外科医にやり甲斐と幸せを
-普通の人が普通に働いて最高の成績を出す外科を目指して

佐田 尚宏
自治医科大学 外科学講座 主任教授
東京大学 昭和59 年卒業

  自治医科大学 外科学講座 消化器一般移植外科学部門は、消化器外科領域だけでなく内分泌外科領域(乳腺外科、副腎外科)、移植外科まで幅広く担当する外科医局です.附属病院では消化器外科、乳腺科、移植外科、臨床腫瘍科の4診療科を担当し、若手はそれぞれの診療科をローテーションして広く経験を積むことができます.また、自由闊達な雰囲気の中、真のプロフェッショナリズムを目指す共同体として、当科には様々なバックグラウンドの方々が、全国の医科大学・医学部(2023年現在、出身大学数32大学)から集まってきています.いわゆる学閥がなく、皆さん自主独立の気概を持って活躍していただいているのが当科の特徴です.今年度4人の新入医局員(専門医専攻医)を迎え、現役所属医師数は106人(自治医科大学卒業生外科専門医専攻医修了者を含む)になりました.

  栃木県・県南医療圏に立地する当院は、栃木県内だけではなく、茨城県西部、埼玉県北部も医療圏とする北関東圏最大規模の特定機能病院です.大学病院として高度医療、先進医療を提供するだけではなく、地域医療・救急医療の基幹病院の役割も果たし、救急症例・緊急手術症例を数多く受け入れています.そのような医療環境の中、私達は単一の外科医局として消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝胆膵脾、乳腺、副腎、肝移植など広い分野をカバーし、総ての領域でhigh volume centerとして高いレベルの臨床成績をあげています.同じ外科学講座の呼吸器外科部門、心臓血管外科部門、小児外科部門と協調して診療を行い、2018年度から実施されている新外科専門医制度ではNCD登録数約8,000件、連携病院32病院の研修プログラムを自治医科大学外科学講座として運営しています.2018年度以降講座全体で42人、消化器一般移植外科学部門で27人の専門医専攻医を登録しました.

  当部門は「働き方と考え方の多様性(diversity)」を尊重し、「普通の人が普通に診療出来る」外科を目指しています.そして、診療面ではEBMに基づいた治療を行い最高の成績を出すこと、すなわち「mortality 0、morbidity 0」を目指すことが最も重要であると考えています.どのようにキャリアを積み、どのような外科医を目指すかは、外科医が一生考え続けるテーマです.医局員一人一人がそれぞれの目標を設定して研鑽を積んで、その目標達成のため医局は様々なサポートを行い、外科医として着実にスキルアップできる環境を整備しています.働き方改革、女性外科医支援(現在女性医師数:24名、産休・育休から8名が復帰)についても、全力で取り組んでいます.病院では変形労働時間制、裁量労働制を2019年から導入し、医局全体で業務の効率化による業務時間の短縮に努めています.「普通の人が普通に働いて最高の成績を出す」外科診療を提供する当部門に、今年度も多くの方々がご来局いただくことを、医局員一同心より期待してお待ちしています.


略歴:

1960 年1月21日生
1984 年 3月 東京大学医学部卒業
1984 年 6月 東京大学医学部第一外科研修医
1994 年 1月 東京大学医学部第一外科助手
1994 年10月 Dusseldorf 大学医学部消化器科客員研究員
1996 年 9月 キッコーマン総合病院外科部長
2000 年 4月 自治医科大学消化器・一般外科講師
2003 年 8月 自治医科大学消化器・一般外科助教授(准教授)
2007 年10月自治医科大学鏡視下手術部、消化器・一般外科教授
2015 年 1月-自治医科大学消化器・一般外科(消化器一般移植外科) 教授(講座主任)
2015 年 4月-2022年 3月 自治医科大学附属病院 病院長
2021 年 4月-自治医科大学外科学講座 主任教授