本講座では、てんかん治療の一環として、頭蓋内電極を用いた皮質脳波計測(Electrocorticography、Stereotactic EEG)を行っています。この手法は、てんかん発作の焦点を特定し、最適な治療法を見つけるために不可欠なものです。また、パーキンソン病や本態性振戦を対象とした脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation)の電気刺激装置の埋め込み時に神経活動計測を行っています。これらの計測時、患者様にご協力いただき、認知活動時・安静時のヒトの皮質脳波計測も行っております。すべての計測は、安全かつ配慮された環境で行われ、患者様の状態に十分注意を払いながら実施しています。国内外の研究機関との共同研究により、最先端の解析技術を用いて脳の働きについての新たな知見を得ることで、ヒトの認知機能の神経学的解明や将来の治療法の開拓を目指しています。
本講座では、さまざまな脳疾患を対象とした非侵襲的脳計測手法を実施しています。これらの手法は、患者様に身体的な負担をかけずに、脳構造や活動の計測ができることが特徴です。てんかんモニタリングの一環として、頭皮脳波計測を行っており、てんかん発作時の脳波を解析し、てんかん発作のメカニズムの解明や最適な治療方針の策定に役立てています。また、臨床研究や医師主導の治験においては、本学の放射線科学講座、小児科学講座、神経内科学講座と協力し、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)やポジトロン断層撮影(PET)を活用して、脳の特定領域の活動を可視化し、認知機能や脳疾患のメカニズム解明に取り組んでいます。
さらに、自治医科大学附属さいたま医療センター脳神経外科と連携し、脳疾患に関する画像データとドライビングシミュレーターを組み合わせた運転技能評価法の確立を目指した臨床研究も実施しています。これにより、患者様の日常生活での機能評価や、安全な運転復帰をサポートするための新しいアプローチを開発しています。
本講座では、次の脳刺激手法を活用した多数の臨床研究を実施しています。脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation, DBS)、経皮的磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation, TMS)、および経皮的耳介迷走神経刺激(Transcutaneous Auricular Vagus Nerve Stimulation, taVNS)を用い、脳刺激の作用機序の解明や脳刺激が認知機能に与える影響の調査に取り組んでいます。
本講座では、動物モデルを使用し、組織学・分子生物学・電気生理学的手法を駆使して、てんかんをはじめとする脳疾患や治療モデルに関する基礎研究を行っています。また、東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻の高橋・白松研究室との共同研究において、脳内の多様な機能的ネットワークを、情報理論を用いて解析しています。ラット大脳皮質において、微小電極アレイを用いた多点同時計測を行い、臨床的な知見に基づく神経機序を解明するトランスレーショナルリサーチを推進しています。
脳神経外科学講座では、講座のスタッフと共に臨床研究や基礎研究に取り組む高専生、学部生、大学院生(修士・博士課程)、およびポストドクターを募集しています。本講座では、てんかんをはじめとする脳疾患に関する最先端の研究を進めており、学生や研究者が臨床研究やトランスレーショナルリサーチに携わることができる環境を提供しています。加えて、他大学に所属している学生も、共同研究の一環として本講座での研究に参加することが可能です。
本講座では国内外の共同研究機関で研究に従事する機会も設けており、学際的かつ国際的な視点で研究を進めることも可能です。また、日本学術振興会の特別研究員(DC、PD)や科学研究費助成事業などの助成金申請に向けた支援も行っており、生活面も含めた研究活動を強力にサポートしています。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。一緒に、神経科学の新しい可能性を切り開いていきましょう。
北海道大学、東京大学、埼玉大学、産業技術総合研究所、名古屋大学、大阪大学、中央大学、日本大学、VIE株式会社
脳神経外科学講座では、国内外のさまざまな研究機関や企業と連携し、最先端の共同研究を実施しています。多様なバックグラウンドを持つ研究者との交流や学際的なアプローチを通じて、脳神経外科学および神経科学全般における新たな知見と技術を追求しています。本講座との共同研究にご興味がございましたら、ぜひお問い合わせください。
脳神経外科業績(2020-2023)