診療グループ

Infection

診療

感染症は、健康な子どもから基礎疾患を抱えるあらゆる診療科の患者まで、多くの方に起こる病気です。子どもの感染症の多くは風邪のように自然に治るありふれた病気ですが、重症化し入院に至るものや集中治療を要するものもあります。また、基礎疾患のある患者に起こる特殊な病原体による感染症や手術等の合併症としての感染症、さらに依然として治療法がみつかっていない感染症もあります。
自治医科大学とちぎ子ども医療センターでは、基礎疾患のない患者の一般的な感染症から重症あるいは難治性の感染症まで、幅広い感染症診療を行います。
現在、日本国内では定期及び任意として多くの予防接種があります。重篤な基礎疾患や感染症治療および免疫抑制剤使用や臓器移植によりワクチン接種スケジュールや接種回数の変更には特別な配慮が必要です。予防接種の接種方法や副反応、有害事象について対応も行っております。

研究

感染症患者の検体を用いて、さまざまな臨床及び基礎研究を展開しております。

新型コロナウイルス感染の小児感染における系統的網羅的研究

2019年12月から3か月余りで世界中に流行が拡大しました。小児における新型コロナウイルス感染症の研究としては、全身の抗ウイルス反応をサイトカインを中心に解析しています。また、小児患者で重症化が少ない理由を、臨床症状と体内のウイルス量の両面から解析しています。現在、新型コロナウイルスは、P3(Biosafety level 3)での対応が必須なため、これらの研究は、東京大学医科学研究所ウイルス感染分野と共同研究として行っております。

迅速に最適な治療に結びつけるための迅速診断法の開発

迅速診断の方法には、ベッドサイドで数分で結果判定するImmunochromatography法から研究室にて病原体を検出する核酸増幅法(PCR検査等)があります。いずれも、最先端レベルの特異度・感度を維持するために研究開発を行っています。また、一部の中枢神経系感染症や呼吸器感染症では、網羅的遺伝子迅速診断法(Multiplex PCR法)を用いて迅速な診断を実施しています。この診断法により、感染症の診断と同時に抗菌薬の適正使用を遂行しています。

薬剤耐性化のメカニズムの解析

細菌、ウイルス、いずれの病原体も薬剤使用により一定のレベルで薬剤耐性変異を獲得した病原体が出現します。耐性変異は遺伝子変異によるものですが、患者の年齢や免疫状態、基礎疾患の有無により、その出現率も大きく変化します。得られた薬剤耐性変異を的確に、そして迅速に治療に反映するTranslational Researchを行っております。また、同時に新たな薬剤選択による治療法の開発を行っています。

研修内容

抗菌薬の適正使用と使用方法の習得

近年、抗菌薬の効かない、もしくは効果が低い薬剤耐性菌が増えています。耐性菌の出現は、抗菌薬の乱用に起因すると考えられています。耐性菌を減らし選択可能な多くの抗菌薬を未来に残すため、適切に使う知識と経験を習得します。

感染管理の習得

呼吸器系ウイルス(インフルエンザウイルス、RSウイルス等)、消化器系ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス等)、多剤耐性細菌(アシネトバクター、緑膿菌等)等、さまざまな病原体による感染症患者が来院されます。また、特殊な菌を保菌している患者もいます。飛沫・空気感染等、異なる感染様式を理解し感染管理チームの一員として全ての患者を院内感染から守るための感染管理の技術と知識を習得します。

病原体の診断と臨床への迅速応用(Translational Research)の習得

特殊な病原体の診断方法として、核酸増幅法(PCR検査等)や特殊な細胞培養法があります。実際の感染症患者の検体を用い、P2(Biosafety level 2)研究室において、迅速な診断を行う基礎的技術を習得します。