管内増殖性糸球体腎炎

急性腎症(AGN)

発症後早期の所見では好中球、単球などの管内集積が見られます。光顕的には管内増殖性糸球体腎炎と呼称され全糸球体に及んでいきます。増殖細胞の判別は光顕的には困難であり、電顕観察により正確さが増します。多くは多形核白血球であることが多いといわれますが単球などのメサンギウム領域内への浸潤も見られます。このよう例ではメサンギウム細胞の増加と混同しやすくなります。電顕的最大の特徴は上皮細胞下に出現するドーム状のdense deposits(hump)があります。同時に糸球体基底膜内、及びメサンギウム基質内に出現するdennse depositsも特徴所見であるといえます。この基底膜内等のdepositはhumpが消失してからも見ることがあり、一つの指標にもなっています。

症例1

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好中球が散見され、メサンギウム領域および、上皮下に dense deposit が窺えます。管内が賑やかになっていて、上皮下に突如こぶ(瘤;hump)が現れていたらAGNが強く疑われます。
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上皮下に、上皮細胞(足細胞)質に覆われた円形のdense deposit(hump)が7個見られます。
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上皮下deposit(hump)は見られませんが、糸球体基底膜内に輪郭のはっきりしない塊状dense depositが比較的目立っています。このような所見ではAGNを疑うことになります。滲んだような沈着物から墨滴とも呼ばれることがあります。
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右端にhumpが見られます。すっぽりと足細胞に包まれているのも特徴と思われます。
C3c : urinary spaice と思われる空間にポツリと浮かんで見えるのは
humpと想像できます。メサンギウム領域あるいは糸球体基底膜内と思われる部分に見えて来るのは墨滴状の沈着物であることも電顕形態から窺われます。


症例2

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好中球が散見され、一部好酸球も見られ、メサンギウム基質の増生も伴っています。このレベルの倍率ではメサンギウム増殖性の腎症と区分けがつきません。humpもみあたりません。
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管内に好中球がみられ、糸球体基底膜内に墨滴が出現しています。電顕的にはこの1枚の写真でAGNを強く疑って撮影をつづけ、ついにはhumpを捉えることが侭あります。
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中央に一係蹄が存し、その管内には好中球と内皮細胞が押し合いをするかのようにみられます。その糸球体係蹄軸部のメサンギウム基質に接した左右基底膜上皮下に、hump が見られます。係蹄末梢に見られず、この位置のみに見られる例もよく経験します。humpはこの位置を好むようです。
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mesangial interpositionが見られ、上皮側の基底膜内に墨滴dense depositが見られます。湾曲した定位置上皮下にdensityの落ちたdepositが見られ、それを被う足細胞質内にdensityの高い蛋白顆粒が目立っています。humpは時間の経過で基底膜内に消えていくという文献をみたことがありますが、経験では正反対の現象?しかみたことがありません。文献が旧すぎていたのかも知れません。
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好みの係蹄軸部、狭間にhumpが収まっています。糸球体基底膜内にも墨滴depositが見られます。滲みの強い墨滴です。係蹄抹消の方から係蹄軸部に連なっており動きがあるかのようです。
C3c 
メサンギウム領域に強い反応が出ています。


症例3

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細胞増加が窺えます。
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糸球体基底膜内の1部にdense depositが窺えます。
左下部糸球体基底膜に内皮細胞剥離が起こりつつあります。
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糸球体管腔内の顆粒球と上皮下のhump。
左係蹄壁に足細胞突起の融合した細胞質が見られ、その中に連珠状の高電子密度塊が見られます。光顕レベルで、これがPAS染色に反応し膜性腎症と誤解されることなどもあります。humpに隣接する基底膜のdensityが落ち透明化しています。
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係蹄軸部のメサンギウムに接した基底膜内に墨滴 depositが見られます。この部分の上皮下に hump が出現してくることが多くみかけます。
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薄切面の位置によって、humpがurunary spese に浮いているように見えることもあります。当然ですが・・.。
C3c
humpあるいは墨適様反応にも窺えます。


症例4 基底膜内の墨滴様広がりが目立った例

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管内に好中球が目立っています。
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典型的なhum像を呈しています。右のhumpはurinary腔に浮いた状態。
赤血球が自在に形を変え移動する像も捉えられtいます。右のhumpは足細胞二次突起に被われている様子ですが、左のhumpは足細胞本体に取り込まれているようにも窺えます。
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糸球体基底膜内墨滴depositが滴状あるいは筆で引いたような線状に現れています。この線状墨滴が高じて表現されるのがDDD腎症と思えてきます。


症例5 糖尿病にhumpが出現した例

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糖尿病性腎症の特徴の一つ滲出性病変が見られます。
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糸球体基底膜は糖尿病特有の肥厚が目立ってきます。
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humpとparamesangial erea に滲出性病変が見られます。下部係蹄壁は肥厚著しく硬化像を呈し、基質内に見える針状のdensityの高い物質は壊死に陥ったメサンギウム細胞かあるいはフィブリン析出様にも窺えます。


症例6 AGN+IgA腎症の合併例

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メサンギウム細胞とメサンギウム基質の増生が見られます。
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管内には好中球、組織球?
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urinary spase突出する円形 dense deposit。この像はIgA腎症で頻出し、IgA腎症所見の一つにしています。
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AGNに典型的な糸球体基底膜内墨滴像と上皮下hump。humpの先端が切れています。ナイフに傷が入っていると像がこのような形で切れてしまいます。
C3c
メサンギウム領域に反応が見られます。
IgA
メサンギウム領域に強い反応が見られます。