診療案内

腎移植

 1.腎不全とは

               

 2.腎移植について

                

 4.生体腎移植の手術まで

             

 3.腎移植の成績

               

 5.入院から手術まで

                

 6.手術

                

 7.手術後の経過

               

 8.移植後の治療(レシピエント)

               

 9.日常生活の注意点

                

 10.社会復帰について

              

腎不全外科(血液透析アクセス手術・腹膜透析アクセス手術)

腎不全が進行すると老廃物や水分が体内に貯留しまうため治療が必要になります。治療方法は腎移植と透析治療の2種類です。透析治療には血液透析と腹膜透析があります。透析治療を行うためには事前に準備(手術)が必要です。

 

①ブラッドアクセス手術

血液透析は浄化装置を使用することで体内の老廃物を除去する治療です。血液量を確保するため透析専用の血管(ブラッドアクセス)を作製します。ブラッドアクセス手術には、自己血管内シャント、人工血管内シャント、動脈表在化、長期留置型透析用カテーテル4つの種類があります。多くの場合は自己血管内シャントを作製します。自己血管内シャント手術は前腕の動脈と静脈とつなぎ合わせる手術です。自分の血管が細く、自己血管内シャント手術が困難な場合、人工血管内シャント手術を行います。心機能が悪いなどの合併症がある場合は動脈表在化手術を行います。以上の3種類の手術が困難な場合は長期留置型透析用カテーテル留置術が適応になります。シャント手術は局所麻酔で行いますが、場合により麻酔方法が変わることがあります。手術時間は約30分から2時間程度です。

当院では初回のシャント作製術だけでなく、シャントトラブルにも対応しています。現在使用しているシャントの再手術が必要となってしまった場合にも是非ご相談下さい。

 

②腹膜透析アクセス手術

腹部には腸管を収めている袋があり、これを腹膜といいます。透析液を腹部に貯留させ腹膜を介して老廃物を除去する方法を腹膜透析といいます。腹膜透析を行うためには透析液を出し入れするための専用のカテーテルが必要です。カテーテル留置術は当院では全身麻酔で行っています。手術時間は約40分から2時間程度です。

 

当院ではカテーテルトラブルにも対応していますのでお困りの際は是非ご相談下さい。

腎性副甲状腺機能亢進症手術

甲状腺の裏に米粒大の小さな臓器があり(通常は4個)、これを副甲状腺といいます。サイズは小さいですがカルシウム・リンの調節を通じて骨の代謝をつかさどっています。腎不全が進行するとカルシウム値が低くなりリン値が高くなります。この状況に呼応して副甲状腺からホルモンが多く分泌されるようになり体内の副甲状腺ホルモン値は高くなります。

 

慢性腎不全が進み、特に透析治療を長期間にわたり行っていると副甲状腺の機能が亢進して、副甲状腺ホルモンが異常に多く分泌されるようになると高カルシウム血症をきたしたり、骨密度が低下したり(骨粗しょう症)、本来沈着すべきでない臓器にカルシウムが沈着してしまいます(異所性石灰化)。薬剤を使用しても副甲状腺ホルモン値が調整できない場合は手術の適応になります。副甲状腺は多くの場合、頚部の甲状腺の裏に4個あります。手術は副甲状腺を全て除去し、除去した副甲状腺の一部を自身の前腕に埋め込む(自家移植)手術です。麻酔方法は全身麻酔、手術時間は約3時間程度です。

 

透析治療をおこなっていて副甲状腺ホルモンの調節が難しい方がいらっしゃいましたら是非ご相談下さい。副甲状腺機能亢進症は腎移植を受けることによって改善する方が多いのですが、腎移植後も治療が必要でなかなか治らない方は外科手術を検討します。

 

当科では副甲状腺手術にも対応しておりますのでお気軽にご相談ください。

※2021年7月以降は診療体制見直しに伴い、腎臓内科、耳鼻咽喉科と連携して対応します。引き続きお気軽にご相談ください。

 

腎血管異常

頻度はかなり低いですが、腎臓の血管(主に腎動脈)の異常があることがあり、重症度によって治療の適応となります。ともに、カテーテル治療と外科的治療の2種類があり、外科的治療の場合は当科で行います。

 

腎動脈瘤

(腎臓の動脈の一部がこぶ状に膨らんでしまう)破裂することはまれとされていますが、増大傾向にある場合、片方の腎臓の機能が極端に低下している場合、高血圧の原因となっている場合などは治療を必要とします。カテーテル治療と外科的治療とあり、腎動脈瘤の状態(こぶのサイズ、増大スピード、こぶの部位、こぶの形状、こぶの壁の石灰化の程度、患者さんの年齢、性別、高血圧の有無)によって選択されます。

 

腎動静脈瘻

腎動脈系と腎静脈が直接交通している状態で、血尿や心不全の原因となる場合、治療適応となります。

上記の疾患で、治療が必要かつカテーテル治療の適応外となった場合は外科的治療が選択され、当科が中心となって手術を行いますが、その血管の状態により術式は様々です。

・体内での血行再建術(腎臓が体につながったまま血管の修復・つなぎ直しを行う)

・一時的に腎を体外に摘出+血行再建+自家腎移植(血管の異常が複雑な場合、一度体の外に腎臓を取り出して氷で冷やしながら修復手術を体外で行い、また患者さんの体に腎臓を植え直す方法)が選択されます。

 

腎動脈狭窄症

腎動脈が高度に狭くなっている(腎動脈狭窄)と、二次的に高血圧を引き起こします(腎血管性高血圧)。血圧の薬の内服のみで血圧コントロールが難しい場合、片方の腎臓の機能低下が進んでいる場合は治療の適応になります。腎臓への血流不足が高血圧および腎機能低下の原因ですので狭窄部位の解除が治療目標になります。