自治医科大学アレルギー膠原病学では毎週医局員が交代で抄読会を行っております。
出典:Neurology 2015;85;1400-1407 より、Immunoglobulin G4-related pathologic features in inflammatory neuropathiesを読みました。
炎症性の末梢神経障害においてIgG4が病態にどの程度寄与しているか、というテーマです。
名古屋大学での過去の症例で、腓腹神経の病理と血清IgG4値が両方ある149名を対象としています。そのうち血清IgG4値が高いのは35名、IgG4関連疾患の基準を満たす炎症細胞浸潤を腓腹神経に認めるのが29名で、脱髄ははっきりせず軸索変性が主体、IgG4陽性細胞の浸潤の場は神経内膜ではなく神経鞘でした。血管への浸潤もあってMPAやEGPAと診断された例は多いながらも、血清IgG4値の高さや神経症状を有する期間ではなく、IgG4陽性細胞の浸潤の強さが神経鞘の線維化の範囲に大きく関わっているだろう、ということがわかりました。
IgG4は神経だけでなく、多臓器の病変に関与することがあるので、我々の分野では特に注意すべきと考えました。
担当 S