3Dモデル・手術シミュレーション

3Dモデル

脳神経外科手術は、患者さんごとに異なる複雑な患部の構造を理解することから始まります。そのためにMRIなどの検査を行うわけですが、より安全な手術をおこなうために3Dプリンターで立体モデルを作り、手術前の検討や教育に用いています。この試みは2012年から行なっており、作製総数は約400点に及びます。大別すると、(1)術前・術中のシミュレーションに用いる症例毎の病変モデル・(2)医学部学生および若手医師に対する教育用モデル・(3)診療用機器および部品作製などがあります。

疾患別では脳腫瘍・脳動脈瘤がそれぞれ約100例、その他は骨病変・顔面痙攣などです。モデルは単に3Dプリンターで造形するのみでなく、これを加工して実際の脳や血管に似た軟らかい素材に置き換えたり、透明素材を用いて血管内治療のシミュレーション等に用いたりします。緊急手術にも対応できるよう、短時間に作製する方法も工夫しています。

より有効な3Dモデルの利用のため、基礎理論や作製法などについての研究を行っています。

例示1. 斜台部髄膜腫

斜台部(延髄・上位脊髄前面)の髄膜腫(オレンジ色)。小脳・延髄・脊髄を透明軟質素材で作製し、手術シミュレーションを行いました。白は骨、ピンクは動脈、紫は静脈です。

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例示2. 学生の作品(脳血管)

選択ゼミ(2年生)が作った、脳血管の模型です。写真では立体感が分かりにくいですが、解剖の理解に役立つと好評でした。

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例示3. 脳動脈瘤シリコンモデル

実際にクリップをかけて手術検討を行います。
作り方は以下でご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=BKcgSno6Jk4

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例示4. 中大脳動脈瘤

7月22日、全国の医学生対象に「サマーセミナーin Jichi」が開催され、当科では7名に血管吻合と脳動脈瘤クリッピングの体験をしていただきました。写真はクリッピングの顕微鏡画像です。

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例示5. 学生の作品(脳のスライスモデル)

今年の選択ゼミには2名の2年生が参加してくれました。昨年と同様の血管モデルと、脳のスライスモデルを作りました。いずれもなかなかの力作です。

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