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研究情報

[医学部] 多発性骨髄腫が感染をきっかけに悪化するメカニズムを発見

2018年2月6日

1.概要

血液がんの一種である多発性骨髄腫はきわめて予後不良の疾患です。現在は抗がん剤や骨髄移植などによる治療が行われ、一時的には病状が抑えられます。しかしながら、多くの患者はやがて再発を経て病状が悪化します。再発が予防できれば予後が改善できると思われますが、そのきっかけになる機序は未解明でした。

今回、自治医科大学・幹細胞制御研究部の菊池次郎准教授・黒田芳明助教・
小山大輔博士(本学30 期生)・古川雄祐教授らは、栃木県立がんセンター・東京大学・広島大学との共同研究により、多発性骨髄腫の病状が感染をきっかけに悪化する新たなメカニズムを発見しました。

菊池准教授らは、多発性骨髄腫細胞にToll様受容体(TLR)の一種CD180が発現することを見いだしました。TLRは感染時に病原体を認識し、免疫細胞の増殖や活性化を誘導する受容体です。そこで、細菌の菌体成分であるリポ多糖(LPS)を骨髄腫細胞に加えたところ、増殖が顕著に亢進しました。また、多発性骨髄腫の治療薬の中では、免疫調節薬にCD180発現を抑制する効果とLPSによる刺激を解除する働きが明らかになりました。多発性骨髄腫患者においても、感染による気管支炎などをきっかけに病状が悪化する症例があること、免疫調節薬を投与中の患者では感染が起きても病状が悪化しにくいことがわかりました。

これまでの多発性骨髄腫患者の大規模解析から、骨髄腫患者は健康な人に比べて感染症にかかりやすいこと、感染症にかかった際に死亡率が高まること、免疫調節薬の継続的な服用が予後の改善に有効なことが報告されています。
本研究により、感染が多発性骨髄腫の病状の悪化に働き、免疫調節薬がその予防を介して予後を改善している機序が明らかになりました。本研究は、多発性骨髄腫の予後の改善に結びつく重要な知見であり、多発性骨髄腫患者に対する福音となるものです。

本研究成果は2018年1月23日、米国がん学会誌「Cancer Research」オンライン版に掲載されました。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業・公益財団法人武田科学振興財団特定研究助成などのほか、「日本骨髄腫患者の会」からの助成により行われました。

2.論文名

Kikuchi J, Kuroda Y, Koyama D, Osada N, Izumi T, Yasui H, Kawase T, Ichinohe
T, and Furukawa Y. Myeloma cells are activated in bone marrow microenvironment by the CD180/MD-1 complex which senses lipopolysaccharide.
Cancer Research. 2018, Jan 23, DOI: 10.1158/0008-5472.CAN-17-2446 [Epub ahead of print].

3.論文掲載先