X線撮影管理

 

自治医科大学附属病院 中央放射線部

診療放射線技師 神山 辰彦

 

よいX線写真(診断的価値のある、撮影技術的に)を撮影するために必要な基本的な技術をまとめてみる。 


自動現像機 どんなに高性能な撮影装置、ベストな撮影条件やポジショニングができても最後の現像処理が悪かったら良い画像を得ることができない。この自動現像機を管理することがよいX線写真を撮る一番重要なポイントである。自動現像機は、処理枚数が少ないほど管理が難しくなるということを忘れないでほしい。一日20枚以下の処理では自動現像機の管理はできないと思って欲しい。ここでの管理は現像液(定着液はあまり気にしないでよい)の管理をするということであり、現像液の酸化(空気面の接触や日光等により酸化し、温度が高いと酸化は促進される)による劣化を早期発見するが重要である。現像液の劣化はX線写真のコントラスト低下、カブリの増加として現れ撮影条件も多く必要になる。実際には徐々に劣化が進行するので早期発見は難しい。そこで簡単な方法としてアルミ階段(骨塩測定MD法に使用するもの)を使用する方法がある。新しい現像液時にこのアルミ階段を膝の条件で撮影して現像処理し、このフィルムをコントロールとして保管しておく。一週間後に同じ条件でアルミ階段を撮影・現像しコントロールフィルムと比較する。各々の階段濃度やカブリ具合を比較して劣化の判定をする。変わらなければそのまま使用し、その後一週間ごとに同様な撮影を実施し濃度が変化してきたなら劣化してきた証拠であるので現像液を全部交換するとよい。新液交換時にスタータという処理液(カブリ防止剤)を必ず忘れずに入れること。定着液は現像液3回に1回の交換でもかまわない。大変であるがこれが一番ベストの方法である。それができないなら自動現像機を使わずに手現像処理を覚えた方が実践的だと思う。

自動現像機のメンテナンス契約(定期点検)は是非とも結んで欲しい。濃度管理は自分で可能でもローラー・部品等の交換は自分ではできない、これも劣化するため定期的に交換すべきものである。メンテナンスには、故障した時の修理などの事後保全と故障する前に交換する予防保全があり、僻地診療所では予防保全で故障を最小限に抑えておく必要があるのではないか。

特に注意して欲しいのは、使用期限の切れたフィルム(フィルム箱に記入してある)を使用した場合と暗室のセーフティランプが原因でも同様な現象が起きることがある。一つ一つ原因を捜していくしか方法はない。

また、自動現像機の故障が原因で現像温度が高くなりすぎた場合にも同様な現象が見られる、その時はカブリはあるけどコントラストは低くない、また突然にこの現象が起きたなどで気がつくと思う。


 感光材料 X線フィルムとスクリーン(増感紙)の種類は、大きくオルソタイプ(希土類)とレギュラータイプに分けられる。それぞれの組み合わせでシステム感度を持つ。将来、感光材料を更新する時にはオルソシステムを推奨したい。オルソシステムはレギュラーシステムと比べて鮮鋭度と粒状性がよい写真となっている。近い将来全部オルソシステムになると思われる。(一般病院は7割がオルソシステムであるが、僻地診療所は3割弱しか使われていない。)欠点はスクリーンの価格が高いことである。(フィルムは同じ価格)

使用上注意すべき点は、フィルムとスクリーンがそれぞれのタイプに専用であるので、オルソのフィルムをレギュラーのスクリーンに使用したりしないこと。(その逆も同じこと)撮影時間が長くなったりなど、よいことは少しもないので注意して欲しい。

システム感度は200(標準的)以上を使用し、低感度システムは被爆が増えるし、高感度のシステムは画質が悪くなるので注意すること。

使用するサイズ(半切、大角、四切、)を限定し、50枚入りを購入し使用期限内に使いきるようにする。また、四切は胃透視のフィルムと兼用するとよい。(胃透視撮影のスクリーンとフィルムはオルソタイプが多いのでカセッテのスクリーンもオルソに変更することを忘れてはいけない) 


撮影条件 撮影条件は、同じ被写体でも装置の種類、撮影距離、散乱線除去板(グリッド・リス・ブッキー)の種類、感光材料、自動現像機などにより変化してしまうので、他からの条件表の流用使用には注意が必要となる。特に大学病院などの条件表は全く診療所では使用できないものと思ってよい。その診療所のシステムに適した撮影条件表を作成することは簡単ではない。

撮影部位により適正管電圧があり、グリッド使用の有無など注意が必要である。グリッドは60kV以上で使用し、肩関節と膝関節以上が使用の目安となる。

基本的に短時間撮影になるよう撮影条件を作成し、動きによる再撮影やボケを少なくする。(腹部や胸部条件は管電圧を高めに設定するとよい)

撮影条件は自分の体格との対比で覚えるのがよく、自分よりこれくらい太っているので5kV上げようとか、また小児の膝などは自分の手首の太さと同じで撮れるなどと考えていくのがよい。しかし感覚的要素が多いのも事実である。


 X線撮影装置 使用開始前には、エージングを実施する。そうすることで、X線管の寿命を延ばすことができる。特に胸部撮影で100kV以上の管電圧を使用する時は必ず実行する

60kV.200mA.0.04secから管電圧のみ10kV間隔で100kVまで行い、それ以降は5kV間隔で使用する管電圧まで行う。管電流と撮影時間は、変更しなくてよい。(60kV.70kV.80kV.90kV.100kV.105kV.110kVなど。カセッテなど置かずに空曝射をする。)

メンテナンス契約を結ぶとよい。装置の管電圧、管電流等は定期的に調整して狂いのないようにしておくこと。(表示値と測定値の狂いはよくおきる現象)

透視撮影装置をうまく使いこなすこと(透視装置のオート撮影を使用することで撮影条件等の失敗を少なくする)。胃や大腸の検査だけでなく、腰椎や尿路系、膝、手、また救急患者など撮影できない部位はないといえる。その際は目的部位に絞って(手動絞り)撮影することである。そうすることで安定した濃度で撮影できる。(濃度調整は2つ程度プラス側に設定するとよい)

X線装置には許容最大管電圧と管電流がありそれ以上の条件で撮影した場合には故障するので注意すること。(特に大学病院等の撮影条件を使用する場合)

撮影装置を更新する場合にはオート撮影装置(フォトタイマ)をオプションで撮影寝台や壁型ブッキー装置に付けると撮影条件に苦労しないですむ。 


その他 被爆に関する説明や小児・妊娠可能な女性の検査には注意が必要である。(10Day,s Rule)

半切、大角、四切りのリスホルム(散乱線除去板)があると、ストレッチャーの上で撮影可能である。

ポジショニング用撮影補助具があるとよい。(三角枕や頭部固定枕など市販されている)

医療法違反をしないこと。(X線撮影をできるのは医師、歯科医師、放射線技師のみである)  


最後に放射線部に放射線技術相談室を開設しているので、撮影法、撮影条件、自動現像機、新装置の導入のこと等々、なんでも相談お受けいたしております。お気軽にご利用してください。また、自治医大のサーバーにホームページを載せてありますのでFAQ集・条件変更法など参考にしてください。

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