診療グループ

Neurology

診療

ひと月の疾患毎ののべ診療患者数としては、てんかん 400-500人、脳性麻痺や脳炎等による痙性麻痺 100-150人、自閉症スペクトラム障害、知的障害、学習障害や注意欠陥多動性障害等の発達障害400-500人、先天代謝異常症 約20人、染色体異常や中枢神経形成異常 約70人、神経皮膚症候群20-30人、筋ジストロフィー、重症筋無力症などの神経筋疾患 30-40人、白質脳症、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患 10人、チック障害、吃音、頭痛等 30-40人であり。この他、人工呼吸器外来において、60人の在宅人工呼吸器患者を診療しています。
また、入院治療はインフルエンザ脳症などの急性脳炎・脳症が年間約20例、その他、難治性てんかんの診断治療、先天代謝異常症、髄膜炎、その他の神経筋疾患の入院患者数は月に平均約15名です。当院は小児神経科専門医研修認定施設、日本てんかん学会認定医(臨床専門医)研修施設であり、これらの資格をとることができます。
てんかん拠点病院として、てんかんセンターが設置されており、脳外科・精神科・神経内科と共同しててんかん診療を行い、定期的なカンファレンスを持っています。

研究

神経疾患・代謝異常、発達障害の遺伝学的解析、病態解明、遺伝子治療を中心とした治療研究を複数のチームで行っています。とくに自治医科大学は、遺伝性疾患の遺伝子治療を行うための、臨床・基礎各科が集結し、日本の遺伝子治療の中心となっており、当グループはAADC欠損症など、様々な小児期発症遺伝性疾患において、日本の遺伝子治療研究を牽引しています。
自閉スペクトラム症、知的障害を中心とした発達障害の病因解明として、分子遺伝学的解析により患者の染色体微小変化、Gタンパク共役受容体GPR37遺伝子やシナプス接着タンパクCADM1遺伝子の変異を見出しています。またSocial Brain(言語機能など)の分子機構、遺伝子変異を導入した遺伝子改変マウスや神経細胞培養系を用いて、機能障害と小胞体ストレスを中心に病態解析と治療法の開発を行っています。こうした病態解析は、自閉性障害のみならず、睡眠障害、てんかん、不安障害等の解析へつながることが期待されます。
ミトコンドリア異常症や、オートファジー病(オートファジー機能不全による疾患)の病態解明と治療開発を、iPS細胞など細胞培養系と動物モデルを使用して実施しています。遺伝子診断や生化学的解析にも対応可能です。ミトコンドリア機能異常は、エネルギー不全として様々な病態に関連し、オートファジーはあらゆる生命現象を支える重要な分解機構なので、研究の領域も裾野も大きく拡がることが期待されます。また、GLUT1欠損症、ニーマンピック病C型、OTC欠損症の治療法は臨床応用が期待されています。
神経発達症(発達障害)全般の診断や治療薬の客観的評価指標の開発を目的に、脳機能検査(光トポグラフィーやfMRI、脳波等)と遺伝子情報を統合した網羅的研究をすすめています。また、神経発達症の診療に必要な自治体との他職種連携、PCITをはじめとする行動療法の習得を目的とした社会人大学院も学内に設置しています。
各種薬剤の治験を実施する他に、熱性けいれんや脳症に対する国内多施設共同研究に参加しています。
研究機器として、LC/MS/MS、デジタルPCR,Real time PCR、マルチプレートリーダーなど大型機器や基礎実験機器類が常備されています。

研修内容

神経筋疾患で入院した患者の主治医となり、診断、治療について研修します。
病歴の取り方、症状の見方、神経学的所見の取り方、検査プランの立て方、脳波、画像診断、誘発電位などの電気生理学的検査など、神経筋疾患の診断に必要な検査の結果の判定、治療方針の決定等について習熟していただきます。
抗てんかん薬の使用方法、療育やリハビリに関して理解します。
疾患の種類は多く、多彩な疾患について研修可能です。
神経筋疾患は、先天代謝異常や遺伝子変異により起こる疾患も多く、先天代謝異常症や遺伝学的知識の理解も重要です。
神経発達症(発達障害)や親子支援を目的とした行動療法(PCITなど)について外来を中心に理解します。
摂食障害をはじめとする心身症の診断や内科的治療法、精神科との連携について、外来と入院診療の中で学んでいただきます。
病棟診療により神経疾患診療に慣れた後、神経外来を見学し、やがて外来主治医として神経外来診療を行なっていただきます。
小児科専門医取得後は大学院博士課程に進学する選択肢もあります。

研修施設認定

小児神経専門医研修施設認定
てんかん専門医研修施設認定
臨床遺伝専門医研修施設認定(大学として認定)
子どもの心の専門医機構研修施設群認定(子どもの心の診療科精神科と連携)
小児神経専門医取得とともに、これらの専門医の取得が可能です。