長田教授からのメッセージ

腎臓内科に興味ある初期研修医,医学部生の皆さんへ

 

内科学講座腎臓内科学部門 教授

附属病院副病院長・腎臓センター長    長田太助

 

 腎臓は電解質とか難しいし,何回勉強してもよく分からないし,一生の仕事にするのはちょっとね・・・,といったことを思っている研修医,医学部生の方々は結構多いのではないでしょうか.実際,アメリカでも腎臓内科は医学部生に不人気なのですが,その理由は単純に難しいからということらしいです.洋の東西を問わず腎臓内科は取っ付きにくい学問体系だと思う人が多いようですね.しかし,よく考えてみればそれは最大のチャンスだと思うのです.多くの人が忌み嫌って敬遠する電解質,酸塩基平衡,急性腎障害(AKI)時の対応等々,腎臓内科の十八番(おはこ)の領域に数多く触れてエキスパートになれば,それこそ病院中のヒーローです.あなた一人しか,その患者さんの奥深い病態を解釈して適切な指示を出すことが出来ないからです.我々の医局では,そのような臨床での成功体験を大切にしています.それを更に昇華させるために,若い医師達が臨床的・基礎的な研究をすることを勧めています.その研究の成果を臨床の場に戻して,さらに高い次元の臨床体験を目指すのです.もちろん,我々も若者が十分研究ができるような基盤の充実を図るため日夜努力をしています.

 私が2013年,自治医科大学に教授として赴任して来た当時,残念ながらその様な臨床体験と臨床・基礎研究の好循環は,腎臓内科学部門においては不十分であると感じました.基礎の教室に学内留学して医学博士の学位を取ったら,それで良かったね!で終わっている場合が多かったからです.旧帝国大学等の腎臓内科教室の羨ましいくらいの繁栄ぶりから見ると,だいぶ差が付けられていた感じがしました.あれから6年が経ち,現在は私が目指している医局の姿に近づきつつあります.臨床と研究,骨太の好循環を確固たるものにするには,もう少し時間がかかると思いますが,だいぶ良いところまで来ました.そのためには若い皆さんの力が必要です.是非仲間に加わっていただいて,一緒に腎臓医療の高みを目指しましょう!

今迄,腎臓内科のロゴマークというものが無かったので,ちょうど良い機会なので新規に作成しました.若い皆さんに我々の目指すものが何かを訴えかけるには,医局のロゴを作るのも良い手段だと考えたからです.まず,基本的な形は,腎臓病から患者さんを守るという意味で鉄製の盾にしました.外枠にはラテン語で腎機能障害の患者さんを救います!という意味のことを書きました.中身の赤と青の色は動脈と静脈なのは一見で分かると思います.小さなシンボルについてですが,もちろん腎臓,と腎不全の背景にある最重要臓器である心臓,があるのは腎臓内科のロゴですからある意味普通かもしれません.あと二つ,“アスクレピオスの杖”とピペットマンが配置されています.アスクレピオスの杖というのは,ギリシャ神話に登場する名医アスクレピオスが持っていた蛇の巻きついた杖のことで,欧米では医の象徴としてよく用いられているものです.ピペットマンはもちろん研究の象徴です.医療と研究の好循環を目指す我々の医局のロゴには是非この二つのコンビネーションが必要でした.私がこの医局ロゴマークに込めた想いが少しでも分かっていただければ幸いです.

繰り返しになりますが,初期研修医および医学部学生の皆さんが,私達の医局に入局してくださるのを,心待ちにしております.腎臓病の患者さんの健康を取り戻すため,我々と一緒に腎臓の臨床と研究を実践しましょう!

研修医・医学生の皆様へ