コラム

端午の節句で願う

 5月5日の端午の節句は、疫病が流行り出す5月に、菖蒲やヨモギを軒下にさして邪気を払う、という奈良時代からの風習だそうです。日本では、端午の節句にはちまきや柏餅を食べます。これには諸説ありますが、ちまきは中国から伝わったもので、難を避ける「厄除け効果」があると言われています。ちまきは茅(ちがや)、笹などの葉や、竹の皮などに餅やご飯を包んだ食べ物で、地域ごとに、餅(米)を包む素材、包み方、餅の種類で、関西でよく見られる細長い円錐形にもち米、くず菓子などを笹で包まれたもの、新潟県、東北南部などで食べられている、もち米を青々とした笹で三角に包まれている「三角ちまき」、九州南部で好まれている灰汁(あく)に一晩漬けておいたもち米を、孟宗竹の皮で長方形に包み、きなこ、砂糖、黒蜜、醤油など好みの調味料で食べる「あくまき」などさまざまです。関東では、端午の節句には柏餅を食べる習慣がありますが、それは、その昔柏の葉が関東地域でよく作られており、新芽が育つまでは古い葉が落ちない柏の葉を使うことで「子孫繁栄」を願って出来た風習だそうです。
 ちまきや柏餅以外にも、菖蒲湯、菖蒲酒など、端午の節句には無病息災や子供の健康と成長を願う地方食豊かな色々な風習があります。
 現在の疫病(新型コロナウイルス感染症)は、ちまきやショウブなどの薬草の力で追い払うことは難しいかもしれませんが、海外・国内旅行が難しい今年の端午の節句、皆さんの地域に伝わる日本古来の風習に心を寄せるのも良いかもしれません。

(文・しらす)