ごあいさつ

 実験医学センターは、本学における動物実験の中核施設であり、本学創立の1974年(昭和48年)に本館の一部に開設された実験動物センターがその前身である。遺伝子組換え実験や感染実験を行えるバイオハザード実験区域およびラジオアイソトープ実験区域を加えた中央棟が1987年(昭和62年)に落成し、1989年(平成元年)には実験医学センターに改称された。2009年(平成21年)には、ブタ等の中型実験動物を用いた医療技術トレーニングとトランスレーショナル研究を柱とした先端医療技術開発センターが、本学第二の共同利用動物実験施設として開設された。これにより、実験医学センターは、マウス・ラット・モルモット・ウサギ等の小型実験動物に特化した共同利用動物実験施設として教育・研究を支援し、本学の発展に貢献してきた。
 近年では、マウスの遺伝子改変技術が普及したことにより、遺伝子改変マウスは医学研究に不可欠なバイオリソースとして利用され、当センターでも遺伝子組換えマウス・ラットを用いた研究が飛躍的に増加している。
 また、再生医療や遺伝子治療等の研究分野でも、実験動物を用いた移植実験や遺伝子導入実験が盛んに行われている。このような新たな研究や医療のニーズに対応した施設として、築30年が経過した実験医学センターのリニューアル計画を進め、2018年8月に実験医学センター新棟が竣工した。
 実験医学センター新棟は、貴重な動物資源や空調等の施設インフラの保全のために危機管理対策に配慮した施設・設備となっている。

新棟の3~5階は、SPFマウス・ラットを維持繁殖、飼育、実験するためのスタンダードバリア区域であり、実験上の利便性を保ちつつ飼育動物の感染症リスクを低減するため、ならびに塵埃・臭気等の飼育室内の作業環境を改善する目的で、個別換気ケージシステムを採用した。バリア区域内には、一般的なSPF動物の飼育室とともに、投与・採材等の実験処置や外科手術を行うための処置室、in vivoイメージングや生体機能解析を行うための解析室を備えている。
 また、バリア区域の一画には、免疫不全動物専用の易感染動物区域、およびウイルスベクター等を使用した遺伝子導入実験のためのP2A区域を配置した。
 さらに、バリア区域内には、生殖・発生工学技術や遺伝子組換え・ゲノム編集技術を用いた研究支援の充実のため、バイオリソース室、胚移植室、胚保存室、レシピエント飼育室で構成される胚操作専用エリアも整備した。
 施設の高機能化や使用する実験動物の特殊化に伴い、施設を運用する人材にも技術力の強化が不可欠である。高度免疫不全動物や各種疾患モデル動物等にも対応するため、高度化した飼育管理技術や体制整備が求められており、全職員が一丸となって日々研鑽を重ね活動している。
 一方で、研究機関の社会的な責任として、安全性の確保や動物福祉にも配慮が求められており、実験医学センター新棟はコンプライアンス対応でも国際的基準に適合した施設である。先進的な理念や技術を集結した本施設が有効に活用され、本学における医学教育や学術研究の発展に寄与することを祈念する。

 

実験医学センター長
  

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