教授挨拶

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2024年4月1日より、大槻マミ太郎教授の後を継承し自治医科大学皮膚科学教授に就任いたしました。大槻マミ太郎先生を始め多くの先生方のご支援をいただいており、大変感謝しております。今後ともご指導・ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
自治医科大学という地域医療の理念と実践の拠点である大学の皮膚科学講座として、下記のようなビジョンをもち、ミッションを実践したいと考えております。

ビジョン
1.居住地や患者の属性による差異のない医療を実践する。
2.地域全体で共に歩む医療を実践する。

近隣クリニックにはアットホームな雰囲気や気軽に通院できるというメリット、大学病院には専門家が多く他科コンサルトが容易である、高度な医療を提供できる、などのメリットがあります。近隣クリニックと大学病院がそれぞれの長所を生かして連携を組むことで、地域全体での診療のレベルアップが可能です。紹介―逆紹介のサイクルを密にすることで、近隣に皮膚科専門医がいない地域、大学病院から遠く離れた地域においても、大学と同じレベルの診療が実践できると思います。特に最近では多くの生物学的製剤や分子標的薬が使えるようになっていますが、クリニックで使うにはハードルが高いと感じている先生方も多いのではないかと推測します。大学病院と連携することで、多くの患者さんに必要とする治療を届け、地域全体で皮膚科診療を活性化しましょう。

ミッション
1.診療科の谷間で患者を救う。
2.地域のクリニック、臨床病院と積極的な連携を行う。
3.皮膚症状のみならず、患者の全身を診る皮膚科医を育てる。

1.皮膚科の特色として、内科、外科、感染症、遺伝病、炎症性疾患、腫瘍など、幅広い分野を包含していることがあります。その結果、他科で取りこぼされた疾患を拾い上げる機会が多く、細分化した各診療科で診断のつかなかった症例に巡り合う確率が高いということがあります。最近では、特に内科領域は分野ごとに専門分化が著しく、糖尿病、高血圧、肝腎疾患といった、確立した疾患については迅速に適切な診断・治療が行われますが、各診療科の得意分野から外れてしまっている疾患、多くの科にまたがり種々の症状を呈するような症候群や遺伝性疾患などについては、正しい診断がつかないまま、長期間にわたりさまざまな医療機関や診療科を渡り歩いていた症例をこれまでに多く経験しました。皮膚科という診療科は、細分化されていない分、保険診療による有効な治療が難しい疾患も多く、Primitiveな領域が広く存在する一方で、研究・診療ともに最近の進歩が著しい、アトピー性皮膚炎、乾癬、水疱症などの領域もあります。自治医科大学が、医療の谷間に灯をともす、という役割を担っているのと同じように、皮膚科学は、診療科の谷間で患者を救う、という役割を担っていると感じています。

2.皮膚科専門医が少ない地域においては、皮膚疾患患者が血圧や血糖コントロールで通院している内科の先生から外用剤を処方してもらっているというケースがしばしばみられます。また、クリニックの先生方は血液検査や胸部X線撮影などが気軽に行えないため、副作用の出る可能性のある全身治療についてはあまり積極的になれない、ということがあるようです。そのため、クリニックの先生方から大学へご紹介していただくと同時に、ある程度コントロールのついた患者さんをクリニックの先生方と並行して一緒に診療していくという双方向性の病診連携を行うことで、クリニックにおいても大学で行っているのと同等レベルの診療を行うことができ、地域全体の診療のレベルアップが可能になると考えています。このような病診連携を積極的に拡大していくつもりです。

3.皮膚に症状のあらわれる疾患には、皮膚科独特の疾患も多いですが、全身疾患の一つの症状として皮膚に所見が現れていることが少なからずあります。正しい診断を行うにはそのような全身疾患を見逃さないことが重要です。診療科の谷間を作らないよう、そのような症例を積極的に診断できるような皮膚科医を育成することが重要と考えています。

 

 

 

略歴

氏名 小宮根 真弓(こみねまゆみ)

経歴

昭和63年 3月 東京大学医学部医学科卒業
63年12月 東京大学医学部附属病院皮膚科助手
平成 2年 6月 関東逓信病院皮膚科勤務
5年~8年 ニューヨーク大学メディカルセンター皮膚科 研究員
8年 5月 東京大学医学部附属病院皮膚科 助手
11年 6月 東京大学医学部附属病院分院皮膚科 講師・病棟医長
12年 4月 東京大学医学部附属病院分院皮膚科 医局長
13年 4月 東京大学医学部附属病院皮膚科 講師
19年 6月 自治医科大学医学部皮膚科学講座 准教授
20年 4月 自治医科大学医学部生化学教室病態生化学部門 准教授(兼任)
26年 4月 自治医科大学キャリア支援センター 副センター長(兼任)
28年 4月 自治医科大学キャリア支援センター センター長(兼任)
30年 8月 自治医科大学医学部皮膚科学講座 教授
31年 4月 自治医科大学医学部皮膚科学講座 科長、科目責任者
令和 5年 2月 自治医科大学医学部医師・研究者キャリア支援センター 教授(本務)
自治医科大学医学部皮膚科学講座 教授 科長、科目責任者(兼任)
令和 6年 4月 自治医科大学医学部皮膚科学講座 教授(本務)
自治医科大学医学部医師・研究者キャリア支援センター(兼任)

専門
炎症性皮膚疾患、特に乾癬の臨床と病態、膿疱性乾癬、ケラチノサイトの生物学

所属学会
日本皮膚科学会、Society for Investigative Dermatology、日本研究皮膚科学会、
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会、日本乾癬学会、日本臨床皮膚科医会、
皮膚かたち研究学会、日本医真菌学会、日本細胞生物学会、日本炎症・再生医学会
栃木県医師会女性医師部会 理事
日本研究皮膚科学会・ダイバーシティ委員会 委員、日本乾癬学会 評議員
日本皮膚科学会 代議員、日本皮膚免疫アレルギー学会 代議員、日本白斑学会 評議員
アジア乾癬学会 理事、角化症研究会 世話人、日本リウマチ学会

受賞歴
2013  自治医科大学 平成24年度優秀論文賞(Corresponding author)
2006  JSID Shiseido Award, JSID
2001  Galderma賞, Galderma pharmaceutical company
1996   Husic Prize, Ronald O. Perelman Department of Dermatology, New York University School of Medicine

 

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