自治医科大学附属病院 患者サポートセンター

自治医科大学附属病院 医師同門会

急性心筋梗塞地域医療連携パス|地域医療連携パス

「急性心筋梗塞地域医療連携パス」について

急性心筋梗塞(AMI)医療連携パス運用の手引き(かかりつけ医用)

ご存知のように今日の急性心筋梗塞診療はST上昇型心筋梗塞のみならず非ST上昇型心筋梗塞においても急性期のカテーテルインターベンション(PCI)の有用性は確認されております。したがって患者が発症後できるだけ早期にPCIが可能な施設に搬送される必要があり、初療医とこれらのPCI施設との密接な連携が必須であります。他方、心筋梗塞は持続的に続く動脈硬化の進展の過程のひとつのイベントであり、PCIや冠動脈バイパス術(CABG)はその進展過程のある一時点において血流改善を得る治療なので、血流改善のみでは患者の長期予後を保証するには不十分であります。動脈硬化進展の下地としての冠危険因子に対する薬物療法介入と禁煙、運動あるいは食餌嗜好の改善など、生活習慣の包括的な改善により動脈硬化の進展予防がなされない限り、二次予防を含めた本疾患の撲滅はありえません。そのためには専門医療機関では当然として、急性期治療後、慢性期に通院する非専門医療機関においても、生活習慣改善と薬物療法が継続されることが重要であります。そして然るべき時期に治療冠動脈に再狭窄や再閉塞がないかどうかの冠動脈造影評価を再度専門医療機関で行う事が必要となります。そしてその後はさらにかかりつけ医での治療が継続されます。本連携パスは急性心筋梗塞患者に侵襲的治療が行われた後、かかりつけの医療機関に通院し、再び冠動脈造影再評価が行われ、さらにかかりつけ医での治療が継続されるといった一連の医療連携を円滑に進めることを目的とするものであります。

日常診療での達成目標としては症状および検査値に異常のないこと、合併する危険因子がある場合には各危険因子に対する加療が満足できているかを挙げております。検査では胸部X線、心電図および採血検査を挙げ、PCI施行施設ではこれに加え心エコー図、冠動脈造影検査を挙げます。ステント留置の有無に関わらず抗血小板薬投与は必須でありますが、アスピリン単独あるいはチエノピリジンとの二者併用の方針に関してはPCI施行施設にて決定し、これを継続していただきたく項目を設けております。また観察項目として日常での胸痛など心筋虚血症状、息切れ等心不全徴候の有無のチェック、副作用の有無に関しては内服に伴う肝腎機能障害の有無、抗血小板薬による出血やスタチンの筋肉痛などの有無をチェック項目として挙げております。

パスに登録された患者はPCI施行施設から退院する際に「急性心筋梗塞医療連携手帳」を配布されます。これには心筋梗塞二次予防に対する患者教育目的の記載項目、自分の治療された血管、または残存心機能などの患者個入の状態の記載項目および医療者向けパスに準じた患者さま用のパスが設けられております。また日常で患者自身が気をつけなければならない事柄や把握しておくべき検査結果を記載するチェック項目、処方箋のコピーを貼付する頁を設けてあります。この連携パスを運用する事で患者自身の闘病意欲向上を目指すだけでなく、かかりつけ医の先生に目を通していただき確認および記載していただくことで、よりよい医療連携が達成されるように役立てたいと存じます。

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