教育デザイン・学習分析研究

(1)Design-based Research(DBR) としての教育デザイン

 教授システム学や教育工学の分野においては、教育実践の企画運営およびその評価を通じて「よりよい教育を実践していくための知見」を整理するというスタンスから「デザイン研究(DBR : Design-based Research)」の手法も用いられており、現在行っている研究の大半はこのDBRの観点から実践しています。多重課題の研修に代表されるように、それまでの研修のやり方を根本から見直し、「学習者がどのようになってくれればよいのか」「そのゴールに導くための最適な方略はどのようなものなのか」を検討したうえで教育設計・実践と評価を行うという形で、教育と研究の両輪を回しています。

(2)Institutional Research(IR)の観点における学習・教育の質調査

 IR、特に教学IRと呼ばれる分野です。この領域では、教育全体のデータを収集・分析し、情報として可視化した上で、その結果を教育実践や管理・運営に役立てることが期待されています。シミュレーションやeラーニングから得られる形成的な評価、単位取得に関する成績や卒業時試験などの総括的な評価、それぞれのデータを総合的に分析することで、より良い教育を提供するための礎をつくりあげています。

(3)Moodleを基盤とした学習・教育支援の環境構築

Moodleをはじめとしたオープンソースの学習管理システム、Open Badgesのような学習履歴を管理するためのオープンな仕組みなど、世界中の誰もが利用可能な学習支援ツールが多数存在しています。従来、これらの技術は特に知識習得の教育に活用されてきましたが、シミュレーション医療教育と結びつけることで技能や態度の学習・評価にも転用し、医療者教育および医療の質保証という観点にも寄与させていくことを検討しています。特に医学教育分野別評価などの質保証が求められている昨今においては、(2)の教学IRと関連して特に重要な研究課題と考えております。

2018年度の業績リスト

研究論文

学会発表等