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自治医科大学 臨床医学部門 眼科学

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(選定療養)

当科では多焦点眼内レンズを取り扱っております。
多焦点眼内レンズのメリット、デメリットを正しくご理解いただいた上で、治療をお受けください。

※白内障以外の眼疾患(以下※)がある方は、多焦点眼内レンズの場合に見え方の質が落ちる事があり、適応にならないことがあります。(※角膜疾患、偽落屑症候群及びチン小帯脆弱、重度の小瞳孔、散瞳不良、虹彩・ぶどう膜炎、緑内障、網膜疾患、糖尿病網膜症、黄斑疾患、斜視・弱視、眼瞼下垂、視神経症、眼部炎症疾患、アトピー性疾患、感染症などです。)

※片目だけ多焦点眼内レンズを入れることは不可能ではありませんが、左右の焦点の位置が違うため、見え方のバランスが崩れる可能性があります。(若年者の方は、片目のみ多焦点眼内レンズを入れる場合もあります。)

2焦点眼内レンズ 連続焦点型レンズ 3焦点レンズ
AMO
テクニスマルチフォーカル(ZMA00)
Alcon
テクニスシナジー
(DFR00V/DRW150/225
/300/375)
Alcon
パンオプティクス クラリオン
(CNWTT0/CNWTT3
/CNWTT4/CNWTT5
/CNWTT6)
メリット

〇2焦点レンズです。近用加入度数が+4.0(理論上33 cmの距離でピントが合う)のため、読書や編み物などの近方で作業を行う方にお勧めです。中間距離の視力は低下します。近くと遠くいずれしか焦点が合わないため、眼鏡が必要になります。

〇2焦点でも3焦点でもなく、連続焦点(回折型)レンズです。遠方から手元まで視力の落ち込みが少なく、近方約30-50cm、中間50cm-1m、遠方5mまでを見ることができます。明るい場所、暗い場所を問わず、比較的高いコントラストを保ちます。眼鏡依存度を減らす可能性があります。

〇3焦点眼内レンズです。近方40cm付近、中間60cm付近、遠方5m以上に焦点を合わせることが出来きます。近方・中間距離は、日常生活でもっとも頻繁な視界です。眼鏡依存度を減らす可能性があります。

デメリット

〇ライトの光が眩しく見える(グレア)、光の周辺に輪がかかって見える(ハロー)、光が放射線状に広がり、眩しく見える(スターバースト)ことがあります。
連続焦点型レンズは、ややハローが強くなります。

〇コントラスト感度(明・暗)が低下する可能性があるため、夜間や視界が悪い時の運転は注意が必要です。

〇一度挿入した眼内レンズを取り出すには再手術が必要で、眼への負担が増えます。

〇高額の自己負担に相関して期待度が大きく、不満につながる傾向も確認されています。

※見え方の質が大事な方は、多焦点レンズを挿入することに対し慎重に検討し、ご判断ください。

入院及び手術にかかる費用(通常2泊3日の場合 )

通常の治療に関しては健康保険で治療をしますが、多焦点眼内レンズ代金は健康保険外となり、自己負担になります。但し保険診療である白内障手術費用に単焦点眼内レンズ代が含まれているため、多焦点眼内レンズ代金から、単焦点眼内レンズ代金を差し引いた金額を自費負担して頂きます。

保険診療3割負担の方で(※お持ちの健康保険証により金額が変わります。)
2焦点眼内レンズ
片眼:260,000円 程度
連続焦点型・3焦点眼内レンズ
片眼:380,000円程度
手術後の経過

〇多焦点眼内レンズの見え方になじんで視力が安定するまでには、数週間〜数ヶ月を要します。

〇多焦点眼内レンズという複雑なレンズ構造のため「ぼやけ」、「かすみ」と呼ばれる症状が起こることがあります。原因は屈折異常、後嚢混濁、眼内レンズ偏位、ドライアイ、水晶体片残存、他の疾患などが考えられますが、原因不明の場合もあります。屈折異常や術後屈折誤差(術前に決めた眼内レンズのピントの位置にずれを生じること)が大きい場合、レンズの入れ替えが必要になることがあります。

〇見え方に個人差があり、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が必要になることもあります。

JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)多焦点眼内レンズの情報はこちら