Jichi Medical University Hospital Life Saving Emergency Center

医療内容・体制・実績

自治医科大学救命救急センターの大きな特徴

自治医科大学救命救急センターは、200291日に県内5番目の救命救急センターとして認可された。救命救急センターである一方、その立地条件やこれまでの経験から、救命救急センターのスタッフだけではなく、病院全体で救急患者を診療する体制を作り、患者の診療を拒否することなく、地域の基幹病院としての役割を果たしながら救命救急センターの運営を目指していることが特徴である。
 
固有のスタッフと各診療科の密接な協力のもとで中央部門として運営されており、全学の委員からなる救命救急センター運営委員会がその内容をチェックする機構になっている。こうした連携のもと、夜間・休日にも高度な医療を提供できる体制を整えた。
 
また、救急車の対応をすべて救命救急センターのスタッフが担当していることも特徴の一つである。救急搬送される患者すべてが三次救急患者であるとは限らないが(都会の救命救急センターでは、そうしたケースは診るべきではないとの考え方もあるが)、地域的な医療体制を鑑みれば、「結果として軽症であったとしても、初診は救命救急センターのスタッフが行い、必要に応じて各科に割り振ってスムーズな診療を行うことが必要」と考えているからである。
 
一方、全国的には、ER(欧米型救急外来システム) と言われる外来窓口すべてを救急専門医が担い、その後、各診療科で入院させるようなシステムも発展してきている。自治医科大学の救命救急センターは、こうしたERとしての機能も視野に入れつつ、これまでのように病棟も持っているため、「多様な患者に対応できる機能」を備えた救命救急センターであるといえる。

医療内容


救命救急センターへの「救急患者の集中」は、全国的な傾向である。患者の大病院志向、一次救急を診る診療所の減少、二次救急施設の疲弊など、さまざまな理由が考えられているが、こうした背景のもと、本来の大学病院や救命救急センターとしての機能が十分に発揮できないという現状がある。最近では、救急車の集中や手術室の空き状況などにより、搬送依頼を断らざるを得ない状況が見られるようになっている。
 
自治医大はこうした社会の変化を見据え、地域の医師会、二次医療機関、消防機関、行政との連携をはかり、「メディカルコントロール(MC)体制」を確立することを積極的に推進してきた。そして、初期救急医療施設が周辺の医師会の主導で設立されるとともに、二次・三次医療機関への軽症患者の減少につながり、本来の二次・三次医療機関の役割が果たせるようになってきている。この流れが、最近の救急患者総数の減少、入院数の増加、軽症救急車搬送数の減少、そして入院率の増加につながっているものと考える(図)。
 
本来、救急医療は、一病院、一救命救急センターだけで行うものではなく、救命救急センター、二次医療機関、初期医療機関、救急搬送機関、医師会、行政、地域の住民が一体となって「ひとつのシステム」として作り上げるものである。しかし、現実には各医療機関、各機関がそれぞれ独自の対応をしてきたため、スムーズな連携をはかることが難しい状況であり、それが今日の救急医療の大きな問題点であると考えられる。
 
そこで、自治医科大学救命救急センターの大学側の母体となる救急医学講座には、臨床救急部門のほかに、救急システム部門を新設した。地域の救急医療システム(MCシステム)を作り上げていくことを通して、救命救急センターの運営を行おうとしていることがもう一つの特徴であると考えている。

医療体制


夜間・休日の診療は、救命救急センタースタッフ1~2名と、外科系・内科系の救命センター当直2~3名とがレジデント5~6名と共に救急患者の窓口として、当直勤務にあたっている。
 
救急車については救命救急センターのスタッフが主に対応し、その他の患者については、他のセンター当直が対応することとなっている。
 
そのほかに、病院全体で20名近くの各科の当直・宅直が勤務しているので、必要に応じてこれらの医師と連携し、夜間・休日においても高度な医療を提供できる体制を整えている。

医療実績


「救急患者数」は過去10数年にわたって増加の一途であったが、この数年は横ばいから明らかに減少傾向になった。
 

平成27年では、16,858人が救急患者として来院したが、そのうち入院したのは4,973人であった。全体の入院率は約29.5%で、前年比2%の増である。救急車搬送数は4,489台であり、次第に「本来あるべき救命救急センターの形」に近づいていると考えられる。
 
入院患者は、外傷(頭部外傷、胸部外傷、腹部外傷、四肢外傷、脊髄・脊髄損傷、多発外傷など)、熱傷、中毒(医薬品、農薬等)、内因性疾患(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、血気胸、肺炎、消化管穿孔、敗血症、不明熱、肝膿瘍、イレウス、アナフィラキシー,ショック、蘇生後脳症など)、など多岐にわたっている。他の診療科と共同で診療に当たることも多く、救命救急センターから他科へ転科することも多い。

 
自治医科大学附属病院救命救急センターの救急患者総数と入院率