自治医科大学

自治医科大学病理診断部

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2014年実習体験記

5年 前橋美歌(実習期間:2014年2月10日~3月7日)

 私が病理に興味を持ったのは三年生の頃でした。病理初回の田中先生の授業で、「炎症」を火事に例えて教えてくださったのが、とてもわかりやすかったです。講義中に病気のストーリーを理解して、顕微鏡で確認後、先生にマンツーマンで丁寧なコメントをいただくのが楽しみでした。どの先生も優しく教えてくださいました。四年生のCPCや、グランドカンファレンスでは、病理はまさに最後の切り札のようでした。意味のわからない臨床経過に対して、ばっさりと診断を下す様はとても格好よかったです。もやもやとした病気を、実際に目で見て理解する、確実性に憧れていました。心のどこかで病理に心ひかれており、将来病理医になるかもしれない、そんな期待を胸に、病理を選択したのですが、最初の数日は検体を見ても、見ているものが正常なのか、癌なのか言い当てることはできず、心配になりました。迅速の判定も、スライドを見るのがスピーディーでどこを見ていいのかさっぱりわかりませんでした。  福嶋先生をはじめ、病理の先生方は以前と変わらず優しく、学生がフラフラさまよっていれば、「こっちの顕微鏡が空いてるよ」、「切り出しやってみる?」と声をかけてくださいました。金井先生は、雑談をしつつ私がわからないことを見抜いてどんどん教えてくださいました。また、様々な文献を提示しながら標本を見せてくださいました。河田先生は、CPC担当症例のスライドを何度も見せながら解説してくださいましたし、心配して励ましてくださいました。今田先生は、切り出しから診断まで懇切丁寧に教えてくださいました。診断を書けたのは今田先生が規約に沿って教えてくださったからでしたし、書き終わったあとも一つひとつの標本を一緒に見ながら解説してくださいました。また、切り出しをまとめて行ってしまったために診断に追われ、最終週に診断するものがなくなってしまい、かといって切り出しをしても診断できないというどうしようもない状況になってしまったのですが、今田先生が悪性リンパ腫と皮膚病の標本を10個程度ずつ見せて解説くださったので最終日まで本当に勉強になりました。特に皮膚病は病理がそのまま所見となって現れているためとてもおもしろかったです。また今回のBSLでは貴重な剖検が全部で五件もありました。原因がよくわからない患者さんに対して、臓器を直接見ることは説得力がありました。剖検では全身隈なく検索しますが、まさに全身を診る総合医療であり、バランスの良さが心地よかったです。毎日本当に充実していて、気がつけば診断を書き上げることができるようなりました。病理診断は今まで、悪性やクラスしか気に留めていませんでしたが、今であれば診断報告から病理の状態を想像することができるのではないかと思います。迅速診断も、リンパ節転移を見分けることができるようになりました。全ての先生方が優しく教えてくださったおかげです。病理に熱く勧誘していただいたのも嬉しかったです。どこかできっと病理に関わることがあると思いますので、見かけたら優しく声をかけて頂けたら幸いです。本当にありがとうございました。

5年 岩崎 雅(実習期間:2014年1月14日~2月7日)

 病理部での選択BSLでの実習は、4年生時の必修BSLでのものとは全く異なり、切り出しから標本の診断まで幅広く経験させていただきました。  実際の手術検体を診断する際では、始めは手も出せないでどのように診断してゆくのかさえも難しかったです。そこで病理部の先生方に診断へのアプローチの仕方を丁寧に教わりながら、標本は病態を考えながら診てゆくことを体験することができました。外科的な臨床との関わり深い病理部では、実習を通して2つ感じたことがあります。一つは迅速検体や手術検体で診断を求められている際に、教科書的な典型的な病理像だけで終始することは少なかったことです。確定診断がつく病理所見にばかり目が行きがちでありましたが、病理総論にまで掘り下げて組織構造・ 病態を考えながら丁寧さに心掛けながら診てゆくことを精一杯しました。診断にたどり着いた時は他の診療科でそして、経験したことがない楽しさを感じました。もう一つは、病理の作業室の場に外科系の臨床の先生方も多く来られることでした。検体の肉眼像・病理所見を臨床の先生方にフィードバックすることも、医療が前向きに進むのに大切なことであると実感致しました。最後にお世話になった吉本 先生、今田 先生をはじめ病理診断部の医師並びにスタッフの方々のおかげで有意義な実習を経験できました。1ヶ月と短い間でしたが、本当にありがとうございました。

5年 竹下 光英(実習期間:2014年2月10日~3月7日)

 4週間の病理実習はあっという間に感じた。それは日々、学ぶことがとても多かったからだ。具体的には、まず組織、病理の基礎知識がなければ標本を見ても全く理解できなかったし、剖検においても解剖の知識がなければ何をやっているのかついていけなかった。そのため実践に応用するための基礎の復習ができ、しかもそれを肉眼で確認できるという流れは知識の定着へと繋がった。また、患者カルテと並行して考察することで臨床の考え方と繋がるところが特に面白かった。何より、細胞レベルの病態が顕微鏡を覗けば確認できるからだ。また、その話に繋がることだが、佐久間先生の研究に関してスライドを用いお話をして頂く機会があった。そのことでこれまであまりイメージが持てなかった基礎研究への興味も大きく膨らんだ。一方、CPCの発表でも佐久間先生の指導のもと様々な臓器の見方を教わった。発表の準備においても、『誰に何を伝えたいのか』を意識して作成方法を学んだ。この経験は色々なところでいきると思うが、特にCPCを聞く側に立ったときも、得る情報量が多くなったと思う。将来に関して言えば、医師になったとき病理部との関わり方を学べたことは大きかった。病理部の大変さを身をもって体験できたからだ。迅速、固定、切り出しなど様々な行程があり、その中で臨床医がちょっと気を利かせればスムーズにいくようなシーンも何度もあった。技師が行う標本作りも大変であり、剖検においても技師の補助はとても忙しく体力的にもつらそうであった。そういった様子を知れただけでも、病理スタッフの考え方、捉え方が他の人より理解できた気がする。そのことで病理検体の提出報告や、剖検への立ち会いなどにおいて良好な関係が築けると思う。実際そのようになさっている臨床の先生を見かけることも多々あった。自分が将来どの科に進もうとも、この4週間の経験が必ず役立つ日がくるだろうと強く感じる実習であった。学生指導の福嶋先生、担当の佐久間先生をはじめ、全ての病理スタッフの方々が親切に関わってくださったおかげで充実した4週間が過ごせたと感じています。誠にありがとうございました。また、病理部にお伺いすることがあれば是非よろしくお願いします。本当にありがとうございました。

5年 木村恭彰(実習期間:2014年1月14日~2月7日)

 病理実習では、検体の切り出し、標本での診断、剖検を体験させていただいた。4年次の2日間の病理実習で、剖検症例を用いたCPCを行ったときに、それまでなんとなくだった病態生理の理解が深まった。そのため、今回の実習でも剖検の症例をみて病態生理の理解を深めることを目標に実習を行った。剖検例は、ALSによる呼吸筋の筋力低下により呼吸困難で死に至った、という典型的な症例であったが、実際に標本をみて起こっている変化をみようと思うと、神経の解剖や組織の構造、障害による変化、筋肉の萎縮の形態など、調べることはたくさんあり、とても勉強になった。また、ALSの分類、典型的な古典型のALSの理解も症例を通して深く学ぶことができた。剖検の切り出しで、心臓などの臓器を手にとってじっくり見れたことは、病気の理解につながるためとてもよい経験になった。標本と検体の切り出しでは、様々な分野の腫瘍を理解する良い機会になった。実際の検体の肉眼像と組織像を比べながら見ることは、内視鏡、超音波検査、手術を行う際に役に立つと思った。まだまだ、肉眼像から組織レベルで何が起こっているか、組織像から全身で何が起こっているかを理解することは難しいが、そういうことを考えるきっかけになったことがとても良かったと思う。病理実習で経験したことをこれからの実習や勉強に生かしていきたい。また、これからも病理学を勉強していき、病気の理解に役立てたいと思った。

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