2010年度 第1回 臨床疫学研究セミナー「デザインの立て方」
 
H22年7月10日(土)13:00〜11日(日)15:00 自治医大内
 対象者:本学大学院生、臨床研究初学者

本年度第1回は終了しました:開催報告

  概要 目標 進行 詳細 申込方法 支援部門HPへ


本セミナーについて

 日ごろより研究活動に従事していることと思いますが、研究は何のために行うのか、研究はどのように行うのか、など根本的な疑問を持っていることもあると思います。また、医学研究を行う上で、「統計がわからない」という壁にぶつかります。しかし、研究を行う上で統計は仮説を検証するための道具に過ぎず、統計そのものより研究計画を立てることの方が重要です。初めは、指導者に言われるままに行うこともあったかもしれませんが、自分で研究計画書を作成できると、研究がより楽しいものになるでしょう。

今回の短期セミナーでは、日常での臨床における疑問を解決したい、でも実際のところ自分で計画を立てるところまでは行かないという方を対象に、研究計画立案について学習して頂きたいと思います。まずは、この2日間を通して研究仮説を基に自分で新たな研究計画(プロトコール)の立て方を学ぶことを目的としています。すでに、論文を書いた、研究計画も自分で立てた、という方もいるかも知れません。その場合でも、次に行う研究をイメージして他のメンバーと一緒にディスカッションして頂ければと思います。

今回は臨床疫学研究を中心に学んでいきますが、動物の実験研究、分子レベルの研究でもこのプロセスは同様と考えております。きちんとした研究計画書ができれば、そのまま研究費の申請ができると思います。是非、ご参加ください。


目標:構造化抄録に従って研究計画を立て、倫理審査申請書のを作成する。

・  臨床における疑問の共有、グループのテーマを決める
・  研究仮説を立てる(PICO)
   対象者、介入(曝露)、アウトカムを明確にする
・  研究デザインを選択する
   交絡を明確にする(概念モデル)
   バイアスについて考察する
・  必要なデータ(測定項目)およびサンプリング方法を検討する
・  解析方法を検討する
・  倫理について検討する
・  実行可能な計画(スケジュール)を立てる(マンパワー、費用なども含めて)
・  構造化抄録に基づき研究計画を立てる(可能であれば、倫理審査の申請書を作成する)


進行:講義と小グループディスカッション
 オリエンテーション、講義の後、小グループに分かれてのディスカッションで進めていきます。各グループにはそれぞれ1名、チューターがつきます。チューターは大まかな方向性を示しますが、あくまで参加者中心で進めてください。
 自己紹介のあと、役割分担を決めてください。(司会、書記、パソコン入力、発表者)
各グループにパソコンを準備しますのでお使いください。発表スライド(パワーポイント)は、こちらで用意した流れを参考に作成してください。
 グループメンバーがお互いにこれまでに関わっている研究などから疑問や課題などを抽出してもいいでしょう。今回は特に統計解析の演習時間は取っていませんので、必要に応じてグループ内のメンバー、チューターとで対応してください。2日間と短いですが、楽しみながらがんばってください。


詳細
○講師:中村先生、石川先生、上原先生
○チューター:中村先生、石川先生、上原先生、小谷先生、竹島先生、西野先生
○名称 JMU臨床疫学研究セミナー
○日時:平成21年7月10日(土)13:00〜18:00
    平成21年7月11日(日)9:00〜15:00
○対象者:本学大学院生、臨床研究初学者(自治医大卒業生で研究に興味がある方は是非)
○場所:本館西棟3階 教室No.1 ~3

1日目
・オリエンテーション・講義1:臨床疫学研究とは (30分:石川先生)
  具体例入れて、JMSコホート、大規模ゲノムバンクなど
・講義2:疫学研究とは (60分:中村先生)
  歴史、研究デザイン、具体例
・休憩 15分
・講義3:交絡、バイアス(サンプルサイズ)(30分:上原先生)
・WSの説明:CQ、RQ(PECO)、概念モデル、研究デザイン、構造化抄録(15分:竹島)
・WS1:(150分)
 臨床の疑問(CQ)の共有、グループのテーマを決める (60分)
 研究仮説(RQ)を立てる (PECOも参考に) (30分)
 対象者、介入(曝露)、アウトカムを明確に
 研究デザインを選択する(30分)
 交絡を明確にする (概念モデルを参考に)
 バイアスについて考察する
 必要なデータ(測定項目)およびサンプリング方法を検討する(25分)

2日目
・講義4:倫理、研究費 (30分:中村先生)
・WS2:研究計画書の作成 (構造化抄録を参考に)(150分)
  解析方法の検討
  倫理について検討
  実行可能な計画(スケジュール)を立てる(マンパワー、費用)
・発表 90分 (PPを参考に)
・まとめ 30分

タイムスケジュール
  時間(分)     内容 担当 (略敬)
1日目:7月10日(土)          
13:00〜13:30 30 講義1 オリエンテーション・臨床疫学研究とは 概論、具体例(JMSコホート、ゲノムバンクなど) 石川鎮清
13:30〜14:30 60 講義2 疫学研究とは 歴史、研究デザイン、具体例 中村好一
14:30〜14:45 15 休憩 休憩  
14:45〜15:15 30 講義3 交絡・バイアス 交絡、バイアス、(サンプルサイズ) 上原里程
15:15〜15:30 15 説明 WSの説明 CQ、RQ、PECO, 概念モデル 竹島太郎
15:30〜18:00 150 WS1 臨床の疑問~研究デザイン決定   チューター
2日目:7月11日(日)          
9:00〜9:30 30 講義4 倫理・研究費 倫理、研究費 中村好一
9:30〜12:00 150 WS2 研究計画書・発表スライドの作成 チューター
12:00〜13:00 60 昼食    
13:00〜14:30 90 発表・質疑・応答   講師
14:30〜15:00 30 まとめ・閉会   石川鎮清
15:00 終了          

申込方法
 参加をご希望の方は、6月25日(金)までに、学事課第1教務係(内線3345、graduate@jichi.ac.jp)へ、ご連絡ください。
先着50名まで受け付けます(ただし、本学内並びに自治医大関係者を優先します)。


開催報告(2010.07.13)

 H22年7月10日(土)13:00〜11日(日)15:00、自治医大本館西棟3階No.1-3教室において、地域医療学センターと大学院医学研究科共催の臨床疫学研究短期セミナーが開催され、卒業生12名、大学院生8名、学内者7名、学外者1名の計26名の参加者がありました(全体写真)。
 「日常での臨床における疑問を解決したい、でも実際のところ自分で計画を立てるところまでは行かない」、「研究仮説を基に自分で新たな研究計画(プロトコール)の立て方を学びたい」といった卒業生、本学大学院生や臨床研究初学者からの要望に応えるべく、2日間のセミナー開催となりました。
 地域医療学センター地域医療学部門 石川先生の「オリエンテーション・臨床疫学研究とは」、公衆衛生学部門 中村先生の「疫学研究とは」、同部門 上原先生の「交絡・バイアス」の講義の後、各チューター(石川先生、上原先生、小谷先生、西野先生、竹島先生)担当の5グループに分かれて、「構造化抄録に従った研究計画を立て、倫理審査申請書の作成」を目標にグループディスカッションを夕方まで行いました。2日目には、中村先生の「倫理・研究費」講義の後、各グループディスカッションを継続し、13時より2時間にわたり、各グループより研究計画の発表と質疑応答が行われました。医師の当直業務や患者看護に関わる研究、脳卒中二次予防、禁煙や眠剤使用に関わる研究などの研究計画が呈示され、活発な議論が行われました。石川先生の講評の後、来年度の開催を約してセミナーは修了しました。(初日の日程終了後には、自治医大駅前の別会場でさらに熱い議論が行われたことも付言しておきます。)
 1月には「2010年度 第2回臨床疫学研究セミナー:統計解析について」がH.23年1月中旬(14日(金)〜16日(日)の間の半日程度)に予定されております。ホームページ(http://www.jichi.ac.jp/dscm)などで、後日ご案内しますので、ご希望の方は是非ご参加下さい。(お問い合せは、学事課第1教務係:内線3345、graduate@jichi.ac.jp)