入院診療
総合診療内科では、特に診断に重きを置き、多種多様な疾患・病態の患者さんを診療しています。総合診療内科の入院診療は、内科総合病棟(定数22床)において行われます。内科総合病棟では、総合診療内科を中心に、臓器別専門科(消化器内科・感染症科・循環器内科・腎臓内科・アレルギーリウマチ科・内分泌代謝科など)からの派遣医師とともにチームを組み、3~4チーム編成で診療にあたります。各チームに少なくとも1人は総合診療内科医を配置し、多臓器の複合疾患、診断困難(または未診断)な疾患、救急対応を要する疾患などに対して、スムーズな医療を提供します。
チームはいわゆる屋根瓦式の診療・指導体制で、指導医・主担当医・シニアレジデント・ジュニアレジデントに加え、熱意ある自治医大のスチューデントドクター2~3名がともに診療にあたります。それを通じ、適切な診断プロセス(臨床推論)と、エビデンスに基づいた治療、総合的なマネージメントの方法を習得することを目指します。
診療内容は、発熱性疾患の鑑別、感染症の鑑別・治療、腫瘍性疾患の鑑別を数多く行っています。また、必要に応じて基礎疾患があり全身状態の悪化した患者さんを受け入れ、全身管理を行うとともに社会的なマネージメントにも関わることもあります。総合診療内科で扱う主な疾患・病態は以下のとおりです。
■発熱性疾患の精査加療
不明熱の鑑別、治療
感染症 | 市中肺炎、嚥下性肺炎、ニューモシスチス肺炎、肺結核、粟粒結核、細菌性髄膜炎、脳膿瘍、腰椎骨髄炎/椎間板炎、蜂窩織炎、腎膿瘍、胆管炎、HIV、伝染性単核球症など |
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悪性腫瘍 | リンパ腫、原発不明がん、肺がん、がん性腹膜炎など |
自己免疫疾患 | 顕微鏡的多発血管炎、巨細胞性動脈炎、成人スティル病、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症、関節リウマチ、偽痛風など |
■感染症の鑑別、治療
肺炎、尿路感染症、敗血症、その他の細菌感染症
ウイルス感染症
マラリアその他の寄生虫感染症
■腫瘍性疾患の鑑別
原発不明がんの原発精査
リンパ節腫大の精査
転科までの緩和ケアを含む
※手術、化学療法等は速やかに当該科に転科して継続診療
■基礎疾患と合併した感染等全身状態の悪化のマネージメント
総合医として高いレベルの医療の提供を目指すとともに、人材の育成にも力を入れています。サブスペシャルティーを持つ総合医、ジェネラルマインドを持つ臓器別専門医、子育てとの両立など、さまざまなあり方を支援しています。また、内科専門医、感染症専門医、総合診療専門医、家庭医療専門医・プライマリ・ケア認定医などの取得も可能です。
さらに、アカデミアを基盤とした総合診療内科学・感染症学・診断学・医学教育学の習得、クリニカルリサーチ、感染症疫学研究、英文論文作成、大学院進学など、希望に応じて積極的にチャレンジすることができます。
外来診療
外来では、患者様それぞれの症状、診察所見、社会生活背景、さらに病気に対する思いも含め、全人的医療の考え方を大事にして、患者様の診療にあたっています。臓器別専門科での診療が必要な場合は速やかに各専門科と連携し、また患者様の重症度によっては入院担当と連携して、適切な医療を受けられるようマネジメントを行っています。当科での経過観察が必要な患者様については、担当医が再診枠で継続的な診療を行っています。
地域連携を大事にし、各かりつけ医さんから、診断に難渋するの原因不明の症状の患者様の紹介をお受けしております。当科受診後は、各かかりつけ医さんにて治療を継続して頂けるよう、診察・精密検査の結果についての情報提供を行っております。
毎日16時からその日の外来担当者にて受診患者様の「カルテレビュー」を行ない、診療の質の向上に努めています。
下記に外来患者様の第一愁訴のうち、頻度の高いものをお示しします。
外来患者第一主訴(上位10位までを示す)
順位 | 主訴 | % |
---|---|---|
1 | 発熱 | 11.5 |
2 | 検査結果異常 | 8.5 |
3 | 頭痛 | 6.5 |
4 | 咳 | 4.7 |
5 | めまい | 4.6 |
6 | 腹痛 | 3.9 |
7 | 咽頭の愁訴 | 3.8 |
8 | 限局性のしこり | 3.3 |
9 | 胸痛 | 3.1 |
10 | しびれ | 3.1 |