ごあいさつ

小児科学主任教授 自治医大とちぎ子ども医療センター長 小坂 仁
小児科学主任教授
自治医大
とちぎ子ども医療センター長
小坂 仁

私達の大学は、“医療の谷間に灯をともす”ことを目的として、開かれた大学です。2022年には創立50周年を迎え、卒業生は、全国津々浦々、離島も含め日本各地でご活躍され、地域の人々の医療を守っておられます。鴨下重彦教授の下で発足した小児科学教室は、柳澤正義先生、桃井眞里子先生、山形崇倫先生へと引き継がれ、現在50名余のスタッフにより、子ども医療センターと周産期母子医療センターの112床の入院病床を担当し、この地域の小児医療の高度医療機関として、こどものあらゆる医療的な問題に対応しています。また遺伝子治療という自治医大を代表する治療研究開発の臨床拠点となり、成人疾患に比して顧みられることの少なかった”小児難病という医療の谷間に”、希望の灯をともす画期的な治療法を世界に向け発信しています。

自治医科大学とちぎ子ども医療センターは、 総合母子周産期センターとともに大学に併設された子ども病院です。子どもには、こどものための独立した病院が必要であり、しかも大学に併設された形が望ましいのは、欧米の小児病院がそのような形式であることからも明らかです。次世代のこどもとその家族に対し、どのような境遇に生まれようとも、安全かつ最先端の医療を届けたいと新しい治療法導入、診断開発、治療研究を行っています。小児外科系・成人各科との連携により、小児のECMO管理、不整脈のカテーテル治療や腎臓、肝臓移植などが行われ、基礎研究者との連携により様々な遺伝子治療研究が行われております。ここで行われている医療・治療研究は、基礎医学と臨床医学、小児と成人、日本と外国といった垣根を超えて行われているのが大きな特徴です。

自治医大の卒業生は、9年間を出身都道府県での義務年限として過ごすため、私達の医局には学閥がなく、出身地や出身大学も多様であり、普段意識することもありません。若い先生方には、子どもたちが、その可能性を最大限発揮できるよう、こどもの総合診療医になれるよう、生涯勉強と研究を続ける一方、高い専門性を持ち、新たな領域を切り開くことを望み、支援します。皆様には、様々な人・科学領域・分野をつなぎ、子どもと若い家族を支援する、重層的なネットワークを作っていってほしいと考えています。当院での研修を考えている医師の方に対しては、皆様の医師としての一生を通じ、様々な立場で充実した人生が歩めるよう、教育し研究を支援します。

自治医大小児科で、皆様とともに学び、日本の小児医療をけん引し、科学立国としての日本のイノベーションにかかわり、ひいては子供たちが活躍する日本の将来に貢献したいと考えております。