学長挨拶
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 自治医科大学は令和4年4月に、創立50周年を迎えました。自治医科大学が設立された当時は都会と地方の医療格差が大きく、医療の恩恵を受けられない過疎地が全国に沢山ありました。そこで全国知事会が、僻地に住む人々の医療と福祉のために自治医科大学を設立しました。
本学の卒業生は過疎地の医療を中心的に担い、9年間の義務年限が終了した後も地域にとどまって、住民の健康と福祉のために献身的な努力をして参りました。実際、卒業生の貢献により、半世紀の間に多くの地域で医療格差が格段と改善しました。また自治医科大学自体も地域医療に貢献すべく、附属病院とさいたま医療センターでは高度な医療を提供し、地域の基幹病院として重要な役割を果たしてきました。さらに研究も最先端を目指し、世界的業績をあげる研究者の育成を行っております。

 自治医科大学は多くの使命を担っておりますが、中でも全国の都道府県から選ばれた学生を、まず地域医療のリーダーとして、さらに地域社会のリーダーとして活躍できる人材として育成することを最優先課題としております。そのための最初の関門は医師国家試験にストレートで合格することですが、これは最近10年間、連続全国一位の成績を上げてきました。しかし私達が真にめざすのは、病める人の立場に立って総合的かつ全人的な医療を行える人材育成にあります
一方で少子高齢化と東京一極集中により、地方の人口は急激に減少しています。国の財政悪化と近年の新型コロナウイルス感染症の流行も重なり、わが国の地域医療と医学教育のありかたは見直しを迫られています。その中で本学は令和4年に創立50周年を迎えました。

 この重要な節目にあたり、これまでの日本の医療と医学・看護学教育を顧み、次の50年を展望する機会としたいと考えております。記念事業は、記念式典開催に加えて、記念シンポジウム、提言集・創立50周年記念誌・記録写真集の発刊が進んでおります。自治医科大学はこれからも社会から信頼される存在となるよう努めてまいりますので、ご指導とご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

自治医科大学 
学長 永井良三