実験室の機器
ヘモグロビン結晶用酸素平衡曲線測定システム

顕微分光光度計、ガス混合器、酸素濃度計、フローチェンバーを組み合わせて柴山 [Shibayama N. et al. (2011) JBC 286, 33661] が構築したヘモグロビン結晶用酸素平衡曲線測定システム(図参照)。
酸素親和性が高いR状態ヘモグロビン結晶の酸素平衡曲線を測定することができる世界唯一のシステム。
酸素親和性が高いR状態ヘモグロビン結晶の酸素平衡曲線を測定することができる世界唯一のシステム。

多孔性ゲル中ヘモグロビン用酸素平衡曲線測定システム

柴山が開発・報告した含水シリカゲル中でタンパク質の高次構造変化を凍結(超遅くする)する方法 [Shibayama N. and Saigo S. (1995) JMB 251, 203] を応用したゲル中ヘモグロビンの酸素平衡曲線測定装置(図参照)。

水とヘモグロビンを含む~0.05 mm厚の多孔性ゲルを内壁に張り付けた密閉ガラス菅
(左から酸素型、CO型、脱酸素型ヘモグロビン)
(左から酸素型、CO型、脱酸素型ヘモグロビン)
多波長クロマトグラフィーシステム(ÄKTA pure 25 M2)

ヘモグロビンなどの有色タンパク質の分離精製に有用な多波長モニターが可能なクロマトグラフィーシステム(低温チェンバー内に設置)。
MALS連動型クロマトグラフィーシステム

主にタンパク質精製に用いており、ゲルろ過精製、イオン交換精製などによる精製を行っています。また、MALS(多角度光散乱法)検出器が組み込まれており(図右)、ゲルろ過と組み合わせることによって、SEC-MALS(サイズ排除クロマトグラフ-多角度光散乱検出システム)としても稼働しており、サイズで分離したタンパク質の絶対分子量を評価することができます。
高速冷却遠心機

冷却しながら高速回転が可能な遠心機です。
マイクロチューブから大型の遠沈管まで様々なサイズに対応したローター、およびスイングローターも取り揃えており、タンパク質精製や血漿分離など、幅広い生化学実験に必要な遠心分離作業に用いています。
マイクロチューブから大型の遠沈管まで様々なサイズに対応したローター、およびスイングローターも取り揃えており、タンパク質精製や血漿分離など、幅広い生化学実験に必要な遠心分離作業に用いています。
安全キャビネット

危険な試料が外部へ飛散するのを防ぐ装置です。
特に、生物学的に危険性のある遺伝子組み換え生物、あるいは病原性を持つ菌などを外部環境から遮断して安全に使用したい場合に用いています。
特に、生物学的に危険性のある遺伝子組み換え生物、あるいは病原性を持つ菌などを外部環境から遮断して安全に使用したい場合に用いています。
大型恒温振とう培養機

大腸菌、酵母、昆虫細胞などを一定の温度で振とう培養することができる装置です。
特に遺伝子組み換えを行ったこれらの生物を培養し、遺伝子組み換えタンパク質を作らせるために用いています。
特に遺伝子組み換えを行ったこれらの生物を培養し、遺伝子組み換えタンパク質を作らせるために用いています。
CDスペクトル測定装置(学内共用機器)

タンパク質の二次構造(αへリックス、βシートなど)の有無や含有量を簡便に決定できる円偏光二色性(CD)スペクトル測定装置。
測定は溶液で行うため、生体に近い環境での観測が可能です。
測定は溶液で行うため、生体に近い環境での観測が可能です。
単結晶顕微分光測定システム

光学顕微鏡を基礎にした、微小試料用の分光測定装置。
1mm以下のタンパク質結晶にレーザー光を照射したときの構造変化を、可視光吸収スペクトル変化により追跡することが可能です。
1mm以下のタンパク質結晶にレーザー光を照射したときの構造変化を、可視光吸収スペクトル変化により追跡することが可能です。
a) 本体(グリーン・レーザー照射時)
b) 0.15 mm結晶試料, c) スペクトル測定結果
放射光施設での実験
国内の主な放射光施設

タンパク質の構造を原子レベルで解明するには、高輝度のX線を使用する必要があります。国内にはいくつかの放射光施設があり、生物物理学部門では主に3か所の施設を使用しています。
つくばにある高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設 Photon Factory(PF)、Photon Factory Advanced Ring (PF-AR)、播磨にある高輝度光科学研究センターの大型放射光施設 SPring-8(SP8)です。
つくばにある高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設 Photon Factory(PF)、Photon Factory Advanced Ring (PF-AR)、播磨にある高輝度光科学研究センターの大型放射光施設 SPring-8(SP8)です。
タンパク質の結晶構造解析では主にPFのビームラインBL1A、BL5A、BL17A、PF-ARのビームラインNW12A、NE3Aを利用しています。
蛍光X線ホログラフィーの測定ではPFのBL6Cと、SP8のBL37XU、BL39XUを、X線1分子動態追跡ではSP8のBL40XUを利用しています。
PF-ARでの実験装置の例

PF-ARのビームラインNW14Aの実験配置です。
タンパク質の構造が変化していく様子を、回折X線で観測します。写真では、一酸化炭素(CO)の結合したヘモグロビンの測定をしています。レーザー照射によりCOが解離し、タンパク質の構造変化が誘起されています。
タンパク質の構造が変化していく様子を、回折X線で観測します。写真では、一酸化炭素(CO)の結合したヘモグロビンの測定をしています。レーザー照射によりCOが解離し、タンパク質の構造変化が誘起されています。
SP8での実験装置の例

SP8のビームラインBL39XUの実験配置です。
ヘモグロビン単結晶に放射光X線を照射し、ヘモグロビン活性サイトに含まれる鉄原子からの蛍光X線を観測します。単結晶中で蛍光X線の作り出す3次元的な定在波の情報から、鉄原子周りの原子像再生を試みています。
ヘモグロビン単結晶に放射光X線を照射し、ヘモグロビン活性サイトに含まれる鉄原子からの蛍光X線を観測します。単結晶中で蛍光X線の作り出す3次元的な定在波の情報から、鉄原子周りの原子像再生を試みています。