教室の基本方針(2010年9月)(主任教授:安田是和)

基本指針

自治医科大学は地域医療充実を建学の精神とする大学である。消化器一般外科においてもその精神を尊重し、専門に偏りすぎることなく、研究、教育、診療を行うことを基本とする。若い人材を大切にし、自由な雰囲気を尊重し、外科学に寄与し、これを発展させる事を目標とする。

教育

教育は当科において、最も重視している分野です。教育をすることは、自分を高めることにもつながります。また外科は書物だけで外科医を育てることはできません。外科医を目指すもの、外科医を育てる良い指導医であるためには、まず患者さん、医師、コ・メディカルなどとの良好な信頼関係に基づいたチーム医療が構築できる外科医を育てることが重要であると考えています。

病棟医の教育とチーム医療の重要性:現在病棟は3−4人の医師のチーム制として、これにBSLの学生がいわゆるclinical clerkshipのもとに参加して、術前診断、周術期管理、手術という、患者さんの入院から退院までの業務を行っています。このチームをもとにした医療は当科で重視している教育の最小単位です。チームの上級医は指導医として、チームをまとめ、オーベンはネーベンに、そして研修医、医学生に到るまで、チームの治療に対する考え方を検討しなければなりません。チームの中で討論は自由闊達に行うべきですが、ときには意見が食い違うことがあるかもしれません。そのようなときには、ネーベンの医師は上級医の意見やカンファレンスの方針に従って下さい。上級医はチームリーダーとしての方針を決定しますので、当然責任は重大であり、結果責任も上級医にあります。ネーベンの先生方は、自分の主張を述べることは自由ですが、いろいろな上級医の意見を十分取り入れ、多くの外科医の考え方を身につけて下さい。将来自分の専門が何になるにせよ、多様な考え方と広い視野を持つことは、将来多くの場面において役立ちますし、自分の世界を拡げる事は、新たな可能性を生むことにも繋がります。
学生教育:学生教育には、講義とBSLがあります。講義は現在のカリキュラムの時間数では外科学のすべての教育項目を網羅することは不可能です。勿論講義には十分な準備を行って魅力ある理解しやすい講義を目標にして下さい。講義は知識教育に陥ることなく、学生が自ら勉強をする意欲を高め、外科の魅力を伝える工夫が大切です。またBSLでは患者さんを通して臨床の問題点を自分で見出し、その問題点を自ら解決できるような指導を心がけて下さい。
研修医教育(J1,J2):現在の病棟は多数の手術を効率よく行うためにパスが多用されています。そのため研修医が自分で輸液計画をたてたり、ドレーンの管理を自主的に判断する機会が少なくなる傾向があります。研修医は、パスが無くとも輸液計画をはじめとする周術期管理や術創の管理ができるように、パスの成り立ちと内容の意味を十分理解し、毎日の輸液の内容、必要エネルギー、電解質の補正などが正しく行われているかを確認して下さい。また消化器外科では常に栄養管理が問題となります。栄養に十分留意した治療計画が立てられるように上級医は指導して下さい。また可能な限り、外科的手技を体験させるように心がけ、切開、縫合は勿論ですが、適切な症例があれば、術者として手術を体験する機会を持たせて下さい。研修医は術者としての外科的基本手技を常日頃から自己訓練し、また超音波検査などチームでできる検査は病棟で指導医のもとに自分自身で行うように努めて下さい。安易に他科に依頼することなく、自分でどこまでできるか挑戦する気概を持って下さい。カンファレンスの準備は需要な教育の一つです。決められた時間内に手術に必要な情報を解りやすく発表する訓練も外科医にとって重要です。またカンファレンスの質問に研修医や学生が応えられなければ、チームの医師が替わって対応するように、チームとして発表する気概をもってカンファレンスに望んで下さい。
研修医教育(S1−S3):シニアレジンデントには、手術の内容にもよりますが、努めて術者となるように指導します。また同時に助手として多くの手術を経験し、上級医の手術手技、手術の組み立て方、戦略の立て方を勉強して下さい。手術の前には解剖書、手術書を必ず読んで、手術の経過を理解、整理し、イメージトレーニングを行ってから手術に望むように心がける事が大切です。また指導医が術者となったときには、教育的観点から手技や解剖の重要な点を解りやすく解説するように心がけて下さい。
助教への教育:レジデントの課程が修了し、助教になるころには外科のアウトラインや自分の将来について考える時期であると思います。人によっては大学院への進学も考慮することになるでしょうし、専門医の取得も重要な目標です。また研究にも大いに興味を持って欲しいと 思います。留学することも強く勧めます。また指導医としての仕事も重要となってきます。指導医は助教に対してはさらに自立した外科医を志向するような指導が求められ、彼らと共に学び、論文作成などを指導する姿勢が求められます。

研究

自治医科大学は地域医療充実を建学の精神とする大学である。消化器一般外科においてもその精神を尊重し、専門に偏りすぎることなく、研究、教育、診療を行うことを基本とする。若い人材を大切にし、自由な雰囲気を尊重し、外科学に寄与し、これを発展させる事を目標とする。

留学

留学により外科医として外国での手術に参加したり、研究することにより、視野は広げることは長い外科医の生活において非常に印象的で大切な体験であると思います。留学は原則として学位を取得したものに認めるルールが従来から当科においてはあり、当分はこのルールを適用したいと思います。留学には研究を重視するものと、臨床を重視するものとがあり、個々人の価値観によって適切な留学先を選定して下さい。当科としても可能な限り留学の支援を行いますし、留学経験者は希望者に応じて留学先の紹介を積極的に行って下さい。

外科医の健康

DPCの導入とともに、手術数の増加、在院日数の短縮、患者への説明責任の増加、安全対策への配慮など外科医の負担は増加の一途をたどっています。しかし患者さんの健康に貢献するためには、まず外科医が健康でなければなりませんし、個人の時間も大切にするべきです。そのためには現在の労働環境を改善する必要があります。基本的には外科医数、看護師数の増加が必要であり、短期間での改善は望めませんが、これを放置することは許されず、今後できる事から改善に着手します。仕事は効率を考え、余裕があるときにはなるべく早く帰宅し休養するように心がけて下さい。今後は当直明け後の手術の執刀などは可能な限り避けるようにスタッフで検討して行きたいと考えています。また女性医師が増加してきており、現在自治医大外科では女性医師支援の方策が講じられています。当科としても全面的にかつ積極的に関与していきたいと考えています。

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