センター長挨拶
大学が設立されてからわずか46年の間に、わが国の医療をとりまく環境は激変しました。超高齢社会を迎え、多臓器に疾患をかかえる患者は増加し、望ましい臨床医のあり方が改めて問われるようになってきました。また「機能分化」を目指すこれからのわが国の医療システムにおいて、「連携」が大きなテーマです。各自治体が効果的かつ持続可能な地域医療構想を策定する必要があります。この大きな変化の中、地域医療学センターが果たすべき役割として、われわれは以下の行動目標を掲げます。
地域医療学センターの行動目標
- 1. 地域医療を担うことのできる医師育成
- 2. 地域医療の課題抽出と改善策の提言
- 3. 実効性のある保健事業や医療活動の創出
- 4. 地域医療学の体系化と実践
地域医療を担うことのできる医師育成は、本学ならびに附属病院の理念です。われわれはこれからの医師育成のあり方を考慮しつつ、自身が医学生・研修医の良きロールモデルでありたいと思います。また、「機能分化と連携」の中、卒業生・若手医師が十分に役割をはたせるように医学教育を発展させます。さらに栃木県南部の地域医療の一部である本学附属病院での総合診療のあり方についても、附属病院、地域の医療機関とのコンセンサスを得ながら診療の充実を図ります。2017年4月からは内科学講座と総合診療内科が協働して運営する内科総合病棟がスタートし、順調に運営がなされています。
地域医療の課題抽出については、学外との情報交換、卒業生をはじめとする学外協力者とのネットワーク形成を充実させ、改善策を提言する機会を創出します。その中、実効性のある保健事業や医療活動の創出が可能であれば、着手したいと考えています。
これまで行ってきた地域医療に関する研究については、継続はもちろん、新たな視点で学外とのネットワークを構築しつつ研究を行い、情報発信いたします。さらに、地域医療学の体系化は地域医療学センターにとって必須の課題であり、それを実践することを目標とします。
これからの時代の地域社会にとって大切な概念は、『みんなが主体的に地域の思いと情報を共有し、「わがこと」として、お互いに思いやる社会を目指す』ということだと思います。これは2017年、2018年と過去2回の地域医療フォーラムの提言として多くの方々の共通認識でありました。私たちは謙虚な姿勢でこれからの課題に取り組み、新たな提言をいたします。 何卒、ご指導の程、よろしくお願い申し上げます。
2018年12月
自治医科大学地域医療学センター
センター長 松村 正巳