PET 検査とは

陽電子(ポジトロン)を放出する放射性核種(ポジトロン核種)で標識した薬剤を静脈から静注して、その体内分布を画像化する診断技術です。ちなみに PET とは、Positron Emission Tomography(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の頭文字をとったものです。

PET 検査の仕組み

がん細胞は正常細胞に比べて、約3~8倍のブドウ糖を細胞内に取り込む性質があります。PET 検査はこの性質を利用し、ブドウ糖「放射性同位元素」をつけた検査薬(FDG)を体内に注射して、その集まり具合を画像化して診断するものです。

自治医科大学附属病院では

上記 PET 検査と従来からある CT 検査を複合した PET-CT を導入しています。
この PET-CT 検査は、一度の撮影で PET 検査と CT 検査の両方の画像が得られます。PET 単独の検査に比べて CT の解剖情報を合わせた画像が得られるので、より明確に病変部位や範囲の診断が可能となります。

PET 検査のメリット

  1. 「がん」の早期発見
  2. 全身を一度に撮影できる
  3. 病期診断に有効
  4. 転移や再発の発見に有効
  5. 良性・悪性の鑑別に有効
  6. 患者様の苦痛が少ない

PET 検査は万能ではありません

PET 検査は上記の通り、画期的な検査法ですが、万能ではありません。
他の検査や画像診断と組み合わせて初めて、より明確な診断がえられることになります。また、臓器や部位によっては、PET だけでは検査法の性質上見つけることができないこともあります。

得意ながん

頭頚部がん、肺がん、乳がん、転移性肝がん、脳腫瘍、食道がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫など

不得意ながん

早期胃がん、腎臓がん、尿管がん、膀胱がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病など

PET-CT 検査のお申し込みについて

  • 人間ドックご予約時、または総合検診受診当日にお申し出下さい。
  • PET-CT検査は、人間ドックのオプション検査として行いますが、人間ドックと同じ日に受けることはできません。上部消化管 X 線検査を受けた場合は、消化管内のバリウムが PET-CT 画像診断に影響を与えるため、ドック受診から 1 ヶ月以上間隔をおいて行います。
  • PET-CT検査では、頭部、胸部、腹部のCT検査と同様の画像診断ができますので、オプション検査の CT検査を別に申し込む必要はありません。
  • 人間ドック受診当日、医師から検査内容についてご説明いたします。「ポジトロン放射断層撮影(PET)検査に関する同意書」をご記入いただいた上で、PET-CT 検査の予約日を決定いたします。
  • PET-CT 検査受診日の 2 週間前までに「受診日決定のお知らせ」、「PET-CT検査の注意事項」、「PET-CT検査当日の流れ」などの説明文書をお送りしますので、予めお読み下さい。
  • PET-CT 検査は附属病院内の核医学検査室で行います。

PET-CT 検査の注意点

以下の項目に当てはまる方には PET-CT 検査をお勧めできません。

  • 半年以内に、骨折、外傷、手術(歯科などによる抜歯も含む)を受けた方

    PET 検査では、骨折、外傷、手術などによる炎症の部位にも FDG の集積がおこり、がん病巣への集積と区別がつきにくいことがあります。

  • 糖尿病、血糖値が高い方

    血糖値が高いと検査薬のがん病巣への集積がおこらず、検出できなくなります。糖尿病で治療中の方につきましては、検査当日は血糖降下剤やインスリンの使用は中止した状態でも空腹時血糖値が 200mg/dl 以下となっている必要がありますので、お申し込みの前にあらかじめ主治医にご相談下さい。

  • 閉所恐怖症の方、安静を保てない方

    検査薬FDGを静脈注射後、1時間ほど安静を保って頂きます。その後、検査室で 30 分ほど臥床安静にして撮影をします。

  • 妊娠中、授乳中または妊娠の可能性がある方

    放射性物質を用いるため、胎児や乳幼児に対する安全性は確立されていません。

※ 以下の病気で通院中の方は、一定の条件を満たせば、PET-CT 検査が医療保険の適応となることがあります。主治医とご相談下さい。(肺がん、乳がん、大腸がん、頭頚部がん、脳腫瘍、膵臓がん、悪性リンパ腫、転移性肝臓がん、悪性黒色腫、てんかん、虚血性心疾患)