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次世代医師研究者交流会

若手医師や研究者、大学院生間の交流を深め、多様なキャリア形成や研究を推進するために、若手医師・研究者の企画による「次世代医師・研究者交流会」を行っています。学内外の研究者による講演やその後の懇親会を通じて、学内の部門を超えた臨床と基礎を結ぶ新しい医療・医学研究の発展や、大学院生の交流推進を目指します。 参加は自由です。ひとりでも多くの方々との交流の場となりますように、皆様のご参加をお待ちしています。


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第16回 次世代医師・研究者交流会 講演会 2021年11月15日(月)



医学は科学的思考を前提にしており、ヒトの体をたくさんのパーツに分解して理解しようとしているが、それで本当にヒトを理解することができるのか?脳はヒトの体の一部でありながら、自分の体を本当に科学的に理解することができるのか?最近はAIがヒトの病気を診断する、という事象が生じているが、ヒトはAIとどのようにかかわっていけばよいのか?最近の医師は患者を診ないで病気を診ている、というようなことが言われているが、患者を診る、というのはどういうことか?

プログラム
 司会進行         小宮根 真弓 キャリア支援センター長
 開会挨拶         大槻 マミ太郎 副学長
 講師紹介         小宮根 真弓 キャリア支援センター長
 ご講演            養老 孟司 先生
 質問
 閉会挨拶         永井 良三 学長

センター長、副学長のご挨拶のあと、約1時間に渡り、ご講演頂きました。

ご講演前半では、科学的にものを見るとはどいうことか?意識と感覚の問題について話されました。ヒトの意識は特別なものであり、その機能は、以前と同じ自分であることを確認するということ。また、ヒトは、動物が持つ絶対音感や感覚優位の世界と違い、言葉をもち、感覚を無視することで(違いを無視する)本来違うものを同じものとして扱うようになったことなど、違いや同じ、個性といったことの成り立ちを考えさせられる内容でした。

ご講演の後半では、AIとノイズについて話されました。AIはすでに、医療の現場に入っていますが、そのシステムに入れられない情報は無視され、それらはノイズとして扱われ、人がノイズになっていくというお話はとても印象に残りました。今後の社会や医療の現場で、人はAIをどのように認めて、人はどのようにAIと折り合いをつけていくのか。医療の発展に伴い、私たちに投げかけられた大きな問題です。

当日の講演会は、自治医科大学図書館オンデマンドより教職員学生(学内限定配信)及び登録済の医学部卒業生のみなさまに限り、ご覧頂けます。
視聴方法:
1) 図書館オンデマンドサイト https://www.jichi.ac.jp/toshokan/video/videolist.html
から、ビデオオンデマンドをクリックし、ログイン。
2) 左側のタブより学内を選択。
3) その他の一覧から動画をご覧ください。

 


アンケートにご協力ありがとうございました。養老先生へのメッセージは、先生に送らせて頂きました。
アンケートより(抜粋)(参加者160名(キャリア支援センター関係者を含む)、アンケート回答者 47名)

1) 本日のご講演で参考になったことや印象に残ったことをお教え下さい。
  • 同じとは、何をもって同じというのか。

  • 意識と感覚、折り合いをつける。

  • これからの物事は折り合いをつけて考えていくというお言葉に感動した。

  • 絶対音感と相手の話の聞こえ方の話。自分の悩みが解決した気がしました。

  • 折り合いが大事

  • a=bのお話や、本人とはいったいなにかの話など、自分には全く思いつかない考え方であり衝撃だった。また、AIの世界のノイズについて考えさせられた。

  • AIと人間、チンパンジーと人間、絶対音感、a=b

  • ◆ 全ての動物は「絶対音感」を持っている 
    ◆ 同じように見えるものでも同じではないのが当たり前
    ◆ 同じようにみえるものだが、異なっていて当たり前の世界において、異なった部分(=これをノイズという)をある程度受け入れて、文字や言葉で同じ概念に落とし込むことで社会は成立している。
    ◆ AIを進める社会というのは、すなわち「本人=ノイズ」になる社会である

  • 大変功名な先生の貴重なご講演を拝聴でき、とても勉強になりました。

  • 特定分野の専門的な内容ではなかったので理解しやすかったです。コロナ関係の番組で、ウイルスの大きさを無視した図解などに違和感を感じるとのことでしたが、自分も大きさを認識しているということは大事なことだと思いました。

  • 「人類は交換から成り立つ」と話されていました。だからこそ人は人と関わらなければ生きていけないと思いました。また、「折り合い」という言葉も複数回でてきましたが、すべてのことにおいて折り合うことも、生きていく上では必要であると、いろいろ腑に落ちました。

  • 人をパーツでは無く全人的にとらえる。AIとの付き合い方等。

  • AIの話しや、新型コロナウイルスの大きさについて

  • AIに仕事を奪われるというお話がありましたが、A=Bを受け入れた人間の部分だけで生きてしまうと、AI化した人間になり、AIと仕事を奪い合うということになるのかなと思いました。 A=Bを受け入れたことでヒトとして物事を認識することができるようになったのであれば、自分の中にあるA=Bを受け入れたヒトの部分と、A=Bを受け入れられない動物としての部分とを、どう折り合いをつけて生きていくのかを一人一人が考えることが重要なのではないかと思いました。そして、このことが、養老先生が、これからの未来を生きる者に答えを託した問いの答えを見つけるために必要なのではないかなと思いました。 一方で、現代を生きるヒトは、A=Bを受け入れられない動物としての部分をすでになくしてしまっているので、AI化した人間への道を進むしかないところまできているのではないかという恐怖も感じました。 キャリア支援センターの先生方におかれましては、貴重な機会をいただきありがとうございました。

  • 動物は皆絶対音感を持っていて、感覚が研ぎ澄まされている分、言語認識能力が劣ること。自分には違うと思うことに折り合いをつける、ということ。

  • 「相手の身になって考えられること、それが動物とヒトとの違い」という部分がまさに眼から鱗でした。米軍の兵士が負傷した同僚を陣地まで連れて帰ることがあります。自分の危険を顧みずに。もちろん、英雄として称えられます。その英雄たる兵士は「もし私の方が負傷し、彼が私の立場なら、彼は私に同じことをしただろう」という答えたそうです。まさにこれこそ、ヒトがヒトたる所以なのだと思いました。ありがとうございました。

  • x=2、a=bではない、ということや、人間(患者個人)=ノイズであるということは非常に印象に残りました。

  • 自然体な話し方が印象に残った。また来ていただいて、もっとご自由に発言していただければと思う。

  • 折り合いの話

  • 錯覚や勘違いによって生まれうる誤解は身の回りに沢山あることに改めて考えさせられました。

  • 考え続けること、中庸的な見方について。

  • 日頃考えないことを考える機会になりました。

  • いくつものお話があり、いくつかのキーワードが明確でその都度、興味をそそられた。

2)自治医科大学医師・研究者キャリア支援センターは、来年度(2022年度)に開設10周年を迎えます。当センターへ期待することがありましたら、是非教えてください。
  • 女性医師の支援だけしている印象です。しかも時短ばかりじゃなくて、フルタイムに戻るための支援・教育をするべきと思います。他の医療スタッフや研究者からも、不公平感があると思います。

  • 今回のような講演をまた行っていただけますと幸いです。

  • この10年を総括して更なる活動を期待する。

  • 男女の区別なく働きやすい大学を実現させてください。

  • 発足の経緯やHP・活動内容から、どうしても「女性医師支援」の組織と認識しており、男性には無縁の所のように感じてしまいます。「キャリア支援」ということで、もっと幅広い活動やその実績のアナウンスなどもいただけたら良いと思います。

  • 働いている人の健康増進

  • 大切な活動だと思っております。応援しております。

  • 子育て真っ最中でもないためか、センターの活動の中心が講演会、茶話会のイメージが強いです。マンネリ化を防ぐためにメンバー替えなどをして、取り組みの見直しをしていく方が良いのかなと思います。

3) キャリア支援について大学に対する要望がありましたら、是非教えてください。
  • いつも貴重な講演会をありがとうございます。今後更に、研究調査などに、フレキシブルに参加しやすい環境や体制(仕組み)がありましたら、ありがたいと思いました。

  • 研究者のキャリア支援。キャリアの意味が、育児後の復帰と労働継続だけに偏っているのはちょっと違うと思います。

  • 積極的な支援

  • 多様で実用的な情報の提供

  • 女性医師支援はまだ足りないように思います。

 

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