JMU

Human Pathology

臨床研究

現在実施中の臨床研究について情報公開しています。ご質問等ございましたら下記連絡先までお問い合わせください。

1. 放射線・化学療法後の癌細胞生存機構の解析
   
研究対象 2005年1月から2016年12月までに自治医科大学附属さいたま医療センターにて、放射線療法あるいは化学療法を実施後に切除術を行った乳癌または大腸癌の患者さんを対象とします。大腸癌については、比較対照として未治療で切除された大腸癌の患者さんの一部も対象となります。
研究の目的・意義 放射線・化学療法に抵抗して生存する癌細胞において、その生存に重要な分子を同定することを目的とします。近年、様々な治療薬が開発されているものの、治療後に起こる悪性度を増した癌の再発が、治療成績の改善を阻んでいます。治療に抵抗する癌細胞の生存機構を解明することにより、治療後の癌細胞の生存を抑制するあるいは再発を遅らせるような治療法の開発を目指します。
研究方法 放射線療法後あるいは化学療法後に切除された手術検体において癌細胞の残存が認められた検体で、病理診断後のホルマリン固定後パラフィン包埋ブロックを用いて、特定分子に特異的に反応する抗体を用いた免疫染色およびRNA in situ hybridization法(RNAscope)を行います。放射線・化学療法前に実施された生検検体と治療後に切除された手術検体との比較解析、あるいは放射線・化学療法後に切除された手術検体と未治療で切除された手術検体との比較解析を実施します。
研究期間 2023年3月まで
研究に利用する情報 患者さんの診療録より、以下の情報を使用いたします。 臨床情報として、年齢,性別(女性の場合は閉経の有無),臨床病期,術前の腫瘍径,術前療法の内容(方法,用量,期間),治療効果判定を収集します。また、病理診断情報として、組織型,脈管侵襲,リンパ節転移の有無,治療効果,免疫染色結果を収集します。患者さんが解析対象となることを拒否された場合は対象から外させていただきますので、下記研究責任者までご連絡ください。ただし、連絡をいただいた時点で既に解析が行われていたり、あるいは研究成果が学会・論文などで発表されている場合には、対象から外すことはできませんので、ご了承ください。なお、研究に参加されなくても不利益を受けるようなことは一切ありません。
個人情報の取り扱い 診療録データおよび染色標本は研究責任者が連結不可能匿名化(どのデータが誰のものか誰もわからないように記号化し、それをもう一度照合することができないようにすること)したうえで、研究に使用します。個人情報は秘匿されます。データは、研究責任者が人体病理学部門においてパスワードを設定したファイルに記録し、アクセス管理されたHDD上に保存します。染色標本は施錠できる標本棚に保管します。研究成果は、個人を特定できない状態で学会発表や論文などで報告します。
問い合わせ先及び苦情の窓口

【研究責任者】自治医科大学 病理学講座 人体病理学部門 河田 浩敏

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 電話:0285-58-7237

【苦情の窓口】自治医科大学附属さいたま医療センター総務課

電話:048-648-5225

2. 内分泌療法後の前立腺癌組織における蛋白発現変化の検討
   
研究対象 2005年1月から2011年12月までに自治医科大学附属病院にて、内分泌療法後に前立腺摘出術が行われた前立腺癌の患者さん及び内分泌療法を行わずに前立腺摘出術が実施された患者さんを対象とします。
研究の目的・意義 内分泌療法後に治療に抵抗して生存する癌細胞において、その生存に重要な分子を同定することを目的とします。近年増加傾向の強い前立腺癌に対しては、比較的副作用の少ない内分泌療法が選択されることが多いものの、治療抵抗性となった癌が再発することが問題となっています。治療に抵抗して残存する癌細胞の生存機構を解明することにより、治療後の癌の再発を抑制するかあるいは再発を遅らせるような治療法の開発が期待されます。また、実際の前立腺癌組織を用いたこれらの検討により、実験的な研究で得られた解析結果の信頼性を高めることができます。
研究方法 摘出された前立腺癌組織は、病理診断(摘出された癌組織の性状や手術が適切に行われたかどうか等を評価する顕微鏡検査)を行われた後もホルマリン固定後パラフィン包埋ブロック(FFPE)の状態で一定期間保管されています。本研究ではその一部少量使用して、免疫染色(特定の分子を検出して染色する検査)あるいはRNAscope法(特定のRNAと反応する試薬を用いて検出する新しい検査法)を行います。内分泌療法により癌細胞にどのような変化が起こっているのかを、内分泌療法を行っていない癌細胞と比較することにより明確にします。
研究期間 2019年4月1日から2023年3月まで
研究に利用する情報 患者さんの診療録より、以下の情報を使用いたします。 年齢,臨床病期,腫瘍マーカー(PSA)値,治療内容(方法や治療期間等),治療から手術までの期間を収集します。また、病理診断情報として、組織型(Gleason score),脈管侵襲や神経周囲侵襲の有無,リンパ節転移の有無,治療効果を収集します。患者さんが解析対象となることを拒否された場合は対象から外させていただきますので、下記研究責任者までご連絡ください。ただし、連絡をいただいた時点で既に匿名化されてデータ解析に入っていたり、あるいは研究成果が学会・論文などで発表されている場合には、対象から外すことはできませんのでどうぞご了承ください。なお、研究に参加されなくても不利益を受けるようなことは一切ありません。
個人情報の取り扱い 診療録データおよび染色標本は研究責任者が匿名化(対応表無し)(どのデータが誰のものか誰もわからないように記号化し、それをもう一度照合することができない状態にすること)したうえで、研究に使用しますので、個人情報は秘匿されます。解析データは、研究責任者が人体病理学部門においてパスワードを設定したファイルに記録し、アクセス管理されたHDD上に保存します。染色標本は施錠できる標本棚に保管します。研究成果は学会発表や論文などで報告します。なお、対象の方のご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出下さい。
問い合わせ先及び苦情の窓口

【研究責任者】自治医科大学 病理学講座 人体病理学部門 河田 浩敏

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 電話:0285-58-7237

【苦情の窓口】自治医科大学研究支援センター臨床研究企画管理部管理部門

電話:0285-58-8933

3. ヒト正常組織における線維芽細胞増殖因子ファミリーの発現解析
   
研究対象 自治医科大学附属病院で剖検となった症例のなかで事故死や突然死などの剖検例から作製した病理ブロックを用いて研究を行います。
研究の目的・意義 人体では増殖因子という活性物質が産生されます。増殖因子は非常に多数存在し、その性質から特定のファミリーに分類されています。線維芽細胞増殖因子ファミリーもその一つです。線維芽細胞増殖因子ファミリーについては、様々な機能が推定されていますが正常の新生児や成人での発現は十分に検討されていません。そこで、今回、本学附属病院で剖検された症例の中から、事故などで剖検となった症例を選び、すでに作製している組織ブロックを使用して正常での線維芽細胞増殖因子ファミリーの発現組織や発現細胞を同定し、病気との関係を明らかにする基礎情報を得ようと考えました。この研究により、線維芽細胞増殖因子ファミリーの発現細胞が確認でき、将来の医学研究に役立つことが期待されます。
研究方法と研究に利用する情報 Advances Cell Diagnostics社が最近開発したRNAscopeという感度の高い手法を用いて正常ヒト組織における線維芽細胞増殖因子ファミリーの発現部位や発現細胞を明確にしようと考えています。そのため疾患が指摘されない、事故死などで剖検となった新生児、乳児、成人の剖検組織ブロックから病理切片を作製し、スライドガラスの上で線維芽細胞増殖因子ファミリーを発現する細胞を染色することで発現組織や発現細胞を同定します。なお、対象とする剖検例について、剖検台帳から年齢、性別、臨床診断についてのみ、情報として取得します。
研究期間 2022年3月31日まで
個人情報の取り扱い 匿名化番号を付して切片を作製し、染色します。年齢、性別、臨床診断のみを情報として抽出後、研究開始前に固有の剖検番号との対応表を破棄しますので個人情報は保全されます。
問い合わせ先及び苦情の窓口

【研究責任者】自治医科大学 病理学講座 人体病理学部門 教授 田中 亨

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 電話:0285-58-7237

【苦情の窓口】自治医科大学研究支援センター臨床研究企画管理部管理部門

電話:0285-58-8933

4. ヒト神経芽腫における幼弱因子の発現検討
   
研究対象 1990年1月1日~2000年12月31日にかけて自治医科大学附属病院を受診し、神経芽腫・神経節芽腫として外科的に切除されている症例について、病理診断用にすでに作製しているパラフィンブロックを用いて研究を行います。手術から20年以上を経過した症例のみを選択していますので、この研究が治療に影響することはありません。
研究の目的・意義 神経芽腫は小児固形悪性腫瘍で代表的な腫瘍であり、様々な研究が行われています。神経芽腫は未分化状態のまま高度に進展する症例から、未治療でも自然退縮する症例まで存在し、生物学的な振舞いに多様性があります。本研究では、細胞や組織の成熟性、幼弱性に関連する因子の解明を目指しており、神経芽腫の多様性は細胞の成熟性、幼弱性を検討するのに適していると考えています。本研究では、すでに作製してある病理診断用パラフィンブロックを用いて検討しますので、患者さんに対して新たな試料の提供をお願いすることはありません。非常に基礎的な研究ですが、将来的には新たな治療法を提示できる可能性は秘めています。
研究方法と研究に利用する情報 自治医科大学附属病院で神経芽腫・神経節芽腫として外科的に切除された方について、すでに作製してある病理診断用パラフィンブロックから、病理切片を作製し、抗原・抗体反応を利用して、腫瘍細胞の特性を調べるものです。腫瘍の分化、幼弱、未分化成分と、目的とする分子の発現の相関を調べます。一般の人にはわかりにくいとは思いますが、具体的には、IGF2BP3 familyとその関連分子、DLK1を含めたNOTCHリガンドに注目して検討を行います。すでに、診療録に記載されている、臨床的な腫瘍の進行の度合いや、病理診断報告書に記載されている内容も個人情報と切り離して、抽出しますが、これらの情報はあくまで参考所見として使用する程度です。
研究期間 2024年3月31日まで
個人情報の取り扱い 実際の研究では個人情報と切り離された番号のみを使用して検討を行いますので、研究段階で個人情報が漏れることはありません。また、上記の番号と臨床情報を記載したデータとは研究開始前に対応ができなくなるようにします。
重要な注意点 もし、研究に病理ブロックを使用して欲しくない場合は、ご本人から研究開始前に研究責任者に連絡していただければ、病理ブロックの使用を拒否できます。また、すでに診断用に作製されている病理組織ブロックを用いる研究で、しかも、手術後20年以上を経過した症例に限定していますので、研究への使用を拒否されても診療に影響を与えることはなく、患者さんにとって不利益は生じません。なお、研究期間後、5年以内には個人を特定されない形で学会や学術誌などで結果を発表します。そのため、研究期間後あるいは発表後5年間は作製・評価した病理切片は厳重に保管します。その期間が過ぎれば、医療用廃棄物として密閉して廃棄します。
問い合わせ先及び苦情の窓口

【研究責任者】自治医科大学 病理学講座 人体病理学部門 教授 田中 亨

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 電話:0285-58-7237

【苦情の窓口】自治医科大学研究支援センター臨床研究企画管理部管理部門

電話:0285-58-8933

5. 口腔扁平上皮癌におけるKLF5とその関連分子の発現解析
   
研究対象 2012年1月1日~2015年12月31日にかけて自治医科大学附属病院歯科口腔外科に受診し、口腔扁平上皮癌として外科的に切除されている症例について、病理診断用にすでに作製しているパラフィンブロックを用いて研究を行います。手術から5年以上を経過した症例のみを対象としており、すでに手術に関連した治療としては治療効果が評価できているものを選択していますので、この研究が治療に影響することはありません。
研究の目的・意義 癌については膨大な研究が行われていますが、その制御は極めて困難です。口腔に発生する扁平上皮癌についても、癌の進行の度合い(ステージ)に応じて外科治療、放射線治療、化学療法を組み合わせて、治療を行いますが、完全な制御はできていません。新たな治療法の開発を目指し、本研究では、KLF5という分子に着目して、KLF5が口腔癌の進展にどの程度関係しているかを明らかにします。本研究では、すでに作製してある病理診断用パラフィンブロックを用いて検討しますので、患者さんに対して新たな試料の提供をお願いすることはありません。非常に基礎的な研究ですが、将来的には新たな治療法を提示できる可能性は秘めています。
研究方法と研究に利用する情報 自治医科大学附属病院歯科口腔外科で口腔扁平上皮癌として外科的に切除された方について、すでに作製してある病理診断用パラフィンブロックから、病理切片を作製し、抗原・抗体反応を利用して、癌細胞の特性を調べるものです。特に、KLF5という分子に注目して検討を行います。KLF5が発現している癌について、すでに、診療録に記載されている、臨床的な癌の進行の度合いや、病理診断報告書に記載されている癌の特性との相関を調べていきます。本研究により、KLF5が口腔癌の治療に重要か否かが明らかになります
研究期間 2024年3月31日まで
個人情報の取り扱い 実際の研究では匿名化番号という個人情報と切り離された番号を使用して検討を行いますので、研究段階で個人情報が漏れることはありません。また、臨床情報を記載したデータとの対応表は研究責任者が厳重に保管・管理しますので個人情報は保全されます。
重要な注意点 もし、研究に病理ブロックを使用して欲しくない場合は、いつでも拒否できますので、研究責任者にご連絡ください。また、すでに診断用に作製されている病理組織ブロックを用いる研究で、しかも、手術後5年以上を経過した症例に限定していますので、研究への使用を拒否されても診療に影響を与えることはなく、患者さんにとって不利益は生じません。なお、研究期間後、5年以内には個人を特定されない形で学会や学術誌などで結果を発表します。そのため、研究期間後あるいは発表後5年間は作製・評価した病理切片は厳重に保管します。その期間が過ぎれば、医療用廃棄物として密閉して廃棄します。
問い合わせ先及び苦情の窓口

【研究責任者】自治医科大学 病理学講座 人体病理学部門 教授 田中 亨

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 電話:0285-58-7237

【苦情の窓口】自治医科大学研究支援センター臨床研究企画管理部管理部門

電話:0285-58-8933

ホームに戻る

Copyright 2016 Jichi Medical University. All Rights Reserved.