AADC欠損症とは

芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(Aromatic L-amino acid decarboxylase ;AADC)は、重要な神経伝達物質であるドパミンやカテコラミン、セロトニンの合成に必須の酵素です。ドパミンは、おもに脳内の線条体というところで運動機能を調節します。カテコラミンは自律神経の働きの調整、セロトニンは睡眠・食欲・体温などの体のリズムや感情などの調節に関わっています。
 AADC欠損症は、生まれつきAADC遺伝子の変異があり、AADCが働かなくなる常染色体劣性遺伝性疾患です。
 AADCが欠損することで、ドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が正常に作られません。そのため、体をうまく動かすことが出来ず、ジストニアなどの不随意運動がみられ、発汗や血圧の調整などの自律神経機能がうまく働かないなどの症状がみられます。

現在、世界中で報告例は100例未満で、日本では5家系6例診断されている稀少難病です(2015年10月現在)。台湾では比較的発症率が高くなっています。

AADC欠損症の典型例では、生後1か月以内に発症し、眼球が上転する発作(oculogyric crisis : OGC)や、全身を硬直させるジストニア発作がみられます。自発運動は極めて少なく、首もすわらず、生涯寝たきりの生活を送る方も多いです。重症例では、症状の進行とともに嚥下困難や呼吸障害が出現し、小児期に死亡するとの報告もあります。

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