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自治医科大学医学部薬理学講座 分子薬理学部門

2.教室紹介

1. 診療

冠状動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)・弁膜症・血管疾患(大動脈解離・大動脈瘤・閉塞性動脈硬化症・静脈瘤)など後天性心臓血管疾患全般を自治医科大学附属病院で、小児先天性心疾患を隣接する自治医科大学とちぎ子ども医療センターで診療しています。2020年の1年間の心臓胸部大血管手術364例、腹部大動脈瘤などの血管外科手術等を含めた総手術件数は576例でした。


施設認定

日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本胸部外科学会認定医認定制度指定施設
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構認定基幹施設
日本成人心臓血管手術データベース機構認定施設
関連11学会構成ステントグラフト実施規準管理委員会認定ステントグラフト実施施設
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療実施施設
植込型補助人工心臓実施施設
カテーテルVAD (IMPELLAR)実施施設
TAVI(経カテーテル大動脈弁植込術)実施施設
日本脈管学会認定研修指定施設

2. 教育

卒前教育のうち、特に5年生の選択臨床実習では学生は研修医と行動を伴にし、緊急手術への参加等、濃密な実習を行っています。また、4週間の実習中に経験した症例を基にした日本胸部外科学会地方会などでの発表、論文作成(症例報告)を実習のゴールとしています。
卒後臨床研修ではスタッフ・レジデントが一丸となって入院患者を担当しています。2年間の初期研修では心臓血管外科のみではなく、一般消化器外科・呼吸器外科・麻酔科・救急部などをローテーションし、幅広い能力を有した医師の養成に心掛けています。初期臨床研修終了後は、外科専門医認定制度に則って専攻医として研修します。連動型研修プログラムで研修した場合、卒後8年目での心臓血管外科専門医取得を目標にしています。また、海外留学をふくめた院外での研修、修行を奨励しており、他施設で揉まれることで強い心臓血管外科医になることを期待しています。臨床研究については学会発表や論文作成を積極的に指導しており、また基礎研究や海外留学も本人の希望があれば大いに勧めています。2019年4月〜2,020年3月の間、楜沢医師がタイ国ランパーン病院へ臨床留学しました。
外科手技の習得のための定期的なdry labo、wet laboとともに、本学の先端医療技術開発センターにおいて、ブタを用いた手術シュミレーション、および手術手技トレーニングを定期的に行っており、研修医、学生に好評です。

3. 研究

教室では基礎研究においては、MRIデータに基づいた数値流体力学計算(CFD: computational fluid dynamics)を用いた大動脈疾患の血流解析をメインテーマにしています。具体的には、CFDを基に大動脈壁の壁剪断応力(wall shear stress: WSS)分布を計測し、真性大動脈瘤/大動脈解離における大動脈拡大に関する血行力学ストレスの関与を解析し、さらに高剪断応力部位で発現する壁せん断応力感受性遺伝子の同定、および機能解析を行っています。また、本学の先端医療技術開発センターと共同して、世界に先駆けてミニブタを用いた人工心肺を用いた慢性期実験モデルを開発し、人工心肺中の血管内皮細胞障害に関する研究等、本モデルを用いた慢性動物実験を行っています。  また、大動脈二尖弁症例における大動脈拡大の機序を解明するために、血行力学ストレスの影響を直接うける血管内皮細胞と、病変の主座である深層の中膜組織との関連に関する研究、および大動脈拡大の分子細胞学的機序に関する研究を、血管平滑筋細胞多層構造の上層にmembrane filterを介して血管内皮細胞層が存在するEC-SMC co-culture モデルを用いた共培養実験を首都大学東京システムデザイン学部と共同で行っています。

 臨床研究では、急性大動脈解離の短期/長期成績に関する研究(さいたま医療センターとの共同研究)、冠動脈バイパス術における動脈グラフトを用いた新たなsequential grafting法の開発、no touch saphenous vein graftの臨床研究/病理組織学的研究、手術室抜管の臨床成績に関する研究、人工膵臓を用いた術中血糖管理に関する研究、術前栄養状態を評価する新たな指標を用いた周術期管理に関する研究、機械的補助循環装置の開発および補助循環法の基礎的研究などのプロジェクトが進行中です。