自治医科大学アレルギー膠原病学では毎週医局員が交代で抄読会を行っております。

Differential clinical features of patients with clinically amyopathic dermatomyositis who have circulating anti-MDA5 autoantibodies with or without myositis-associated autoantibodies Respir Med. 2018 ;140:1-5

背景:抗MDA5抗体は筋炎特異抗体として同定されており、東アジア人患者ではしばしば無
筋症性皮膚筋炎(CADM)と関連し、急速進行性間質性肺疾患(RP-ILD)のため予後不良であ
る。抗MDA5抗体のほかに、CADMは他の結合組織病(関節リウマチ、シェーグレン症候群な
ど)を特徴づける筋炎関連抗体(MAAs)が陽性になることがある。CADMにMAAと抗MDA5
抗体
が共存することの臨床的意義はわかっていない。

目的:抗MDA5抗体陽性CADMの患者24人を後方視的に解析した。検査結果、HRCT、治療反応
性、その予後といった臨床的表現型について、MAA陽性(ANA、抗CCP抗体、抗SSA抗体、抗
SSB抗体など)とMAA陰性群で比較した。

結果:24人の患者中、9人(37.5%)が少なくともMAAのうちいずれか1つが陽性だった。
ANA(1人)、CCP(5人)、SSAまたはSSB(5人)、抗カルジオリピン(1人)、抗Scl-70
(1
人)。抗MDA5抗体陽性CADMの全例がILDを合併したが、MAA陽性群はMAA陰性群と
較べ、
RP-ILDの発症リスクが低く(p=0.03)、ステロイドと免疫抑制薬の併用治療に対する
反応
が良好で、死亡率も低かった(p=0.03)。

結論:MAA陽性となる抗MDA5抗体CADMはMAA陰性と較べて予後がよい。抗MDA5抗体自体
は強
力な臨床的予後不良の予測因子ではないかもしれない。MAAの共存は抗MDA5抗体陽性
CADMに
おいて予後良好のバイオマーカーである可能性がある。

感想:MAA陰性CADMではニューモシスチス肺炎で3人が死亡し、それがMAA陰性群の死亡率を
上昇させている可能性がある。感染症死を除くと症例数が少なく有意差がつかないかもし
れない。有意差はついていないが、年齢もMAA陽性群ではMAA陰性群と較べ約15歳若いこと
も予後良好の原因かもしれない。

担当 N