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卒業生インタビュー 伊藤真也(北海道)

卒業生インタビュー 伊藤真也(北海道)

(平成30年4月 取材)

トロント大学小児科教授
トロント小児病院臨床薬理学部長
伊藤真也

義務年限後に試験を受け、トロントへ

トロント小児病院に移ったのは1989年、私は34歳になっていました。自治医大を卒業し、北海道北部のいくつかの病院勤務を経て、すでに家族もいての渡航でした。きっかけはその2年前、ヨーロッパで開かれた学会で小児の薬に関する研究発表をした際、同病院の医師から誘われたことです。カナダで臨床をするための試験に向けて無我夢中になって勉強しました。2、3年で帰国するつもりでしたがいろいろな事情が重なり気が付いたらもう30年目に入ろうとしています。
現在は、トロント大学で小児科や臨床薬理学を学ぶ学生とレジデントを指導するほか、トロント小児病院では、薬の副作用を持つ子どもの治療・診断、妊娠・授乳中の母親に投与する 薬剤に対する安全性の判断など、子どもや母親に薬を正しく使うための診療支援にあたり、稀に刑事事件に関わる薬物による虐待も扱います。研究については薬理遺伝学、また特に薬物の母乳への移行や胎児への影響を追究。これまでに国乳移行における薬物動態式を見つけ科学誌に発表したほか、現在は小児が薬物を代謝・排泄する発達過程の原理をまとめており、乳児が母乳を通して飲み込んだ薬物の血中濃度を高精度に予測・推定するシミュレーションモデルの構築に力を注いでいます。


既存と異なる教育の理念と価値

海外に移住して確信したのは、自治医大の理念と教育が世界に誇れるものだということです。私は2期生ですが、設立して間もない自治医大が、既存の医学とは異なる方向で有能な医師を育成することを高校生なりに感じました。また義務年限中の地域医療の経験は何物にも代え難いものです。医療過疎地で患者さんや家族とまさに一対一、自分一人で向き合うことで得た経験は、医学の臨床はもちろん研究や教育での自分のあり方やものの考え方の甚本になりました。医学教育は絶え間なく進歩していますが、自治医大の明確で人道的な教育目標の重要性と普遍性は変わることがありません。それを基盤として行われる質の高い教育はこれからも地域医療の大きな支えであり続けるし、また私のように日本の地域医療から離れた領域で医師としてのキャリアを積む選択を可能にするものと確信しています。