自治医科大学アレルギー膠原病学では毎週医局員が交代で抄読会を行っております。

Acta Derm Venereol 2018;98:677-682.
Lower-limb Ulcers in Systemic Sclerosis: A Multicentre Retrospective Case-control Study

強皮症の下肢潰瘍症例をまとめた多施設後ろ向き症例対象研究です。下肢潰瘍を生じた強皮症患者のなかで本研究で定められた基準を満たしたのは全45例で、その内訳は虚血性が21例、弁不全やうっ滞によると思われる静脈機能不全が22例、その他が2例でした。下肢潰瘍を有さない強皮症患者をコントロール群として単変量解析を行ったところ、虚血性下肢潰瘍に関係する因子としては、2つ以上の心血管危険因子、足の皮膚硬化病変、肺高血圧症、肺線維症、抗トポイソメラーゼI抗体陽性などでした。また多変量解析では、虚血性下肢潰瘍を伴う独立危険因子としては手指潰瘍や足の皮膚硬化病変が抽出されました。これらのリスク因子を有する強皮症患者を診療する際は、日頃から下肢の診察も丁寧に行うことが重要であるかもしれません。

担当 K