糖尿病性糸球体症

電顕にて糖尿病性腎症を観察する場合、その症例が短期間のものか長期にわたる症例かで、光顕所見よりも相当幅の広い範囲が入ってくると思われます。短期間の糖尿病では腎臓の病理学的変化は乏しく、検出されないことも多くなると云われます。長期間の症例では、その特徴(輸出入細動脈の硝子化、結節性病変、fibrin cap,capsular drop,他 硬化性病変・・)が光顕的に観察されます。
問題は電顕所見です。短期間の症例で臨床的あるいは光顕病理学的に糖尿性腎症が検出できない症例でも、電顕観察では超ミクロのnodular lesionの頻出、輸出入細動脈の変化、糸球体基底膜のglobalな肥厚など糖尿病腎症と思われる極初期の形態変化が観察されてきます。


症例1

x1,000
メサンギウム基質の増大が見られ、糸球体毛細血管腔は周辺部にのみ開口します。
x1,000
増大した結節には細胞成分は見られないのも特徴です。結節により圧縮された管腔内には滲出性病変が現れています。
x1,200
係蹄軸部の結節変性と左右の管内と思われる space には foam cell が見られます。


症例2

x1,200
血管局部と同様に右部(糸球体中間部)メサンギウム基質の肥厚が見られます。血管局部管内には比較的大きな血小板も検出できます。
x1,800
血管局部付近のメサンギウム基質内に、ミクロ結節様形態が目立っています。
x5,000
肥厚した糸球体基底膜と内皮下腔(lamina rara interna)の腫張が窺えます。


症例3

x1,200
低倍率での形態変化は目立ちません。
x3,000
メサンギウム基質内にnodular lesionの芽のような超ミクロ的結節が見られます。右端基質内に小球状結節が特徴を呈しています。
x7,000
高血圧、DM、はじめ硬化性の疾患に関連する予兆のある症例では、早い段階でメサンギウム基質内に小球状の所謂超ミクロ結節が窺えます。
x12,000
この段階では基底膜の肥厚は目立ちません。内皮下腔の拡張がみられます。
x12,000
糸球体基底膜の断列が見られます。


症例4

x1,200
分葉化した左の、一部メサンギウム基質が硝子変性状に見られます。
x1,200
細胞核を容れない特徴的なnodular lesion像。この大きさになれば光顕でも十分に確認でき、micro nodular ---.とは区別しています。
x3,500
電見レベルでのnodular lesion (micro nodular lesion).光学顕微鏡で覗くと、これがPAS染色に反応しIgA腎症(円形大型deposision)と見誤ることもあります。


症例5

x1,200
メサンギウム基質の増生にくわえ、globalな糸球体基底膜肥厚が窺えます。
x1,500
メサンギウム増生は全体的に円形状を帯びてきています。
x2,000
左上部の結節状に増生したメサンギウム基質にはdensityの濃淡が見られます。その軸部から末梢に連なる血管壁、糸球体基底膜上皮下に膜性パターンのdense depositが見られます。
x10,000
DM 特有の糸球体基底膜肥厚。lamina densaは肥厚膨張により希薄化均一化しています。
x1,800
DM症例で部分的な糸球体基底膜に膜性パターン(連珠性上皮下deposit)を呈した像です。
x6,000
上皮下deposit.deposit間の足突起は本来の足突起ではなく、偽足突起と化した microbilliと思われます。


症例6

x1,200
中等度に成長した電見レベルのnodular lesion。糸球体基底膜は globalに肥厚がみられます。
x3,500
メサンギウム核を押しのけ成長(DMの特徴)する電見レベルのnodular lesion。


症例7

x1,200
メサンギウム基質の軽度増生がみられるが、基質内の増生形状は窺えません。基底膜は肥厚しています。
x2,500
部分的糸球体係蹄壁の一様な肥厚がみられます。
x2,500
糸球体基底膜のglobalな肥厚とmicro nodular lesion。電顕レベルでの典型的DM像です。
x5,000
大小のmicro nodular lesion。
x5,000 所謂電顕レベルのnodular lesion (micro nodular lesion)