「くすり」は未来に受け継がれていく財産
私たちはケガをしたり病気になると、「くすり」を飲んだり、使ったりします。
「くすり」のお世話になったことのない人はおそらくいないでしょう。
「くすり」による病気の治療や予防は、20世紀後半からめざましい進歩をとげており、それまで治らなかった病気も治るようになってきました。現在もたくさんの「くすり」が開発され、さまざまな病気の治療に使われています。
それでも、全ての病気が治るようになったわけではありません。病気を治すために、新しい「くすり」の誕生を待ち望んでいる患者さんたちがたくさんいます。
今、あなたが使っている「くすり」は多くの過去の人たちの協力によって誕生したもので、いわば「先人からの贈り物」といえます。これから誕生する「くすり」は未来の(次の)世代へ受け継がれていく貴重な財産です。
「くすり」は私たちの生命、健康に直接かかわるものだから…。
一生おつきあいをしていくものだから…。
「くすり」についてもっと知ろうではありませんか? !
みんなの協力で「くすり」が出来る
「くすり」は試験管内の基礎研究や動物実験からだけで作られると思っていませんか?
- それは大きな誤りです。
なぜならば、人と動物とでは体のしくみが違うため、最終的には人で「くすり」の効き目や安全性を確かめることが必要になります。 - 「くすり」の効き目や安全性を確認するためには、実際にその病気の人に使ってもらわなければいけません。正確なデータを集めるには、たくさんの人に協力してもらうことが必要です。
- 新しい「くすり」は、医師や製薬会社の力だけで世の中に送り出されるものではありません。このように「くすり」の開発の中で最も重要な効き目と安全性を確認するため、患者さんをはじめ多くの方のご理解とご協力をいただいておこなわれることを「治験」といいます。
- ひとりひとりの参加によって、病気の人の治療に役立つ新しい「くすり」が誕生するのです。
- 治験に参加される方と医師との間で築くパートナーシップこそが、新しい「くすり」の開発の基礎となります。
- 病気で苦しんでいる多くの人たちに、1日も早く新しい「くすり」を届けられるよう、みなさんに「治験」のことを知ってもらいたいのです。
「くすり」はどうやって生まれるの?

「治験」とは
「くすり」はあなたの善意の結晶です。

「治験」の流れ
インフォームド・コンセントはあくまでも患者さんの自由意思によって成り立つものです。

- 理解が出来るまで
心配なことやわからないことがあれば、医師や治験コーディネーターにいつでも質問してください。 - 納得してから
その場ですぐに返事をしなくてもかまいません。家に持ち帰り、ご家族の方と相談されてからでもかまいません。 - やめることは自由にできます
署名(インフォームド・コンセントといいます)をしても、最後まで「治験」を続ける必要はなく、不安になったり、考えが変わって途中でやめたくなったら、いつでもやめることができます。 - 「治験」をやめてもあなたの治療はきちんと続きます
もし、「治験」をやめても、あなたにとって一番いい方法で治療を続けていきます。
「治験」のルール
「治験」を行うためには、国が定めたルール(法律)に従って行わなければなりません。
※どこの病院でも「治験」を行うことができる訳ではありません。
「治験」ができる病院の条件
- 厚生労働省に届け出た病院であること。
- 専門の医師や薬剤師・看護師のスタッフが十分にそろっていて、何かあった時はすぐに必要な対応が取れること。
- 「治験」の内容については、「治験審査委員会」で検討され、病院長が許可すること。
- 「治験審査委員会」には、病院とは関係のない人(例 弁護士など)も参加しなければいけないこと。
「治験」の対象者となる方
いくつかの条件があります。お医者さんに相談しましょう。
「治験」に参加いただける基本的な条件として、その治験薬が対象とする病気の患者さんであることが必要です。
その病気の患者さんであっても、みなさんが参加できるわけではありません。治験ごとに決められた参加の条件を満たし、さらに、参加できない条件に該当しない方だけに参加をお願いしております。なお、総合的に判断して安全性に問題があれば、参加いただけないこともあります。
患者さんの負担を少なくするための配慮
治験薬の費用は無料です。治験期間中は検査費用が全て無料です。
※なお、初診料、再診料などは今まで通りです。
「治験」に参加される患者さんのなかには、通常の治療よりも通院や検査の回数が増えることもあります。
そのため、「治験」を行っている病院では患者さんの負担を少なくするためのさまざまな配慮がなされています。
患者さんの負担を少なくするための配慮の例
治験専門の担当部署の設置
- 診察待ち時間を短くするように、治験専門の外来診察の設置
- 服薬指導や患者さんの相談を受ける専任の治験コーディネーターの配置
- 「治験」や健康などに関する質問や相談に応じる治験相談窓口の設置
費用の軽減
- 治験薬の費用は無料
- 治験期間中の検査費用は全て無料
- 一部の「くすり」代が安くなることもあります
- 交通費の負担を一部軽減
内容については、病院によって異なりますので、「治験」に参加される前に病院におたずね下さい。
説明を良く聞き、心配な事やわからないことは医師&治験コーディネーターにご相談ください。
「治験」参加のメリット
ていねいな診察だから安心です。
- 経験豊富な治験担当医師による、よりていねいな診察を行います。
- 医療の進歩はめざましく、「治験」はその最先端を進んでいます。
- 「治験」に参加することにより、今まで以上の新しい治療を受ける機会に恵まれることがあります。
- 病院と協力して「治験」を行うため、自分の病気の状態を今まで以上に詳しく知ることができます。
- 治験中は詳細に経過観察をさせていただきますので、ていねいな診察をいたします。これにより、副作用などに早く気が付くことができます。もし副作用が起きたら、治験薬をお休みしたり、
- その副作用に関する検査や治療を行います。
- 「治験」に参加する患者さんの診察や検査をできるだけ優先いたします。そのため待ち時間が短くなることがあります。
- 来院中も安心できるように、「治験」に参加する患者さんのために専任の治験コーディネーターが同行いたします。
「くすり」は人類の貴重な財産です。
良い「くすり」がいち早く誕生することによって、たくさんの命を救うことができます。
「くすり」の誕生にパートナーとして協力することは「かけがえのない社会貢献」といっても過言ではありません。
治験のQ&A
治験のここが知りたい Q&A
Q.先生から「治験に参加してみませんか?」といわれましたが、何となく不安です。どうすればよいのでしょうか?
担当の医師や治験コーディネーターの説明をよく聞いてからご自分の意思で決定してください。その場で判断しなくてもかまいません。治験の説明文書をお渡ししますので、ご家族と相談して決めることもできます。また、治験の参加を断ったからといってあなたの今後の治療に何らかの不利益を受けることは決してありません。
Q.治験で使われる治験薬は、まだ国の許可を受けていないと聞きました。副作用などの心配はありますか?
今使われている「くすり」でも副作用のない「くすり」はありません。もしかしましたら、治験薬で副作用があらわれるかも知れません。治験を始める前には、あなたの体の状態、過去の病歴、今の治療法などを十分に調べた上で、担当の医師が大丈夫と判断してから開始します。そして、副作用を未然に防ぐために、また、起きてしまった時には早く発見できるように、治験中は通常の診察よりもきめ細かい診察や検査を行います。また、治験は国から定められた厳しいルール(法律)に従って行われますので、ルールがきちんと守られているか、安全に問題がないかなど、たくんの人(国、医師などの病院関係者、製薬会社など)が細心の注意を払っています。
Q.治験に参加することで、費用が今まで以上に高くなることはあるのでしょうか?
治験で使われる治験薬は製薬会社から提供されますので無料になります。また、治験期間中はすべての検査や画像診断の費用も一切かかりません。
ただし、初診料と再診料は今まで通りに患者さんの負担になります。
Q.治験に参加しているのですが、途中でやめることはできるのでしょうか?
今回の治験にご参加いただくことに同意された後でも、途中で治験をやめたいと思ったら、それがどのような理由でも、治験の参加をやめることができます。たとえ途中で治験の参加をやめても、あなたの今後の治療に何らかの不利益を受けることは決してありません。その場合にも、担当医師は引き続きあなたの病気に対して適切な治療を行いますので、どうぞ遠慮なく申し出てください。 なお、治験を中止した時にはあなたの状態を確認するために、いくつかの検査を受けていただくことがあります。
Q.治験に参加すると、診察や検査のため病院へ来なければならない回数が増えると聞きますが?
治験に参加していただくと、あなたの体の状態をきめ細かく診るために、診察や検査の回数が増えることもあります。それに伴いまして病院へ来るときの交通費などの負担を少しでも減らすために、一定の金額をお支払いいたします。
Q.治療に参加する期間はどのくらいでしょうか?
治験の内容によって参加する期間は異なりますが、治験へご参加いただく前に担当の医師や治験コーディネーターが詳しくご説明いたします。
Q.治験に参加することで名前や住所などが公開されることはあるのでしょうか?
治験で得られた情報は資料として公表されることがあります。しかし、あなたの個人を特定する情報は厳重に守られ、あなたのプライバシーに関わる情報が外にもれることは絶対ありません。
「治験コーディネーター」とは?

治験コーディネーター」は、「治験」を円滑に進めるために病院内部と患者さんの調整を行う相談窓口になっています。