末梢血幹細胞採取について

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末梢血幹細胞採取について

骨髄から末梢血に出て来た造血幹細胞(CD34陽性細胞)を、血液成分分離装置を用いて採取することを末梢血幹細胞採取と言います。通常、造血幹細胞は骨髄にあり、末梢血にはほとんど存在していません。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)と言う薬剤を投与すると、骨髄での造血が盛んになり、造血幹細胞が骨髄から末梢血に出てきます。これを、造血幹細胞の動員と言います。
血液成分分離装置には色々な機種がありますが、日本赤十字血液センターで血小板や血漿の採血に使われている機種も血液成分分離装置です。採血した血液を血液成分分離装置で遠心し、造血幹細胞を含む分画をバッグに採取し、残りの血液は返血します。従いまして、片方の腕の静脈に針を刺し、採血ラインを確保します。もう片方の腕の静脈に針を刺し、返血ラインを確保します。末梢血幹細胞採取にかかる時間は、3-4時間です。その間は、ベッドに横になって頂き、テレビやDVDを鑑賞して頂きます。末梢血幹細胞採取に関係した副作用に、血管迷走神経反射(気分不良、血圧低下など)があります。もう一つの副作用に、クエン酸中毒(しびれ、気分不良など)があります。採血ラインから採血された血液が固まらないよう、クエン酸が自動的に注入されるためです。クエン酸中毒を防ぐため、返血ラインからクエン酸の中和剤が注入されるのですが、それでもクエン酸中毒が起こる場合があります。血液成分分離装置の稼働中は、看護師、医師、臨床工学技士がおりますので、どの様な副作用であっても適切に対処します。
末梢血幹細胞採取は、1日または2日間行われます。採取終了の翌日、退院です。通常、採取した末梢血幹細胞は、生細胞で凍結します。移植時、この細胞を解凍し輸注します。これを、末梢血幹細胞移植と言います。