
■小児移植への志
私は、自分自身が子供のころから、小さい子が好きでした。内科・小児科を開業していた父の薫陶もあり、小児科医になることを考えていました。しかし、陸軍軍医であった父は内科医でありながら膿瘍切開、切開創の縫合、などの小手術が得意でした。父の見事な手術を見て、外科医になることを決意しましたが、根っからの子供好きがこうじて、小児外科医になりました。小児外科の研修時代に最初に受け持った子が胆道閉鎖症でした。この子の救命のために胆道閉鎖症の病因の研究に没頭し、治療としての肝移植に到達しました。

■自治医大移植外科について
当科では、18歳未満の小児を中心とした、生体肝移植が年間22例(2007年度)、実施されています。年間22例と言うと“少ない”と思われるかもしれません。我が国では、小児肝移植例は年間130例でほぼ一定の例数です。従って、当施設の年間小児肝移植数は、全国の年間小児肝移植の17%を占めています。当施設では、2001年5月に、生体肝移植が開始され、2008年8月現在、127例に対して133回の生体肝移植が行われました。全例が小児例で、この症例数は小児生体肝移植としては、京都大学に次いで全国で2番に多い数になります。現時点の生存率は94%であり、日本全国の小児生体肝移植の生存率は84%ですから、当施設の生存率は全国平均よりも約10%高くなっています。