事業目標
- 自治医科大学附属病院およびとちぎ子ども医療センターは、AMED「再生・細胞医療・遺伝子治療研究中核拠点」として、日本における遺伝子治療の中核的役割を担っています。
- 本学では、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療の研究開発を早期より推進しており、AADC欠損症に対する治験を完了し、次いでグルコーストランスポーター1欠損症(GLUT1欠損症)に関する治験を開始する予定です。さらに、SSADH欠損症、Tay-Sachs病、ニーマンピック病C型、OTC欠損症、ミトコンドリア病、自閉症等、多岐にわたる希少・難治性疾患に対する前臨床研究が進行中であり、順次治験段階へと移行する計画です。
- 成人領域においては、パーキンソン病に対して2007年以降11例(臨床研究8例、治験3例)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して5例の治験を実施しており、臨床応用の実績を積み重ねています。
- がん領域においては、米国メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターおよびタカラバイオ株式会社との共同研究により、国内初のCAR-T療法の臨床試験を実施しました。また、遺伝子改変T細胞療法の有効性を高める選択的制御遺伝子(SRG)の開発(特願2022-052759)を進め、医師主導治験の実現を目指したトランスレーショナル・リサーチを展開しています。
- 本研究の目標は、希少・難治性疾患およびがんに対する革新的な遺伝子治療法を確立し、未だ治療法の確立されていない疾患領域における医療の選択肢を拡充することです。これにより、患者のQOL向上と医療の未来に資する新たな治療基盤の構築を目指します。
- 自治医科大学では、AADC欠損症に対する国内初のAAVベクターを用いたin vivo遺伝子治療治験を実施するなど、希少・難病・がんを対象とした国際水準の臨床研究を推進しています。これらの研究は、医学部基礎教室(ベクター製造・抗体測定等)や脳外科学教室(定位脳手術)との連携により実現されており、現在、関連する医師および研究者は21名にのぼります。また、遺伝子治療に関連する研究テーマに取り組む大学院生も約10名在籍しており、今後さらなる増加が見込まれています。
- 本学では、切れ目のないキャリア支援制度を整備し、継続的に世界水準の研究力を保持する体制を構築しています。一方で、地域医療を担う臨床医の育成という本学の使命と、先端医学研究の推進との両立を図るべく、教育課程およびミッションの見直しを進めています。2023年度には、「高度な医学知識と実践的な研究能力の涵養」を医学部のミッションに明記し、研究教育の強化を図りました。
- 特に遺伝子治療分野は、本学が重点的に強化する領域であり、附属病院と大学が一体となって本事業に取り組むことで、臨床力と研究力を兼ね備えたマルチスキルな医療人材の育成を目指しています。
人材育成と雇用
本事業では、遺伝子治療の開発に携わる医師研究者(Physician-Scientist)の育成を目的とし、基礎から臨床までを一貫して学ぶことのできる教育モデルの構築を進めている。遺伝子治療研究は、細胞内レベルでの病態解析、モデル動物による実証、治験における副作用評価など、多岐にわたる工程を含む。医師研究者は、これらの各段階を俯瞰しつつ専門性を深化させることが求められる。 具体的な取り組みとして、以下を実施している:
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学部生の早期参画
研究に関心を有する学生(5名程度)をSA(Student Assistant)として採用し、臨床治験、治験計画の策定、遺伝子治療研究への参画を促進している。また、BSLおよび選択BSL学生(年間10名程度)には、患者診察を含む実践的な学習機会を提供し、希少難病の診療経験を積ませている。
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学卒業生支援とキャリア形成
自治医科大学の卒業生は、原則として9年間の地域医療従事義務を有するが、義務履行中においても「学外支援モデル」により、バーチャル治験や生成AIを活用した効率化研究への参加を可能とする体制を整備している。これにより、大学院進学やPhysician-Scientistとしてのキャリア形成に資する環境を提供している。
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育児等による研究離脱者への支援
育児等により時短勤務となっている医師をTA(Teaching Assistant)として雇用し、SA・RAへの教育支援や診療補助(カルテ記録等)を担わせることで、研究現場への柔軟な復帰と継続的な貢献を可能としている。
これらの多層的な人材育成体制により、自治医科大学は、臨床力と研究力を兼ね備えた次世代の医療人材を育成し、遺伝子治療の未来を切り拓くことを目指している。 -
広報・実地教育
博士号取得やドラッグロスを克服する若手研究者を増やすための広報・実地教育をInnovation for NEW HOPE (https://www.innovation-for-newhope.com/)と連携して推進します。
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遺伝子治療研究者の育成
治療を目指すPhysician-Scientistの養成のために令和7年より小児科初期研修プログラムでは遺伝子治療研究者を育てるMD-PhD courseを開設予定です。また遺伝子治療に特化した数年の臨床治験トレーニングや(現在札幌医科大学より、大学院生受け入れ中)、修士卒の博士課程での遺伝子治療研究者育成も行います(現在、徳島大学薬学部修士卒博士課程1名)。
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研究者教員育成制度:
都道府県との調整により、義務履行を停止し大学院に入学し学位を取得し自治医大で教員となることが可能です(取得後原則的には残りの義務年限を地元で勤務)。本年度より、大学のポストに空きがない数年程度を教員としての採用を可能とする制度が始まっています。 -
CRST(Clinical Research Support Team):
学内の有志により、地域での臨床研究を支援する組織です。
推進体制及び予算の活用計画
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リサーチアドミニストレーターURA
研究推進課に遺伝子治療専門のURAを雇用し、シーズから導出・論文まで一括支援し、大学発ベンチャー、特に遺伝子治療は、費用も高額であり、AMED等の研究費で補えないため、投資資金の受け皿となる機関の設置と資金調達を行う。
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プロジェクトマネージャ
研究開発の推進・調整・管理を担う
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臨床遺伝子細胞治療センターにてTA, RA, SAを公募し採用する。
- ・TA;博士課程修了後、主として育児等の理由による時短勤務の研究者やポスドクをTAとして採用し、教育や授業の補助・準備や大学院生の臨床教育に関わる。
- ・RA;大学院在籍中に遺伝子治療研究プロジェクトの研究責任者の指示に従い行った研究補助業務に支給する。
- ・SA;研究を志す学生;遺伝子治療の臨床治験・治験計画策定・遺伝子治療研究に携わるとともにBSLおよび選択BSL学生の診療補助を行う
*フリーコース・スチューデントドクター( F C S D )制度を活用する。(本学では5年次に受験する総合判定試験の結果等により選考された学生(~10名程度)が、6年次の4月から11月まで(5月を除く)の約半年間において、授業の出席および卒業試験が免除され希望する研修や実習プログラムを自主的に作成し、責任学内指導教員の指導のもとに受講し学内の臨床、基礎講座や海外の病院に自由に学習・研修を行っている)
- 博士号取得やドラッグロスを克服する若手研究者を増やすための広報・実地教育をInnovation for NEW HOPE (https://www.innovation-for-newhope.com/)と連携して推進する。
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治療を目指すPhysician-Scientistの養成のためにR7年より小児科初期研修プログラムでは遺伝子治療研究者を育てるMD-PhD courseを開設予定である。また遺伝子治療に特化した数年の臨床治験トレーニングや(現在札幌医科大学より、大学院生受け入れ中)、修士卒の博士課程での遺伝子治療研究者育成も行う(現在、徳島大学薬学部修士卒博士課程1名)。
- 注)①研究者教員育成制度:都道府県との調整により、義務履行を停止し大学院に入学し学位を取得し自治医大で教員となることが可能である(取得後原則的には残りの義務年限を地元で勤務)。本年度より、大学のポストに空きがない数年程度を教員としての採用を可能とする制度が始まっている。
- 注)②CRST(Clinical Research Support Team):学内の有志により、地域での臨床研究を支援する組織。