理事長挨拶
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創立50周年に寄せて

 自治医科大学は医療に恵まれない地域における医療の担い手の養成を目的として全都道府県の共同で昭和47年(1972)に設立され、今年創立50周年を迎えました。本学の発展を支えて来られた歴代の教職員はじめ関係の皆様に厚く御礼を申し上げますとともに全国各地で活躍されている卒業生の皆さんに深く敬意を表します。

 初代中尾喜久学長から髙久史麿学長そして永井良三学長に引き継がれた確固たる教育方針の下で地域医療の担い手として育まれた卒業生が令和4年(2022)3月までに医学部約4700名、看護学部約1800名(看護学校・短大卒を含めて約4200名)輩出されています。「医療の谷間に灯をともす」建学の精神が先輩から後輩へと脈々と受け継がれて、栄えある歴史が刻まれてきました。卒業生は全国の地域医療の現場はもとより本学や他大学の教授、 国等行政機関の要職などで幅広く活躍しています。医学部1期生で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の重責を担っている尾身茂先生もその一人です。

 卒業生は各都道府県の同窓会で強く結びついているだけでなく、寮生活を共にした全国の同窓生との横のつながりで支えられています。こうしたネットワークは地域医療の確保と充実に大いに資するものと期待されます。これまで以上に卒業生の医療活動とキャリアアップを支援できるように努めてまいります。
 本学では医学界を代表する永井学長はじめ最高水準の教授陣が教育、研究及び診療に当たっています。今年も医師国家試験に全員合格し、10年連続で合格率全国1位の快挙となりました。看護師国家試験でも優秀な成績を収めています。研究においては遺伝子治療研 究で医学界をリードするなど大きな成果を上げており、診療においても本学附属病院及びさいたま医療センターは地域の中核医療機関としての役割を着実に果たしています。新型コロナウイルス感染症への対応においても、重症患者を始め多くの患者を受け入れて高く評価されています。今後とも教育、研究及び診療を三位一体でより一層充実させて参ります。
 我が国は人口減少・超高齢社会の到来という国難を克服するため、全世代型社会保障の構築と地方創生に取り組んでいます。全世代型社会保障の一環である地域包括ケアシステ ムは地域や在宅で安心して医療・介護サービスを受けられるようにすることを目的として おり、地域医療を担う総合医とそれと連携する看護師が果たす役割が鍵となります。また地方で安心して子供を産み育てられる環境を整える「地方創生」は、地域医療の確保なくしてはあり得ません。正に地域医療に強い使命感を持った本学の卒業生が実践しているところであり、医療を通じて地域社会のリーダーとして活躍しています。

 地域医療を巡る環境が厳しくなる中で、地域医療の担い手を養成する本学の役割は益々高まります。デジタルを活用した社会の変革(DX)は、地域医療の充実につながります。しかし科学技術がどんなに進展しても医療は人と人のコミュニケーションが基本です。それを地域医療の現場で実践する医療人が求められます。将来においても本学の卒業生が地域医療のリーダーとして活躍することを確信しています。創立50周年の節目に当たり、建学の使命を果たす決意を新たにしております。引き続き関係の皆様のご支援を宜しくお願い致します。

学校法人 自治医科大学
理事長 大石利雄