看護職クリニカルラダー

段階的に看護実践能力を積み重ねていく当院独自の「ラダー研修」があります。この研修は、ラダーⅠ(適応期)に新人看護職員臨床研修制度で基盤作りをし、その後ラダーⅡA(成長期)、ⅡB(自立準備期)、Ⅲ(自立期)、Ⅳ(自律期)の5つの段階を目指していきます。マネジメント力、対人関係力、実践教育力、看護展開力、看護倫理力をバランスよく高めるために、必要な研修を受講し課題に取り組んでいきます。


私たちが育てたい看護師像

高度先進医療に対応できる高度な専門実践力を備え、患者の生活を支える視点で看護ができ、
地域医療に貢献できる看護職を育成します。看護職員全員がラダーⅢ認定を受けることを目指します。

看護実践能力に優れた看護師となるために高めていく5つの能力があります。
この5つの能力をそれぞれの意味を表現した英単語の頭文字を組み合わせ、「上昇する、高まる、起こる、現れる、生じる立ち上がる」など、上向きの動きと上向きの変化の意味をもつ、ARISE(アライズ)と自治医科大学附属病院のJ(ジェイ)で表現しました。

ラダー(Ladder)は「はしご」を意味しています。
しかしながら実際の成長や変化は、はしごを登るというより、らせん階段を上がるようなものではないでしょうか。

「森羅万象の事物はらせん経路を経て発展する」という概念はスパイラルアップと呼ばれ、企業運営や組織論で用いられる成長・発展・変化の道筋を示す考え方です。新しい概念ではありませんが、専門職として常に学び続ける必要がある私たち看護職員の成長過程に通じるものであると考えました。

らせん階段を進んでいる自分自身から見ると、毎日の現場実践は繰り返しのように思えます。
それでも、らせん階段全体を外(他者)から見れば着実に高く上がっていることはわかり、そして自分自身も時々立ち止まって外の景色を俯瞰すれば、いつの間にか高く上っていることに気づきます。

360度の様々な方向に展開された情景に対面し、そこで起こる出来事に向き合い、思考と判断を繰り返し円を描きながら歩いています。再び同じ方向に対面する時には、経験を足元に積み重ねているので、前回の足跡のちょっとだけ上を歩いています。
そして描く円は前回の軌跡よりもちょっとだけ大きな円を歩いています。
らせん階段を上がるには水平方向の力と垂直方向の力の作用が必要です。成長過程を平面的にとらえるのでなく、立体的、三次元的に捉えることが大切です。自治医科大学附属病院独自のラダー研修は、大切な日々の実践を振りかえる機会であり、評価を受けながら課題を明らかにして、さらなる自己成長につなげるものと考えます。

「研修は研修で受講して終わり」、「毎日の現場実践は同じことを繰り返して終わり」ではなく、双方が常に学びの場として存在し、相互作用が期待できます。
時には「経験を論理的に整理して振り返る」、「理論や知識を実践で活用してみる」などのチャレンジが個々の実践力となり、看護部理念と基本方針を実践できる看護職員の育成につながるものと考えます。