自治医科大学は、次世代のドラックモダリティとして注目される「遺伝子治療」分野において、先駆的な臨床経験と研究実績を積み重ねてまいりました。学内では、臨床遺伝子細胞治療センターおよび遺伝子治療研究センターを横断的に組織し、基礎研究から臨床応用、さらには患者さんへの治療に至るまで、切れ目のないシームレスな体制を構築しています。
この取り組みは国内外から高く評価され、AMEDによる「再生・細胞医療・遺伝子治療研究中核拠点」に認定されるなど、国の中核的な役割を担うまでに発展しています。
一方で、医師の働き方改革が進む中、研究と臨床の両立が困難になるという課題も顕在化しています。そこで本事業では、学部生や大学院生をSA・RAとして積極的に研究や臨床試験に参画させ、TAの雇用を通じて教育と研究の好循環を生み出すことを目指しています。
若手人材が早期から先端研究に関わることで、世界に通じる臨床力と研究力を兼ね備えた次世代研究者の育成が可能となり、医療現場の負担軽減にもつながります。また、本事業の推進は、日本における「ドラッグロス(医療の谷間)」の解消にも寄与し、遺伝子治療を新たな産業として育て上げる契機にしたいと考えております。
この研究を通じて、医学研究・教育の両面において社会に広く貢献し、未来を担う人材の育成するとともに、患者さんとご家族に希望をもたらす遺伝子治療の開発・実装に全力を尽くしてまいります。皆さまの温かいご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。

小坂 仁
自治医科大学 小児科学教授
高度医療人材養成拠点形成事業(高度な臨床・研究能力を有する医師養成促進支援)
新たな医療の谷間 遺伝子治療のドラッグロス克服(希少・難病・がん)