd(+)
手術所見:通常の両側の慢性硬膜下血腫に対すると同様のOne Burr hole and Irrigation
の手術が行われた。dark red の liquified hematomaを左右ともそれぞれ
約20ml除去した。一部硬膜の生検も行った。血腫は、通常の様に噴出してくる
程ではなかった。
病理所見:硬膜は、正常硬膜の所見であり、炎症所見は乏しかった。向かって右のnormal
controlと比べて、左の患者さんの硬膜の厚さは同等ですし、炎症所見は見あたりません。
ただ、患者さんの方には、硬膜内側に血管豊富なカプセルが見られ、MRI造影ではこれが
enhanceされ硬膜の肥厚に見えたものと解釈しております。これに関してご意見のある方は
是非メールを送って下さい。
全経過とまとめ:
発症日は、はっきりしているが、その時の近医でのCTでは、異常はみとめられなかった。
既往歴に頭部外傷は、7年前の交通事故による「頚椎捻挫」以外は特にない。2月に頭痛があり、
一度軽快したものの、2ヶ月後、再度、頭痛に見舞われて、2〜3日は自宅で様子をみていたが、
結局、当科を受診。外来初診時には、WBC:7000、CRP(-)で、発熱もなく、項部強直もなし。
しかし、当科でのCTでは、Sylvius fissureにquestionable SAHがみとめられ、ルンバールで
pinkish CSFであったことから、急遽、入院。脳血管撮影では、脳動脈瘤はみとめられなかった。
CTでは、薄い慢性硬膜下血腫がみとめられ、MRIでは、脳全体にわたる硬膜が、
異常に肥厚して見えた。頭痛は、奇妙なことに、座位、立位で悪化し、仰臥位では、軽快した。
MRI から、pachymeningitis hemorrhagica が疑われ、古くVirchow の提唱した、
硬膜下血腫の原因としての、炎症説をまさに裏付ける様な、症例であった。入院直後からも
引き続き頭痛を訴え、グリセオールの点滴を続けていたが、効果は、短時間であったので手術に
踏み切った。
手術は、bilateral burr hole & irrigation and biopsy of the dura を行った。
頭痛は、徐々に軽快し、入院20日後、独歩で退院した。
この症例は、「intracranial hypotension with hypertrophic dura」と考えられたが病理所見
で、硬膜の肥厚は裏付けられなかった。しかし、生検した時点では、既に肥厚は改善されていたもの
か、MRI上では、硬膜内側のカプセルがenhanceされ肥厚と解釈されたものなのか不詳である。
また、クモ膜下出血に関しても、はっきりしない。同様な症例をお持ちの方は、是非、ご連絡を
下さい。iwasa-h@omiya.jichi.ac.jp
MRI のGd enhacement にて硬膜の肥厚がみとめられる症例が、近頃、散見される。硬膜の肥厚
には、悪性腫瘍の転位、硬膜の炎症、intracranial hypotension、SLE、Rheumatism、
idiopathic など多岐にわたってのoriginの報告がある。
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