自治医科大学アレルギー膠原病学では毎週医局員が交代で抄読会を行っております。

Evaluation of Rituximab for Induction and Maintenance Therapy in Patients 75 Years and Older With Antineutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis JAMA Netw Open 2022 Jul 1;5(7):e2220925.

 

目的:ANCA関連血管炎(AAV)の患者でリツキシマブ(RTX)治療を受けた75歳以上の患者
の予後と副作用について調査する。

方法:フランスの36施設からなる多施設研究で93人を登録した。データは、2000年1月1日
~2018年7月1日までの期間、フランス血管炎グループデータベースから得た。登録基準は
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)または顕微鏡的多発血管炎(MPA)の患者で75歳以上でRTXの
投与を受けた患者とした。

結果:238人をスクリーニングし、93人を登録した。年齢中央値 79.4歳(IQR
76.7-83.1)、女性51人(54.8%)。GPA 52人(55.9%)、MPA  41人。30人(32.3%)が
寛解導入目的に高用量ステロイドと併用してRTXの投与を受け、27人(29%)が維持治療に
用いられ、36人(38.7%)が寛解導入と維持治療ともにRTXを持ちいた。追跡期間中央値
2.3年(IQR 1.1-4.0)。寛解導入にRTXを用いた66人のうち、57人(86.4%)が寛解し、
2人(
3%)が再発した。重篤な感染症は、RTXを寛解導入に用いた場合に有意に増加した
(46
人/100人年 vs 8.4人/100人年)(P=0.004)。大部分の感染症はグラム陰性菌による
感染
症(12/22人、54.5%)であった。死亡率は、寛解導入群では19.7人/100人年、維持
治療群
では5.3人/100人年だった。

結論:大部分の75歳以上のAAV患者で、RTXにより寛解導入と寛解維持ができた。重篤な感
染症と死亡の割合は、RTXを高用量ステロイドと併用して寛解導入に用いると増加したが、
維持治療に用いた場合は増加しなかった。寛解導入の数ヶ月間に起きる感染症を減らすよ
う努めなければならない。

感想:高齢AAVでは、高用量ではなく、半量のステロイドとRTXで十分かもしれない。
しか
し、全患者にRTXを追加すべきかどうかは検討の余地がある。

担当 N