学外からの来訪実績:見学記

高校生医師体験セミナー

概 要

 当センターでは,将来,医師になり地域医療を支える人材を少しでも多く育てるため,社会貢献の一環として,小・中・高校生を対象にシミュレーションセンターの見学と体験セミナーを受け入れています.また,社会に対してシミュレーション医療教育に少しでも興味を持ってもらい,医療を身近に感じてもらうために,医療系ではない大学や企業等の見学も受け入れています. 本稿では,こうした活動の中でも,高校生を対象に行われた「医師体験セミナー」について,詳しく紹介したいと思います.

体験セミナーの様子

来訪された皆さんに体験していただいたこと

・気管支鏡/心エコー・腹部エコー

 近年,開発と普及が進んでいるバーチャルリアリティ(VR)を取り入れた気管支鏡シミュレータ,心エコー・腹部エコーシミュレータを体験してもらいました.日頃,ゲームに慣れ親しんでいる高校生の皆さんは,すぐにシミュレータに慣れた様子で,非常に器用に操作していました.今後はより一層ゲームリテラシーの高い世代が医学部に入学し,医師になっていくことを踏まえると,改めてVRシミュレータの開発と普及の重要性を考えさせられました.

・腹腔鏡シミュレータ

 腹腔鏡手技の一環として,鉗子等の器具の取り扱いを練習するシミュレータを使ってもらいました.ここでは,直径数ミリの球をカメラを見ながら器具でつかんで,指定のゴールに入れる練習をしてもらいました.ある意味“ゲーム”です.残念ながら当日は2台しか用意していませんでしたが,学生さんは一度このゲームを始めると没頭してしまい,なかなか次の方と交代できなかったため,シミュレータの前に列ができたほどでした.
 こうした様子を見ていると,受講者が思わず没頭するようなゲーム性のある(ゲーミフィケーションを取り入れた)シミュレータの発展性と重要性を感じずにはいられません.こうしたシミュレータをより多くの手技について開発することで,学生がより“自主練”に励み,没頭し,シミュレータを我先に使いたがるようになるのではないかと思います.

・採血・聴診

 医療における基礎的な手技である採血や聴診について,シミュレータで体験してもらいました.やはり,これらの手技は普段“患者側”として経験していることもあり,非常に人気がありました.特に,採血は医療において大事な要素がいろいろと詰まった基本的かつ重要な手技です.
 セミナーでは高校生のみなさんに,“医療者側”“患者側”を両方とも体験してもらい,“お名前を聞かせてください”といった患者本人確認を含む【医療安全行動】,患者を安心させる声掛けといった【接遇・コミュニケーション】を実践してもらい,手技+αについても体験してもらいました.

最後に

 こうした活動によって,少しでも多くの若い世代に医療に興味を持ってもらえることを願います.私たちも,活動を通してシミュレーション教育に関する様々な発見をしており,よりよい教育をデザインするヒントにさせてもらっています.