自治医科大学

自治医科大学病理診断部

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病理専門医取得までの道のり

病院助教 丹波 美織

 皆様はじめして、自治医科大学付属病院病理診断部入局5年目の丹波です。この度私は周囲の方々のお力添えのもと、無事に病理専門医試験に合格することができました。今回は、私が病理医を志してから病理専門医試験に合格するまでを振り返りながら、病理医に興味をお持ちの学生・研修医の皆様、現在病理研修中で専門医を目指していらっしゃる先生方に向けたメッセージを送らせていただければと思います。

1.病理医を志したきっかけ
 私が病理に興味を持ったのは大学4年生の時でした。病理実習を行う中で、病理は「病変そのものを目で見て診断できる」ことに強く惹かれて将来病理への入局を考えるようになりました。在学中は病理学教室の部内検討会に参加させていただいたり、6年生の選択実習で病理を回ったりしておりました。
 私にとって病理医は学生時代に病理に興味を持った人が多いのではないか、というイメージでしたが、私の周りには研修中に病理の重要性に気付いて興味を持った、特に病理に興味はなかったが、ローテーションしたら良さに気付いて入局した、他の臨床科に入局してから病理医に転向した、など理由は様々でした。こうしてみると、長い医師人生の中で病理医になりたいと思う時期に制限はないと思います。病理に興味を持った方はまず自身の大学や勤務する病院の病理診断部を見学してみて下さい。

2.初期研修
 自治医科大学卒業生は自身の出身県に戻り地域医療に従事することになりますので、卒業生はほとんど自治医科大学附属病院に残りません。全国各地の大学から研修医が集まっており、ほぼ全員がレジデントハウスで生活することで、同期の仲は良く、充実した研修医生活でした。
 私は初期研修2年目の7, 8月に病理診断部をローテーションしました。内科、外科とは異なり、外来診療、病棟業務、当直はありません。病理診断を行いながら当番業務をこなし剖検が入ったらそちらに参加する、という初めての経験をしました。臨床医としての生活とは大きく異なるので、人によって合う・合わないがあると思います(私はここで働けそうだと思ったのでローテーション中に入局を決めました)。
 病理に興味を持たれている方は、初期研修中1か月でいいのでローテーションし、実際に病理医として働けるかを考えていただければと思います。

3.病理専門医研修から専門医試験にかけて
 病理専門医研修は良悪性を含めすべての疾患をまんべんなく診断している施設で行うことが、専門医試験合格に重要だと思います。施設によっては症例の偏りがあることや臓器によって診る専門の医師が決まっていることがあります。自治医科大学付属病院病理診断部では良悪性や臓器の偏りなくいろいろな症例を診断することができます。組織診断は生検検体、手術検体をあわせて年間15000件程度あります。件数が多く、特に最初の半年は忙しさを感じることと思いますが、診断した数だけ力がつきますので、ある程度の診断件数をこなせる施設で研修を行うことが重要と思います。
 年間の解剖体数も重要です。早めに死体解剖資格も申請する必要があるので、3年目に入るまでに15~20体程度の解剖ができる施設が望ましいと思います。自治医大では、年間20~30体程度の解剖が行われておりますので、3年目までに30体の解剖をこなすことも可能です。
 また、自治医科大学附属病院病理診断部に所属する病理専門医は、さまざまな施設で病理を学んだ医師が集まっていますので、多岐にわたる診断のアプローチを吸収し、自身の病理診断医としての核を形成することができます。指導医からも丁寧な指導が得られるため、試験勉強を行う際に系統だって学習することができます。
 試験前には、切り出しや当番業務を軽減し試験勉強に集中できる体制をとっていただくことができ、十分に勉強して試験に臨むことができます。

3.今後の抱負
 今回の試験では、ここ数年で専門医試験に合格なさった先輩医師からアドバイスをいただいたり参考書を貸していただいたりしたことが、合格の一旦を担っていたと思います。今後は、私が後輩たちの病理専門医試験にむけての指導・サポートを行っていければと思います。
 病理医を志す学生、医師の皆様、ご興味がおありでしたら、ぜひ一度自治医科大学病理診断部に見学に来ていただければと思います。

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