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自治医科大学 医学部 生理学講座 生物物理学部門

研究内容RESEARCH

ヘモグロビンの協同作用の研究

活動報告写真

ヘモグロビン(Hb)は、赤血球中にあって肺から末梢組織への酸素運搬を担うタンパク質です。Hbの4個のヘムに4個の酸素が結合する時、はじめの方に結合する酸素が後から結合する酸素を100倍以上も付きやすくする協同作用があります。このおかげで、高効率な酸素輸送が実現されます。私達の研究目標は、協同作用のメカニズムをHbの分子構造のうえから深く理解することです。
Hbの協同作用(上右)の源は、教科書的なTとRの2状態転移(下左)ではなく、多状態間の複雑な分子過程であることを解明(下右)
[JACS 136(2014))5097-5105.]


疾患関連タンパク質の立体構造解析

活動報告写真

私たちの研究室では、ヘモグロビン研究で培ったノウハウを活かし、学内外の他研究室から提供を受けた疾患関連タンパク質の構造解析を進めています。例えば、抗インフルエンザ薬の創薬の出発点となるインフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのX線結晶構造解析(右上:インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのサブユニット間接触(赤と青)のX線構造)[Nature 454 (2008) 1127-1131.]、腫瘍抑制作用が確認されているプロテアソーム阻害剤とタンパク質との複合体の構造解析(左下:阻害剤K-7174(緑)の結合したプロテアソームのX線構造) [PLoS ONE 8 (2013) e60649.]、などを行いました。疾患関連タンパク質の構造解析は、疾患発生の分子メカニズムの理解および分子標的薬の開発に重要な意味があり、医学に直接貢献できる研究課題です。


動的X線結晶構造解析

従来のX線結晶解析で得られる静的構造からでは、タンパク質分子の働く最中の「動き」は分かりません。私達は、放射光を利用した動的X線結晶構造解析法の開発に取り組んでいます。従来の「静止画像」から「ムービー」への転換です。
この測定方法は新学術領域研究「ソフトクリスタル」の研究手法にも使われています。
左図:CO脱着に伴うヘモグロビン構成原子の動きの直接観察。赤から青へ動く。[PNAS 100 (2003) 7039-7044.]
右図:ミオグロビン分子内のCO輸送経路[PNAS 106 (2009) 2612-2616.]


X線1分子動態追跡

ヘモグロビン(Hb)の大規模構造変化の実時間観測は世界でまだ誰も成功していません。私達は、高輝度放射光X線と金ナノ結晶標識を用いたX線1分子動態追跡法を用いてこれを目指します。
新学術領域研究「3D活性サイト科学」の研究テーマのひとつです。
右図:X線1分子動態追跡法のセットアップ
左図:ヘモグロビン分子の運動追跡の実際


原子分解能蛍光X線ホログラフィー

従来のX線結晶構造解析は、モデル依存型の試行錯誤的な過程が必要で、解析に熟練を要しますが、蛍光X線ホログラフィーはその過程が不要となる画期的な原子イメージング法です。タンパク質を対象としたホログラフィーは世界初の試みです。
こちらも新学術領域研究「3D活性サイト科学」の研究テーマのひとつです。
右上:Hbの蛍光X線ホログラム(Fe周辺原子の干渉パターン)
左上:蛍光X線ホログラムの発生原理
下:Hbの活性サイト中心
[Rev. Sci. Instrum. 87 (2016) 063703.]



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